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Posted by ブクログ
「コロナによる自粛」のために「対策」として買った2冊の単行本は、読むタイミングを逃し。
そのままズルズルと文庫本を読み漁る日々に戻る。
で、読んでみるとこれが「人種差別」を扱うタイムリーな話だった。
(2020年07月)
麻薬取引の容疑で少年が逮捕される。少年に不利な証拠が多く、まともな証人もいない。少年は知的障害を持ち、厳重な売人とのコネや、計画的な犯行が不可能なのだが…
弁護士のダニエルは、調査員ウィルの手を借りながら奮闘する。
司法制度や、人種差別についてはカバーの見た目からの印象よりだいぶ重たいテーマを真面目に扱っています。
根の深い問題、巨大な敵に主人公がどのように立ち向かうのか!?で読ませます。
そしてなんといっても主人公をはじめとした登場人物が魅力的
ダニエル・ローリンズ
本書の主人公、モテ女、連日二日酔い、ボロボロのスニーカー、
元夫のステファンが、めっちゃ好き
ステファン
ダニエルの元夫、ペイトンと婚約中
ペイトン
ステファンの恋人、狩猟が趣味
ウィル
ダニエルの調査員、イケメン、実業家
ダニエルのこと、めっちゃ好き
テディ
ダニエルの依頼人の少年
スポンジ・ボブがめっちゃ好き
(他にも妙な奴が色々出てきますがひとまず)
ダニエルの悪態のつき方やセンスが好き。(嫌いなペイトンにつけるあだ名が毎回変わるのも面白かった)
ウィルは男でも惚れるくらいの快男児
ダニエルは、結構感情で突っ走るタイプ、「駄目だ」と言われてもやるし
「無理だ、やめといた方が」と言われてもタックルをかますヤツ。
最後まで諦めない姿が、帯通り
読み終えてスカッとした。
2冊連続だけど、続編や
この著者の作品をもっと読みたいので
星五つ
Posted by ブクログ
おもしろかった〜!麻薬密売で逮捕されたのは知的障害のある黒人の少年。明らかにおかしいのに検察も判事も警察も彼を成年として裁き、有罪にしたがっている。権力持った人たちに目の敵にされると個人なんてひとたまりもないな… そんな中で身も心もボロボロになりながら、法廷で闘うダニエルに涙。カッコいいヒロインのさらなる活躍に期待してます!
Posted by ブクログ
知的障害のある黒人少年が麻薬密売の容疑で逮捕。弁護することになったダニエルは疑問を抱く。正しいことが通らないなかダニエルの真っ直ぐさと不器用さがもどかしいほどで、でもその人柄がとても魅力的。少年ソーンの造形もよく二人の交流も読みどころで楽しい。ソーンが関わった出来事の裏にあるものや、差別、偏見を利用しようとする人たちの怖さを感じる。ダニエルのプライベートも色々あったりと読み応えがあってシリーズ化にしてほしいくらいの面白さ。
Posted by ブクログ
なんて素敵な小説なんだ? これは読み終わったときの感想でもあり、読んでいる途中の感覚でもある。そう、ミステリーのプロットのみならず、読んでいる時間が充実している小説なのだ。
軽妙な一人称文体による、ぱっとしない女性刑事弁護士の日常を活写しながら、重厚で手強いテーマへのチャレンジング精神豊かな、骨のある小説なのである。弁護士ヒロインの名前を邦題タイトルにしているので地味な印象を受けるが、映画されても素敵だろうなと思うくらい、ヒロイン以外にも忘れ難く味のある個性派キャラクターが脇を固める。
騒がしいダニエルの生活基盤に入り込んで来るのは、捨て子で黒人で知的障害を抱える、まさに三重苦の少年テディ。この少年の描写が良い。この少年が生きて読者の傍らにいるんじゃないかと思うくらいに、優れていて、そんな彼の苦境に、きっと母性もあるのだろうな、女性主人公のダニエルは任侠道みたいな救済欲望を激しく感じてしまうのだ。
ダニエルの境遇は活き活きと描かれる。行きつけのバーの女店主ミッシェル、70代の隣人ベス、秘書のケリー、調査員のウィル。癖がありながらも優しさに包まれた境遇はきっとヒロイン自身の人柄の反映であるのかもしれない。
しかし、そんなダニエルは孤独にも苛まれる。ふとした浮気が元で離婚され、元夫ステファンは全米ライフル協会を代表するような狩猟マニアのタフ・レディとの再婚を待つばかり。一人息子のジャックともどもハッピーかつゴージャスな生活を送っている。そのジャックはなぜかダニエルに対して以上に優しく大人びて見える。ダニエルは完全な人格どころかアル中一歩手前の破滅的な生活で危ういバランスを取りつつ日々を送っているのだ。
そのダニエルと事件の渦中にある少年との出会いが本書のすべてである。彼女自身も捨て子という過去から、自分を投影するが、テディはさらに黒人で知的障害である。そして彼はコカイン取引の首謀者として逮捕される。証人は四名。警察も検察も判事もすべてが敵という四面楚歌。
作品世界はユタ州ソルトレイク。架空の町フーヴァー郡は、かつて犯罪者どもを隔離した町とのことで、州法も及ばないくらい警察や法廷の力が強い。さらに人種、人権などでの差別化を広げようと画策する権力者たちの動きが事件の背後に見えてくるにつれ、本書はリアリティと重さを増す。
本書の作者は実際にユタ州で刑事弁護士を務め、日々権力と闘い、弱者たちを救うことに命を賭けている当事者であるそうだ。道理でリアリティのあるアメリカの法解釈の病的な問題ににかくも鋭いメスを入れてきたわけだ。
ダニエルやテディのどこまでも魅力的な人柄と、まっすぐな正義を求める浪花節的プロット、巨悪に立ち向かう心意気。人間と人間が激しく情動を闘わせつつスリリングな展開に終始する熱い一気読み作品。
最近お気に入りのロバート・ベイリーと言い、今やアメリカン・ミステリ独自の売りどころは、<胸アツ小説>と言って良いのではなかろうか。
Posted by ブクログ
リーガルサスペンスというより、キャラクタードラマとしてシンプルに楽しむ。
作者は弁護士でも結構活躍した人と、作者紹介にあった。
同じような作家ではフェルデナンド・フォン・シーラッハの『犯罪』を読んだことがある。
そこでは同じ主人公目線でも「対象者(登場人物)を客観的に観察」していたのに対して、こちらは法廷弁護士自身の「お仕事」ドラマといったところ。
弁護士は「依頼者の味方、それも報酬分」は現実で、一部の企業弁護士等を除きけっこうな数の案件を同時進行していかないと、なかなか思った収入を得ることはできず、そんなに楽な仕事ではない。その描写は十分に伝わる。
それでも、テーマで取り上げている「少年犯罪」「人種差別」「障害者の自立」「裁判制度の矛盾」の描き方が、どこか「ステレオタイプ」に見えてしまう。
また、主人公を周辺とした「正義の味方」の白人の美男美女が、リベラルを振りかざしているところも、ちょっと……ネ。
そうはいっても終盤の裁判シーンはなかなかで、テレビの2時間ドラマのように盛り上がる。
読みやすく分りやすいので、(文句が多い割に)大いに楽しんだ。
Posted by ブクログ
ミステリーというよりはリーガル社会派小説という感想。信じられないけど最悪よりさらに悪い状況が次々起きる。アメリカの司法の世界ってこんな感じなの?とドン引き。著者自身元アメリカ法曹界に携わっていた人らしく、後書きに火のないところから小説のネタは出てこない的なこと書いてあったのでガチかも…。勉強になりました。
Posted by ブクログ
とても読みやすく、先が気になるストーリー。「酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士(裏表紙より)」ダニエルは、そんなことよりも正義感が強く、作者が訴えたいのはいまだに強く残る人種差別問題。ユタ州って全米屈指の治安の良さ(モルモン教のおかげ)って昔聞いたことあったけど、今は他と同じくワイルドな面もあるのだね。3.6
Posted by ブクログ
飲んだくれ(失礼)の弁護士が、障がい者が絡む不可解な事件に挑む。
アメリカならではなのかもしれませんね、こう言う問題は。人種にからむ問題は、今のアメリカそのものだと思います。
最後のどんでん返しは、お見事。それが、被告人の家庭に関する不可解な事情に繋がるとはね
Posted by ブクログ
読み終えて思わず、ヒュー!と口笛が出たよ。
気の利いたジョークで進んでいく軽い読み物のつもりで読んでいたのだけれど…ラスト60ページほどが読ませます。スピーディで手際いい語り口ながら、重い現実も盛り込んで、ぐいぐい来ます。
ミステリとしての弱さは少々あるけれど、シメも見事で、楽しかった。
Posted by ブクログ
人種問題が浮き彫りになってる今だから一層リアルに感じた。しかも容疑者は孤児で知的障害を持っている。主人公のダニエルに私は最初、良いイメージがなかったが、熱くて真っ直ぐ、何より自分に正直な点に好感が持てた。ミステリーとしてのミスリードも良かった。
Posted by ブクログ
ソルトレイク・シティの刑事弁護士ダニエルは、元夫の再婚が決まり、連日二日酔い出廷中。そんなある日、麻薬密売容疑をかけられた知的障害のある黒人少年の弁護依頼が。未成年なので簡単に不起訴処分に持ち込めるかに思えた。だが、いざ調査を進めてみると、少年は誰かに利用されたとしか思えないのに、何故か検察も判事も実刑判決にする気満々で…酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士が社会の闇を吹き飛ばす!
日本では初登場の作家らしいが、本国ではかなりの多作らしい。痛快な本作だけでなく、他の作品も翻訳を希望する。
Posted by ブクログ
MWA賞(エドガー賞)最優秀長篇賞の最終候補作品。
バツイチで大酒飲み、別れた夫に未練のある弁護士のダニエル・ローリンズ。
ダニエル(ダニ)は重度の知的障害のあるテディ、17歳(もうすぐ誕生日)が麻薬の取引をして逮捕された事件の弁護をテディの里親に依頼されます。
ダニは、テディは全くの無実で幼なじみのケヴィンたちに、嵌められたとして調査を始めます。
ダニも里親を転々とした身の上で、今は弁護士として働いていますが、テディをほっておけず、ダニは自分でテディの保釈金まで支払います。
そして、ダニはある日テディがホームレスたちのシェルターで暴力を受けているのを発見します。
テディの家に行ってみると、両親は、ユタ州では18歳以上の子どもの養育の義務はないと言われ、テディを自分の家に連れて帰ります。
テディは身体は大人でも中身は子供のままでした。
ダニは周りからテディを守ろうと必死になります。
テディの純真無垢さには心を打たれました。
表紙の絵や主人公ダニのキャラクターなどから、最初はコミカルな印象をうけましたが、大きな社会問題(人種差別)をリアルに描いた作品でした。
社会派のリーガル小説です。
最後は事件にもダニの恋愛にも大きなどんでん返しがあります。
ただ、事件の問題解決の理由が、最初に提示された社会問題とかなり異なっていることに違和感を覚えたので、星の数は減らします。
★このレビュー、最初に間違えて電子書籍で登録してしまったので、2度目です。
いいね!してくださったフォロワーの皆さまごめんなさい。あちらは削除させていただきました(__)