あらすじ
地球上で最も賢い生物である「タコ」。大きな脳と8本の腕の「触覚」を通して、さまざまな知的能力を駆使するタコの「かしこさ」に迫る。最新研究で明らかになった、鏡像自己認知、コミュニケーション力などといった知られざる一面も紹介!
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Posted by ブクログ
池田譲著『イカの心を探る』(NHKブックス)の姉妹編。両方読めば、頭足類の知性や社会性を知ることができるだけでなく、両者のあまりの違いに驚くはず。
タコの知性の研究は1950年代に始まるが、本格的に研究されるようになったのはつい最近のこと。本書では、観察学習、視覚・触覚情報の統合、鏡像自己認知など、現在進行中の研究を紹介している。論文には書かれないエピソードや研究の舞台裏も書かれており、研究室の熱気も感じられる。
とくに興味深かったエピソードはこれ。いつもはおいしいサクラエビをもらっていたタコ(オオマルモンダコ)。半解凍のサクラエビをやったら、それを投げつけてきた。こんなまずいもん食えるかと怒っているタコが目に浮かぶ。
p.s. 本書を読書中、NHKの「ダーウィンが来た!」を見ていたら、小笠原のアナダコのスクープ映像。なんと、陸を駆け回って獲物を狩っていた。本書に登場する院生・川島菫さんと池田先生が出てきた。
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以前に「イカの心を探る」を読み、同じ著者が書いた本を読んだ。タコがどのように周辺を感覚し、どのような知性を獲得しているのか、実験を通して紹介する。専門書ではないが、そこそこ踏み込んだ内容なのだと思った。でも難しくない。読んでみると分かるが、楽しい本である。著者の語り口が楽しくて、適度に脱線しつつ、楽しい実験風景などが目に浮かぶ。タコの足と吸盤は想像以上に大切な器官のようだ。目も重要で、人の目とタコの目の構造の違いなど、生命の神秘を感じずにはいられない。「このタコ!」というと悪口になるが、 本書を読んだ後は誉め言葉に聞こえてくる。
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表紙帯のイラストがヒグチユウコさんで惹かれて買った。
生物学に疎い私でも、ギリギリ分かるので探究心が刺激されて面白かった。
MDMAを摂取した実験例が1番興味出たし、タコに薬物をやらせようなんて考える人がいるから世の中おもしろい。
憤慨するオオマルモンダコが可愛すぎた。
要らないかもしれない教養。
これは贅沢だ。
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著者の先生は本当はイカ学者だ。本業以外を著作する先生は他にもいるんだけれど、やはり本業で…とも思ってしまう先生もいる。ただこの本は違った。タコにも愛が感じられ、行動のひとつひとつが面白く興味深かった。タコの社会性、というのと鏡を見て自己を認識できるか、このあたりがとても良かった。
途中専門的なアプローチになるので文系読者には難関だが、読んでみることをおすすめする。
ヒグチユウコ先生のイラストの帯が最高である。
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バリ面白かった。
特にタコにMDMAを摂取させるあたり。
タコってそういえば群れないなぁと思ってたところに、麻薬を吸ったタコがハイになって他のタコにちょっかいを出して社交性の片鱗を見せるのは興味深かった。
アイツらも、一生懸命生きてるんだなあ。
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タコに関する研究の一端が知れる本。よく食べている生き物だが、意外に知られていない生態や、性格なども学ぶことが出来る。
視覚と、腕の吸盤が優れた器官能力を担っていることや、鏡を使用して鏡像自己認知能力を確かめたり、果てはMDMAなどを投与されたりと、研究の惨たらしさも感じながらも、そういうことも普段何気なく生きている自分たちも享受しなければならないのであろう。
さらに研究にはよくよく学生の名前を挙げていることからも、一縄筋には行かないことや、一人ではなかなか辿り着けないものなのであることも思わされる。
これからも著書には研究を続けて日本のタコ第一人者になって欲しいものである。
Posted by ブクログ
琉球大学理学部海洋自然科学科(専門は、動物行動学;水産増殖学;頭足類学)教授の、池田譲による新書。要はタコやイカに魅せられた著者が、「タコって頭いいな…」と感じたエピソードを多数紹介している本なのでそれが面白いのだが、同時に研究室の様子や研究の進め方、温度感などのようなものも描いており、この点動物行動学を目指す学生などにもとても興味深そうである。
タコが見まね学習をするという実験の紹介などに特に興味を惹かれた。生物学的に「学習」とは、経験的に行動が変わり、しかもそれが長く継続するもののこと」との定義が紹介されておりこの話の前提となるのだが、この前提自体に言い得て妙と思わされた。また、見まね学習以外にも生物学的には、「条件付け」や「馴化」などの学習の種類があり、こういった学習の事例を見るごとに、ヒト自身も生物として持っている性質と共通性が多く、同じ生物なんだなと共通点を見出してタコに親近感が湧いてしまう。
そのほか、タコやイカが鏡で自己を認識しているのではないかとの研究など、人間が特別ではない部分を知ることができるのも面白かった。
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日本人にとっては食卓でおなじみのタコについての本
タコの不思議さを堪能できた 特にその学習能力の高さと生涯の短さ(1〜2年程度)に驚いた 冗談抜きで何らかの目的で作られた生物にすら感じられた
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タコのことは知らない事ばかりで、非常に楽しく読めた.著名が研究室で学生に指導することを楽しんでいる様子があちこちに出てきて、小生の学生時代の卒論実験を思い出した.タコに知性があり、社会性もあることも意外だったが、いろんな面で研究されている実態も知ることができた.
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ウンチクの多い人だ。そうかそんなにも本を読んでおり、映画もよく見ており、あんなことやこんなことも知っているのかといささかうんざりしながら読んだ。タコそのものについてのくだりは興味深く勉強させてもらったが。
‥タコは美味い。
Posted by ブクログ
擬人化されたり日本人に馴染みの深い軟体動物タコ。ヒトと似た高度なレンズを備えた眼と高度な知能を持つ不思議な生き物。そのハイスペックな能力を検証する。
タコ、イカ。貝類から進化したと言われるが化石が少なく謎が多い。
眼は盲点がなくある意味ヒトより進化している。視力に頼る生活のためか図形認識力や観察学習能力は極めて高い。また触覚も優れているという。好奇心も強くなぜ独自の進化を遂げたのか謎の部分が多い。不思議なのはそれだけ高度な能力を持っていながら寿命は約1年程度ということ。
本書は多くの地道な実験によりタコの持つ高度な能力を検証している。まだまだ学術的に謎の部分が多いタコの能力。研究はまだ発展途上。本書は終わりではなくまだまだ始まり。
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<目次>
序章 タコと人と日本と
第1章 タコのプロフィール
第2章 タコの賢さ
第3章 タコの感覚世界
第4章 タコの社会性
第5章 吾輩はタコである
<内容>
知的好奇心を揺さぶる本。あの「タコ」は見かけによらず、高度な脳を持ち、いろいろ考えて行動しているとともに、感情や社会性もあるのではないか?という本。大学教授の生態(研究)を知るにもいい。特に理系の生物系の実験が、かくも大変で地道で、気の長い作業であること。そこから導き出された結論の面白さ(むろん導き出されないときの方が多いのだろうが…)。著者とその研究室の学生の「タコ愛」がひしひしと伝わる本であった。
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タコに知性はあるか?
知性が何かによるが、条件付け反射訓練はできるらしい。
目も人間のもの同等に発達していて、色の識別はできないが形、濃淡、同種のタコの個体識別もできるし、何なら道具も使える。
物の識別には視覚に加え、腕の触覚も大きな役割を持つ。
周囲や状況に応じて体型や色を瞬時に変化させるが、感情の発露かもしれないと著者はいう。
読み始めは新たな知識に驚いたが、太古から続く、海中で個体で過ごすことが多い種となれば、本書に書かれたような能力は持っていて当然のようにも思えてくる。
文中の比喩や体験談は本署を親しみやすくしてはいるが、ややずれている感がなくはない。
本書中の図は非常にわかりやすいが、口絵の写真は判別が難しいものもある。海の忍者たる所以か。
姿の似たイカとは同じ軟体動物門頭足綱鞘形亜綱に属するが、共通の先祖は貝まで遡るらしい。
イカもそこそこ賢そうだ。