【感想・ネタバレ】「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?のレビュー

あらすじ

革新的(イノベーティブ)な成功を収めるイタリア経済をデザイン戦略から読み解く。
「好き」「美しい」「美味しい」といった感覚を可視化し、モノに意味を与え、
作り込み、世界に売り込むその手法とは。

[推薦]
「好き」「美しい」「美味しい」を可視化する。
モノに意味を与える。作り込むだけでなく、
意味を世界に売り込む。
デジタル過剰時代における「狭く深い」
商売の競争優位を解き明かす。
楠木建(経営学者/一橋大学教授)


狭く深く攻めるためのアイディアとは。
カギは「意味のイノベーション」と「アルティジャナーレ」。

これまでの高級車、ファッション、食に限らず、生活用品(文具、バッグ、セラミック)、
それから教育に至るまで、世界を魅了し続けるイタリア製品のデザイン思想。
そこにメイド・イン・ジャパンが覚醒するためのヒントが潜んでいる。

日本の「職人」とイタリアの「アルティジャナーレ」はどこが違うのか。
イタリア製品はどこに「価値」を生み出しているのか。
イタリア企業は経営において戦略的デザインをどのように描いているのか。

本書では、イタリアのデザイン経営学者ロベルト・ベルガンティ教授の紹介者でもあり、
盟友である、ヨーロッパで長くコンサルタントをおこない、
30年にわたりイタリアに住んでいる著者が、イタリアの文化的文脈・背景をベースに
彼らのチャレンジについて深掘りすることで、これからの商品開発・経営・人材教育に欠かせない
「意味のイノベーション」を日本の読者に向けて紹介する。

【意味のイノベーションとは】
ロウソクが「灯りをとるため」のものから「心を和ますため」のものになり、
写真が「ものごとを記録するため」から「アイデンティティを確立する手段」
(たとえば、SNSにおけるセルフィー)に変わってきている。
このような「意味の文脈の変化による新しい価値の創出」を
ベルガンティ氏は「意味のイノベーション」と呼んでいる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

1.イタリア産の革製品やスーツを何着か買ったことがあるのですが、非常に使いやすく愛用させてもらっています。ファッション業界を見るとメイドインイタリーという表示をよく見るために、なぜ日本ではイタリアが人気なのだろうと思いました。

2.メイドインイタリーには「意味のイノベーション」「アルティジャナーレ(職人的な)」という言葉が土台となっています。これは、ただモノづくりをするだけでなく、自分が好き、美しい、美味しいと思わないものを作らないということです。つまり、審美性を重要視しています。それにより、画一的で無機質なものではなく、モノを持っていることで価値があると思わせてくれます。
ここまでイタリアの産業が発展した理由は3つあります。1つめは政府主導ではないことです。これは、民間企業が自ら努力していくことで強い経営が実現できます。2つめは、中小企業でも軸をもってビジネスをしていることです。日本では、大企業=良いという固定概念が植え付けられていますが、イタリアではこのようなことはなく、中小企業でも自分たちのスタイルを貫いて海外市場に展開しているということです。3つめは、テクノロジー主導ではないことです。日本やアメリカではいかに効率良くするかばかり念頭に置きますが、イタリアではテクノロジーに頼らなくてもビジネスを成功させるためにはどうすればよいかを考えています。
このような考えのもと、メイドインイタリーは世界で最も人気のブランドとなっています。

3.日本の中小企業ならマネできる部分があるのではないかと思います。いまだに、全員に好かれるためにはどうすればいいのか、100%の正解を出すことへの固定概念みたいなものを感じます。もちろん顧客を増やすことは重要なのですが、万人に好かれることはないと覚悟することも大切だと思います。そのため、中小企業では、自分たちがやりたいビジネスは?好きな商品は?と問いかけることで、大企業に負けない市場獲得ができるのではないかと思います。思い出してみれば広島?かどこかの椅子を作っている会社の社長が「自分の会社なのに、魅力的だと思えるものが一切ない」といって経営方針を一新したという話があります。このような負のスパイラルに陥らないためにも、自分たちの理念や審美性を見直していく必要があるのだろうと思いました。

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2020年07月19日

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