あらすじ
強引な幅寄せ、ノロノロ運転と急ブレーキ、堂々と路駐……公道上でとかく悪者にされるトラック。そのドライバーも「態度が悪い」と批判されがちだが、内情を知れば、複雑な事情が見えてくる。「彼らは底辺職なのか」「休憩中エンジンを切らない理由」「プロの眠気対策」等々、これまで語られてこなかった本音を元トラックドライバーの女性ライターが徹底解説。読後、街中でトラックを見る目が一変すること必至!
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Posted by ブクログ
女性の大型トラックドライバーによるエッセイ。
大型トラックの事情がいろいろ分かる。
ちょっと見方変わった。
・トラック運転手がハンドルに足を上げて休憩するのは足のむくみ解消の為。
・路上駐車が横行するのは某社の「ジャストインタイム」方式の為、早く着いても構内に入れてもらえないことが要因の一つ。
・サービスエリアに長時間滞在するのはドライバーを守る法律の為に休まないといけないのに休む場所が他に無いから。
・高速出口付近のサービスエリアが混雑するのは“会社の命令で”ETC深夜割をねらう必要があるため。
・渋滞時に車両間隔をあけてノロノロ運転するのはトラックの仕様上、一旦停止すると再起動に多くのエネルギーと手間が必要なため。
・車間を詰めてくるトラックが多いと感じるのは、運転席の視界が高い為、車間が良く見えて距離を詰めやすいのと、距離があったとしても普通車から見て大きいので圧迫感があるという複合要因。
体力仕事のイメージが強いけど、大きなマシンを運用する職人的な側面も強く、その制約と法律と会社のルール等とうまく付き合うスキルがあり、会社を超えたドライバー同士の横のつながりも大事にしていて印象変わった。
他に眠気対策をいろいろ頑張っているのも参考になった。
自分も時々ウトウトしてしまうので。
「煽り運転は、「凡人」が「高級車」に乗ると起きやすいように感じる。」は名言。
トラックの話も面白いのだけど、前半の著者の人生も読み応えある。
こっちの話ももっとしてほしかった。
最後に備忘録として、トラックドライバーさんの横のつながりの象徴ともいえる慣習を引用しておきたい。ちょっと長くなるけど短い言葉で伝えられないので大半を転記。
「あなたが普通自動車のドライバーだとして、赤信号を先頭で右折待ちしている。
自分の車の後ろにトラック。対向車線にはこれまたトラックが同じように赤信号を待っている。
こういう場合、信号が青になった瞬間に、対向車線のトラックはすぐに直進せず、あなたを先に右折させることが多い。
あなたのためでなく、後ろのトラックの為にしている。そうでないと車幅が大きいトラックの後ろが詰まるからだ。」