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Posted by ブクログ
大学生でありながら、世界的な天才美術家烏山響一。
彼に惹かれながら怖れる捷(さとし)と律子。
突然姿を消してしまった婚約者・黒瀬淳(あつし)を捜す婚約者の夏海と大学時代の友人である和繁。
ふたつの人間関係が、熊野で一つになる。
地元の名家・烏山家の持つ個人的な野外ミュージアムを舞台に、おぞましいほどのイメージの奔流が、読む手を止めることを阻む。
どういうこと?
なんでこんな目に合わなきゃならないの?
とにかく烏山響一が恐ろしい。
出てくるだけで不穏な気配に圧倒される。
多くの人は彼のまとう負のオーラに気づかない。
気付く者こそが、彼に招待されるのだ。
そして芸術家を多数生み出す烏山家の謎。
昔からの名家でありながら、広大な敷地を高い塀で囲った中にある烏山家。
何かある…はず。
恩田陸の作品に多々あるとおり、最後の落としどころがするっといきすぎて物足りないけれど、捷が、律子が、取り込まれそうになるところまでは手に汗握って読みました。
鍵を握る人物は最初からわかっていたので、いつ姿を現わすのか、どう現わすのかと思っていただけに、ああ、そうきてしまったのね…という感じ。
結果として私は「至上の愛」ってトラウマになりそうだけど、それは間違った読み方であることに自覚もある。
ただ、香織の婚約者の洞察力の根拠と、橘のその後(助かったの?)を知りたいです。
Posted by ブクログ
途中から後半臨場感溢れるシーンに緊張や恐怖が強まり一気に読み進めた。でもこれはどう終わりを迎えるんだろう?え?まさか幻想とかじゃないよね?あれ?
香織が出てきたところからあっという間に収束。何も無かったかのように…
んー、な気持ちで読み終えた
Posted by ブクログ
烏山響一と黒瀬淳の二人が焦点となる話。
イメージ映像合戦でエンドゲームを思い出した。
失踪した黒瀬淳を追う話はサスペンスで引き込まれるし、烏山響一のほうの捷と律子は何が起きるのかというワクワクで面白かった。
特に何億何十億と巨大な資産を投じた山の中の美術館のシーンは面白かった。ゲストハウスのカラクリはきっと地震体験の家のようなものなんだろうな。
記者の橘とその弟、首無し死体についてはよくわからない。弟が首無し死体になったのか?橘がそうなるには時系列的に合わないし。
作者自ら〈バリバリ邪悪路線の男〉と言われた烏山響一については、その評価に笑うが、自分はあまり邪悪さを感じなかった。置き去りにするし負のエネルギー蓄えようとするし無償の愛を信じてないし理解できないけど、彼の描写について薄くて、あんまりなあっていう印象。
黒瀬についてもそう。
夏海さんがガラリと態度を変えたというか、あれ演技なのかよ!っていうのがショック。絶対後付けでしょ。態度を変えられてよくわからなかった。
最後は姉のおかげで助かるけど、姉よくたどりついたな。『ロミオとロミオは永遠に』並みにすごくない?
あんましこの作品のオチは…って言われてたので覚悟してたけど、夢オチのような、終わり方で笑った。ホラー映画のような…まあそれに近いしな。
またあのインスタレーションを味わいたくなったら読むと思う。