あらすじ
謎の男たちに追われる、大学生の三咲。
あやうく捕まりかけたところを、ミツルという名の変人に救われる。
三咲は、ミツルがたった一人の「友達」であった海斗と交わした約束を守るために、かつての同級生である成瀬を止めようとしていることを知るが――。
それぞれの切ないまでの“友情”が胸を打つ青春群像劇。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
デビュー作『名もなき世界のエンドロール』を読んだとき、すごく悲しくて 大泣きしました。
今作も それに通じるものがあります。
登場人物たちが 高校生だとは思えないほどに 内容がハードなので、読むのがしんどい部分もありますが。
「寂しい」を体現した小説。
Posted by ブクログ
かなり面白かったし、読後感もさわやか。だが、物語の作り方は「名もなき世界のエンドロール」と同じように色んな時間軸を行ったり来たりして少しずつ真相を読者に伝えていく。この作風が続くと、この作風しか書けないのか勘ぐってしまう。面白かったけど。。。
ミツルと成瀬と海斗がどういう経緯で今対峙することになっているのかが、次第に明かされていき、終盤はページをめくる手が止まらなかった。海斗は成瀬の策略にハマらないで欲しかったけど、成瀬は既に王様で、それに比べると海斗は普通の人ということだから、仕方ないのか。
友達のために命をかけるミツルの生き様は真似できないけど憧れる。青春時代を思い出す良い話だった。
Posted by ブクログ
表紙やあらすじを見る限り、爽やかな青春小説かと思いきや、ディープすぎる群像劇でした。
物語の構成は、時系列がバラバラで進行しています。その瞬間での出来事を説明するために事前に過去の出来事を振り返るという形になっています。ジグソーパズルをはめていくように出来事だけでなく、登場人物の正体も段々と明らかになるので、ジワジワと迫ってくる感覚が良かったです。
文中には友達を「トモダチ」とカタカナ表記しています。脳裏をかすめたのは、浦沢直樹さんの「20世紀少年」。
この作品では、平仮名表記ですが、近からず遠からず類似しているところがあり、ある意味祀っています。
友達の定義ってなんだろう?友情の定義ってなんだろう?
色々考えさせられました。
一つの出来事をきっかけに同級生同士の友情が次々と崩れていきます。読みやすかったです。でも読めば読むほど辛い状況で、〇〇の恐ろしさを改めて感じました。切なすぎる友情の物語でした。
犯罪者って昔は、みんな普通の人だったのに一つの興味から堕ちていく。現実の世界でも、もしかしたら同級生の中にそういった人がいないとも限りません。
友達でもそれに反対できる勇気、しっかりとした精神がもてるか自信はないですが、その場での判断が大きな岐路に繋がりかねないということを考えさせられた作品でした。
Posted by ブクログ
謎の男たちに追われる大学生の三咲の前に現れたミツルという名の変人。理由が分からない彼女だが、追う側にも守る側にも過去の約束と因縁があった。それぞれの切ないまでの友情が胸を打つ青春群像劇。
行成作品のテーマは"今そこにいるヒーロー"である。"トモダチ"という定義が曖昧で個人差のある言葉に、束縛された人生と運命を左右された若者たちの物語だが、誰にも共感できないのが辛い。