あらすじ
父の跡を継ぎ、浅草で「鮨芳」を営んでいる鮨職人・山内鬼一は、
ある日、常連客の花房潤一の訃報を聞く。
彼は、地震の被害に遭い避難所にいる別居中の妻の様子を見に鴨川へ行ったとき、余震に巻き込まれたと思われたが、服毒死と判明。
おまけに彼には、祖父の莫大な遺産が従妹たちとともに入ることになっていた。
山内は、母親のタツと事件の謎に迫るが、まもなく第二の殺人が起きる。
(『浅草殺人案内』改題)
プロローグ
第一章 三人の相続人
第二章 揺れる房総
第三章 避難所の死体
第四章 三つの疑惑
第五章 電話の声
第六章 毒物の経路
第七章 二本のジョニ黒
第八章 第三の死
第九章 新たな容疑者
第十章 押入れの死体
第十一章 積まれた寝具
第十二章 偽りの調査
第十三章 消えた遺産
エピローグ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
浅草リアリズム版「犬神家の一族」とでも言おうか。金持ちの祖父が残した、子孫をいがみ合わせたいかのような遺産を巡って、相続人たちが殺されていく。細かいところに神経の行き届いた、端正なミステリだけれども、作者の再評価につながった長編のような大仕掛けはなく、かなり地味。どこか書き割りじみたキャラクターも魅力に乏しく、こと探偵役、酒と女のだらしのないぐーたら人間なのはともかく、可愛げがないのはどうにかして欲しい。
Posted by ブクログ
浅草の寿司屋の大将·山内はある日常連客の花房三兄妹+αから遺産相続の話を聞く。相続人が亡くなった場合の物騒な条件を笑い話にしていたが、地震の被害に巻き込まれて一人が死亡…と思われていたが毒殺と判明。そしてすぐに二人目の被害者が。1995年刊行だけど時代設定としては遥か昔の昭和感覚。刑事が山内の寿司屋でまったりしたり捜査状況漏らし過ぎとか。男女関係や行動がステレオタイプとか。そのせいかどんどん事件が起きるけど殺伐さはあまりない。トリックは正当派だと思うけどこれは感覚的には納得出来なかった。いや私逆だし。