【感想・ネタバレ】左手のための二重奏(6)のレビュー

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Posted by ブクログ

一つの章が終わり、新たな章が始まる巻といった印象
クリフトン・ラノの後継者たるグレゴと御影。御影はその演奏によって、グレゴは教育者になる事によって二人はようやくラノの背中へ辿り着いた
その二人の目線がシュウに向いている構図は熱くなるね。二人共シュウが関わった事で自分の音を取り戻した。そしてシュウは灯と一緒に鍵盤を叩き続けてきたから、ラノ達がいる舞台まで辿り着いた
ここには継承の構図が見えるね。ラノが奏でた過去の意思、グレゴと御影によって現在へ語り継がれ、シュウ達の居る未来へ至った

そういった背景も有ってか、27話ではそれまでの流れから一転して、若い者達の物語が語られているね
久遠もノエルも未来へ向けた更なる躍進を語っている。けれど、想いの中心にいるのは既に過去の人となった灯。それじゃ本当の意味で未来へ進めない
そこで灯が考えた「お別れ」が良い味出してるね。空港に置かれた旅立つ者を見送るピアノ。それを使って響かせるのは灯にこだわり続ける久遠とノエルを過去から解き放つ曲
それを二人がしかと受け取って自分の道を進み始める様子は良いね。これが有るから灯とシュウも自分達の道を歩み始められる


そして時は流れ……
主人公すら変わったのは驚きの展開。ピアノは好きだった筈なのに、自分の意志を通せなかったり押し付けられたりで俯いてばかりの鳴井彰。そんな彼が出逢ったのは不良少年ですか
自分が住む世界と真反対な世界に生息する相手とピアノを契機に関わり始めるという展開はいつかのシュウと灯を思い出させるね。おまけに二人で夜の街を徘徊し始めるのだから尚の事

あの時はシュウが灯という人間を知る切っ掛けとなった。今回は彰が自分を知る切っ掛けとなっているね
訳も教えず彰を連れ回すシュウ。そんな彼が教えるのはお利口な生活をしてきた彰が知らない羽目を外した楽しい遊び
そこで彰が知るのはピアノに齧りついていない自分の姿とピアノの無い世界の光景

ここでのシュウの在り様がとても格好良いね。自分もコンクールに出場しなければならないのに、「ピアノがなければ一人ぼっち」と嘆く彰の為に時間を使い倒すなんて
それはもしかしたらシュウ自身の努力に反するかもしれない行為。それでもシュウは「友達」の為に迷わずその選択をしたんだなぁ
これだけの格好良さを見せられたら彰がそれに焦がれ弱い自分を倒そうとするのも納得というもの

どうやら彰は他人に決められた楽譜から抜け出して素晴らしい演奏を披露できたようで
そんな彰を更に圧倒するが如く修行の成果をこれでもかと叩きつけてみせたシュウは主人公としての格を持っているね

最後にお目見えしたピティカ本戦に進むだろう強者たち。この中で素人を脱したシュウはどれだけの演奏を繰り広げるのかな?

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2022年06月29日

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