【感想・ネタバレ】風に舞いあがるビニールシートのレビュー

あらすじ

あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり……。
自分だけの価値観を守って、お金よりも大事な何かのために懸命に努力し、近づこうと頑張って生きる人たちを描いた6編を収録。

解説・藤田香織

※この電子書籍は2006年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

直木賞受賞した作品。
クリスマスイヴにイヴの話は、少し運命的だと思ったの。
美しいシーンは主人公に重なって泣けます。
元夫の死を乗り越えようとしてアフガン行きを決める主人公はさすが直木賞という感じ。

以下はお気に入りの文引用です。
「都会の人間はスマートに人を拒絶する。」
「自分になにができるのかと考えることは、自分の無力さと向かいあうことだ。」
「弱さを人に見せられるのも一つの徳性だ」
「粘って粘ってつないでいけば、そのうち四番打者にもなれるかな」
「エドは無言で里佳の手を引きよせ、その指先にキスをした。恐らく今までで一番優しいキスを。「いや、里佳だとわかってた」」
「突然、発作のように里佳は胸をつまらせた。平和はかくも美しい。(略)どうかこの美しさが、すばらしさが永久に続きますように。」

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても良かった。
それぞれの作品に個性があった。
それぞれの主人公たちが自分の譲れない、大切な物事を貫き通して懸命に生きる姿に心打たれた。
自分にも、家族・お金・健康以外に大切にしている価値観や趣味があるので、主人公たちのように、自分の人生の指針として大切にしていきたいと思った。

社会人3年目になった今、仕事をそこそこに趣味を一生懸命楽しみたい自分にとっては、「ジェネレーションX」の石津にかなり共感出来た。

「守護神」の祐介は、学生時代に文学大好き過ぎて周りから疎まれた結果、自分の大好きな文学を捨ててしまった。社会人になってから夜間大学の文学部で学び直す。

「鐘の音」の潔は、学生時代に「ブツゾー」とあだ名を付けられていたが、周りを気にせず自分の好きなことを貫き通した結果、夢を捨てて修復師の道を選んだ。

若いうちに自分の好きなこと、熱中できることを見つけて、周囲の目を気にせずにのめり込める人は凄いなと思った。自分は「守護神」の祐介タイプで、学生時代は自分の好きなことより、周りからどう思われるかを優先してしまっていたなあと感じた。

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どの話も読後が爽やか。仕事頑張ろう!と思える話もあった。

守護神の主人公がレポート代返のために人探しに奔走するところで、そのエネルギーをレポートに使えばいいのに。と思っていたが蓋を開ければ読書好きがたたって拘りが強く、おまけに金銭的にも苦労していてバイトに時間をとられて…と読み始めと良い意味で印象が変わり面白かった。心強い守護神に会えたからレポートは上手くいくのかな。

ジェネレーションXも事勿れ主義な主人公か?と思っていたけど、乗り掛かった船で自分に関係ない仕事に付き合ってあげてて、いい人やん!と。まさかの過去に笑った。

最初の話の主人公は仕事と恋人のどちらをとるの、というよくある話。こんな彼氏なら仕事を取るだろう、と思ってたらある意味まさかの両方取り!強かな主人公で笑ってしまった。

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2025年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

6編の短編集。

「守護神」が特に好き。

社会人学生の裕介がただ自分が楽をしたいためにレポートの代筆をニシナミユキに頼みに行ったと思いきや、実はかなりの文学マニアで、ギャップがおもしろかった。
裕介の勤務先のホテルのマネージャーもニシナミユキもいい人!!
好きなことに打ち込めるっていいね。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表現もすごいし感動的なはずなのに、何故か文字が頭に入ってこなかった。一つ目で緩さを感じたせいかもしれない。最後の表題作がタイトル含め印象的だった。直木賞(受賞)の講評で、時系列の短編がだんだん上手くなってる、と学んだことを書き過ぎ、は深く頷ける。
・器を探して
パティシエヒロミに振り回される弥生は美濃焼を探しに岐阜へ。彼氏は怒る。瀬戸黒と出会う。
・犬の散歩
犬の里親探しのボランティアを始めた恵里子。義父母が里親になる。活動費の為スナックで働く
・守護神
レポート代筆の神ニシナミユキ。祐介も依頼するが真面目すぎるあなたは自分で出来ると諭される。
・鐘の音
仏修繕師の潔は仏と寝る程囚われるが後補され種類が違うのも見抜けなかったと今知る。その時離職し出来た娘が結婚しチャペルの鐘の音を聞く事に。
「プラモデル用のボンドやったら持ってるで」
・ジェネレーションX
出版社野田と玩具会社石津がクレーム対応で同車。石津の10年ぶり高校野球に野田も参加する事に。
・風に舞い上がるビニールシート
UNHCR職員のエドと里佳は結婚。難民救助に奔走するエドとすれ違い離婚、エドはアフガンで少女を守り撃たれる。表題=簡単に奪われる難民の命、幸せ。

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2025年04月20日

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