あらすじ
日本最長の八年に及ぶ首相在任期間を誇った桂太郎。三度の政権下、日露戦争、韓国併合と、外には帝国主義政策を断行、内には伊藤博文らの次世代として、最後には政党結成に動く。山県有朋の“傀儡”と、低く評価されてきた桂だが、軍人出身ながら、軍の予算を抑制、国家全体の利益を最優先し、緊縮財政を追求し続ける。時代の制約の中、「ニコポン」と呼ばれた調整型政治家が求めたものは何か――。その全貌を描く。
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Posted by ブクログ
桂太郎って影が薄く功績がよく分からない。が藩閥政治から政党政治への変遷、日露戦争など維新を終えた日本のセカンドコーナーにおいて重要な役割をになった人物であることがこの本から理解できた。
調整型の政治家で「ニコポン宰相(ニコニコしながら近づき背中をポンと叩いて接近して会話を始めたいう)」であり、無思想かつ機会主義で柔軟に効率に運営していく人材がこの時代にあったということが興味深い。大きな変化のあとはそれを均していく必要があるということである。イノベーションだけが仕事ではない。
Posted by ブクログ
軍人として日本の軍制を整え、政治家として日露戦争に勝利、韓国併合を成し遂げ歴史に名を刻んだ桂太郎。日本最長の通算八年間の首相在任を果たしながら、今や一般には半ば忘却された政治家の歩みを余すところなく書いた伝記。新党の設立に失敗し、首相の座を追われてから、時を置かずこの世から去った。桂が生きていたら、日本の歴史は変わっただろうか、筆者は、変わりはなかっただろうと分析する。私も考えを同じくする。ただ、もう少しこの希代の調整型政治家の姿を見ていたかったと感じた。
Posted by ブクログ
千葉功 『桂太郎』(中公新書)
以前、小林先生の桂太郎を呼んだ事があるので、こちらも読んでみました。
紙幅の関係もあるのか、前半生が飛ぶように過ぎていきました(笑)
半分以上が日露以後(首相就任以後)で構成されています。
軍人というよりも政治家としての側面が強い桂の生涯が垣間見る事ができます。
山縣閥として目されている桂を取り扱っている割りには、山縣との関係よりも伊藤系との関わりや大蔵系官僚との関わりについて書かれていました。
桂が自身の後継者に誰を選んでいたかなど、高明と後藤のところはとても面白かったです。
統一党の話は小林先生の本にも書いていなかった(多分;;)ので、そこも。
それにしても、ここでもやはり桂太郎は楽観的と書かれているのには笑いました。
ここまで言われるのなら、やはり楽観的だったんだろうなあ…なんて(笑)
Posted by ブクログ
個人的には桂のイメージが変わりました。確かに自分より上の権力にすがる(天皇、山県)のイメージは強くあり、それについての記述もありましたが、意外に寛容な人なのだという印象も受けました。
若干記述が難解なきらいはありますが、これほどの長期政権を築いた人物はいないので、何故長期政権を築くことが出来たかを考えながら読むと良いと思います。