あらすじ
◆日本人の知らないところで、ストライキが進化していた!◆佐野サービスエリアのスト、保育士の一斉退職、東京駅の自販機補充スト……。一九七〇年代をピークに減少した日本のストだが、二〇一〇年代後半から再び盛り上がりを見せている。しかも、かつての「国鉄スト」などと違い、これらにはネット世論も好意的だ。実は産業構造の転換により、日本でもストが起きやすい土壌が生まれていたのである。現代日本でストが普通に行われるようになれば、ブラック企業への有効な圧力となることは間違いない。一方、海外では現在まで一貫してストが起きている。特にアメリカでは、「2018年はストの年」といってよいほど頻発した。しかも【教師が貧困家庭への公的支出増額を訴える】、【AI・アルゴリズムの透明化を求める】、【性暴力を防ぐ職場環境を要求する】など「社会問題の解決」を訴える「新しいストライキ」が海外では行われ始めている。このように、ストはアップデートし、もはや賃上げ要求だけを求めるものではなくなっている。こうした新しい潮流を紹介し、日本社会を変える道筋を示す。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ストライキ2.0はブラック企業のみならず、ブラック社会を変えるための市民に与えられた武器である。日本ではストライキなどのデモは世界と比べて行われていないし、印象もよくない。しかしこの本を読んで、想像を超えるストライキの意義と可能性を感じ、日本でも新たなストライキを展開させて世間の雰囲気を変えていければと思った。
ストライキの事例を読むと、今もちょっとした便利さのためにだれかの生活が脅かされているのだと胸が締め付けられた。
ストライキとは、①労働条件の向上を目的とした労使交渉において、交渉を有利に進めるために、②労働者が団結して集団的に労働しないことによって、③業務の正常な運営を阻害することである。その手段や目的は多様で時代や国によって傾向が違う
今までの日本のストライキは企業別で、一部の特権者や大企業の正社員が賃上げや終身雇用を求めるもので全ての人から好意的に受け取られたわけではなかった。
ストライキの原理を効果的に発揮するには、「新しいストライキ」が必要である。
新しいストライキとは、①企業の枠を超えた職業的な連帯の形成、②争点が社会インフラの維持や次世代の再生産など「社会的」なものに焦点化、③多様な階層の参加が特徴にある。
近年の日本ではこうした新しいストライキが行われるようになり、人々に共感を抱かせ、支持層を広げるのである。
海外のストライキにも日本と同じような傾向がみられる。
①台湾や韓国の産別化、②欧米中心の環境問題にまで広がる社会的正義の追求、③下層化
国際的に、労働組合の主張が「労働市場の規制」から「社会全体の再生産」や労働の自由や自律性の問題へと拡大しているのである。
なぜなら労働こそが社会を成り立たせており、今日の社会問題のほとんどは密接に関わっているからだ。
国の法律や対策でブラック企業の存在を発見し告発するだけでは、ブラック企業はなくならない。
今も私たちの暮らしを支える全ての働く人たちのために、労働環境の改善に向けて何か自分ができることをしていきたい。