あらすじ
2017年、著者らが苦労の末に南極に建設した素粒子観測施設「アイスキューブ」がニュートリノを捉えたという知らせが届いた。それは40億光年の彼方から、40億年の歳月をかけて南極点の氷河に突き刺さった宇宙からの使者だった――。超高エネルギーのニュートリノを放出している銀河とはいったいどんな天体なのか? 宇宙研究の新たな地平を切り拓く「高エネルギーニュートリノ天文学」と呼ばれるサイエンスの現場の息吹を伝える。
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Posted by ブクログ
深宇宙ニュートリノ、知らなかった…アイスキューブ実験、知らなかった…生命科学や人工知能研究に人材奪われている、という説も聞く物理学ですが、やっぱり物理は自然科学のホームラン王だ!って叫びたくなるようなワクワクストーリーでした。妄想、発想、構想、挑戦、挫折、転換、競争、共創、作戦、仲間、ライバル、理解者、無理解、ラッキー、チャンス、次世代、お金、技術、あれもこれも!やっぱり現代の冒険は、極大な宇宙と極小なニュートリノの間にある物理学です。近頃の研究が産学連携で、役に立つか役に立たないか、みたいな風潮の中で、そんなこと関係ありません、っていうようなでっかい話が、うれしいです。それが身体を張った実験や研究の上に成り立っていつのがカッコいい!もう用語も理論も途中から訳わかんなくなりながら、素敵な色付きのグラフに支えられて、最後まで楽しみました。意味理解しないで感動!って、こんなの初めて!
Posted by ブクログ
ちょっと難しい内容だが、素人向けになるべく平易に解説しようという著者の心遣いが感じられる。
カミオカンデのようなチェレンコフ光を観測する実験が南極の氷河の中で行われていたとは知らなった。そこで、幾つもの新しい発見があり、それに日本人が絡んでいたのかと、日本の素粒子物理学や宇宙線物理学に関するレベルの高さを認識した。著者は、自らを普通の人と称しているが、大きなプロジェクトを遂行し、実験結果を分析し、様々な科学的な反論を乗り越え、しかもそれを外国人と英語でこなしていくというのは並大抵のことではなかろう。科学の最先端で四苦八苦しながらこういう活躍をしている人がいるのかと思った。