あらすじ
「この工場が死んだら、日本の出版は終わる……」絶望的状況から、奇跡の復興を果たした職人たちの知られざる闘い「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」――2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。しかし状況は、従業員の誰もが「工場は死んだ」と口にするほど絶望的だった。にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員たちの闘いが始まった。食料を入手するのも容易ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。東京の本社営業部と石巻工場の間の意見の対立さえ生まれた。だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクションが待望の電子書籍化! 解説/池上彰
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私は震災をきっかけに石巻に就職し、数年間生活していました。震災から4年後のことでした。私は日和大橋を通りながら見る工場夜景が好きでした。そんな景色に、様々な人の思いが詰まっていることを、この本を読んで今更初めて知りました。
震災当時を知らない者として、色々な場所に行ったり、人の話を聞いたりしましたが、残念なことに記憶は薄れていきます。また、実際に震災を経験していないので、残念ながら他人事のようにも思っていたのでしょう。
この本を読んでいる時に、地震が来ました。普段の地震より、恐ろしく、自分事に感じました。幸い被害はありませんでした。もしもの時のために防災グッズを見直しています。
こうして、震災の記憶を残してくださったことに感謝し、定期的に触れることが大切だと思いました。
Posted by ブクログ
東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場の復興までのノンフィクションです。
工場を復活させるという社員たちの熱い気持ちが伝わりました。ありがたいことです。
毎日本を読んでいながら、石巻で紙を造っているということを知りませんでした。
出版社によって紙へのこだわりがあることを知ったので、本を読むときには、紙の匂い、色、手触りを充分に味わいたいと思います。
Posted by ブクログ
東日本大震災、被災した日本製紙石巻工場の復興を描いた感動のノンフィクション。決して美談だけでなく、悲しい現実もしっかりと描かれている。
筆者が早逝した後に読むとなおさらに胸に迫るものがある。本作を書く宿命というか使命を持って生きてきたような。
後世に語り継ぎたい名ノンフィクション。
読書好きにはこれまたたまらない内容、縁の下で読書を支える紙の魅力とそのための関係者の努力にも注目。
Posted by ブクログ
いろんな種類の涙が止まらない。
生の声、生の匂い、生の感覚が否応なく伝わってくる。
絶望感も見出す希望も感動も絶対に同じようには感じることができるとはとても言えないが、だからこそ今感じているこの感情を忘れてはいけないと思う。
たくさんの方に読んでほしい。
Posted by ブクログ
「本はやっぱりめくらなくちゃね」作中の登場人物の台詞が去来する。私も同感だ。本書には東日本大震災で被災した日本製紙石巻工場の復活秘話が臨場感とともに書かれている。単なる苦労話に終わらず、被災時の凄惨さと復活に賭ける職人たちの熱い想いに鳥肌が立つ。紙よりも電子で文字を追うことが増えた昨今、改めて紙をめくることの喜びを感じさせてくれる一冊であった。
Posted by ブクログ
何よりも、「この出来事を本にして、世の中に知らせるのだ」という意志を感じた。
冒頭70ページの東日本大震災の当事者からの目線だけでも圧巻だった。
そこから、キレイだけでない話、人間の絶望と希望、紙製品への誇り、プラントへの愛。
様々な要素がテンポよく混ざり合って駆け抜けていく、レベルの高いノンフィクションであった。
Posted by ブクログ
メモパットのインスタライブで知った本。b7バルキーという紙。b7は紙を作った人が好きなギターコードでバルキーは嵩高の意味だと言っていた。本当かどうかは知らんけど。紙についての説明も見逃せないノンフィクション。東日本大震災の悲惨さ。製紙工場存続の危機。出版業界との信頼関係。この人たちがいたから紙の本がつながったんだなあ。この作者の別のノンフィクションも読みたくなった。
Posted by ブクログ
震災の記憶は少しづつ風化してゆく。人間として普通に生活していくためには、忘却も必要なことではあるが、時には、しっかりと向き合い思い出すことも必要である。そんな時に、この本はしっかりと思い出させてくれる良書です。
Posted by ブクログ
震災当時勤めていた会社が製造業で、同じ様に瓦礫や車が倉庫内に突き刺さり、ご遺体などもあった。まさに共感する場面が続いて、泣きながら読んだ。日本製紙の人々に感動した。
Posted by ブクログ
東日本大震災で被災した1企業の様を記した本である。東電関連の著書は多々ありTVや映画で放映もされ、私も多少は知り得ている。
が、今回、日本製紙石巻工場の話は初めて知った。被災者の生の声、世間には届いていない事実等もっともっと伝えていかなければならない。風化させてはいけない。誰もがいつ被災者になるか分からないのだから。
この本を1人でも多くの方が手に取り、紙をめくり、その感触を忘れずに、そして震災の事を思い出して何かを感じてくれます様に…
そしてそして、やはり私は紙の本が好き!
「本はやっぱりめくらなくちゃね…。」
これからは紙質や色味等にも関心を持って本に接していこう…
Posted by ブクログ
涙なしでは読めない、良作でした。
ノンフィクション、震災を扱うもので日本製紙の方々、震災に見舞われた方に対する敬意を感じる丁寧な内容と感じました。
冒頭からの時系列での出来事は、もう、文字で読むだけでも辛く涙が止まりません。
決死の避難、生き抜く様子にはなんと言えば良いのか。とにかく多くの人に読んでもらいたいと思いました。
こんな事があったと知って欲しい(もしかしたら知られてるのかもしれませんが私はこの本で知りました)、教訓を生かして一人でも多くの人が災害で生き抜いて欲しい、救われて欲しいと強く思いました。
助かった後の困難についても描かれています。
日本製紙という会社内の出来事だけでなく、周りの地域住民から供給物資について誤解されたり、泥掻き出しを任されたり、日本製紙は悪くないのに!と憤慨してしまいそうになるけれど、
災害は誰も悪くなくて、人は非常時に周りのことが考えられなくなり、こんな風になってしまうものなのかな、と物悲しくなりました。
そんな中でも日本製紙社員は腐る事なく、短期間でのマシン復興のために黙々と気の遠くなる作業を続けてきた事、尊敬します。
文章で書けば短いかもしれないけれど、その当時は終わりが来るのか先が見えなくて辛いでしょうし弱音も愚痴も吐きたかったでしょうし、鬱憤を発散したかったと思います。本当にお疲れ様でした。
日本製紙の各役職の方々が、この本で読む限りとても素晴らしい方達ばかりで。
その役職につくからには責務を全うするという気概が感じられて胸が熱くなりました。
「自分」「私的」を押し殺して、日本製紙の社員として、の行動に感動しました、特に当時の石巻工場長の倉田さんには心を動かされっぱなしでした。
工場長として発破をかけねばならず、半年復興、と言い渡し、周りに徐々にやる気が伝播し、実現まで至る。
最初の「半年復興」と言う時の勇気といえばいいのか覚悟といえば良いのか。葛藤があったと思いますがとにかく日本製紙石巻工場のために注力した様に敬意を表したいです。
倉田さんの退職後のお言葉は沁み入るものでした。実際に体験しないと分かり得ない辛さがあるんですね。そうですよね。
倉田さん、
今『鬼滅の刃』はじめ大人気作品で漫画市場が盛り上がってますよ。
私は紙の本が好きです。
8号親分の憲昭さんの紙の説明は知らないことばかりでした。小さい頃から触れてきた週刊漫画やコミックス、本の紙が届けられる読む側を思って作られていた事。
嵩とか、手触りとか、切れないように、なんて気づいてなかったけれど気づかないうちに守られてるきたんだなと考えると涙が出てきます。
紙で読むのが大好きです。
漫画は手がコミックスのどこの辺りを読んでいたか勝手に覚えて、あのシーンを読み返したいと思った時に紙の本だと目星がつきます。
でも電子書籍だと何巻のどの辺りだったのかが中々検討がつきません。
スワイプは便利で一瞬ですが、紙のページを捲る時は五感で本を味わってたんだなとわかりました。
『スマホ脳』でも、スマホ依存に警鐘が鳴らされているので本/漫画を読む時まで電子じゃない方がいいんじゃないかと個人的には思います。
でも、電子書籍の良さも電子書籍が性に合う人もいると思うので選択して自分の好きなものを読めばいいと思いますが多感で様々なことを経験してから自分に合うことを学んで欲しいと思う子供達、若い世代には紙の本にまず触れて欲しいなと思います。
『紙つなげ』というタイトルがどのような意味を持っていたのか、ピンときていませんでしたが本を読むとわかります。
また、エピローグで冒頭の気になっていたエピソードが回収されるので単純に読み物としてもクオリティが高いと感じました。
文庫版の解説で、著者の方が『エンジェルフライト』も書かれていると知りました。
国際霊柩送還士について書かれた本で、2013年5月に存在を知りほしい物リストに入れてましたが読む機会がありませんでした。
でもこれをきっかけに手に取ってみようと思えました。
思えば、この本も、『「本をつくる」という仕事』を読んで存在を知り、そのように繋がって手に取ったもの。
紙がつながれて、本となり、お店に並び、本同士で繋がり、私に届いてくれた気がします。
店頭に並ぶ本の紙について意識を向けたことがあまりなかったけれど、この本を読んだことでこれからは今までより紙の手触りや嵩、色や風合いを意識しそう。あたらしい世界の扉を開いてもらった気持ちです。
また、この本は終盤に使用した紙の種類の記載もあり、取材対象の日本製紙への愛を感じました。
工場の主要機械の復興、稼働、と高い高いハードルの目標のためにがむしゃらに動いたことで震災の悲惨さに心を傾ける隙間もあえてもたせずに邁進してたのかなと思いました。
だから、この話の中で語られる感動の機械再始動の後に燃え尽き症候群のようになってしまう人がいなかったのか、心配です。
震災に遭ったことも辛いですし、その後の非日常の日常を過ごし続けることも大変なストレスだったと思います。
それを知るのが遅くなってごめんなさい、という気持ちがあります。
工場がこれからも紙を生産し続け、本の紙が売れて欲しいので私は正規のルートで、書店で本を購入しますし、海賊版や違法サイトには手を出しませんし、そういったものに対しては批判の声をあげていきます。
送る側がここまで丹精込めてしてくれているのだから、受け取る側も大切に受け止めたいと思います。
当たり前のように本や漫画を享受して、
価値を理解できずに買い叩こうと違法に手を染めても自分だけ楽しめば良いと間違った倫理観を持つ人がいるのが悲しいです。
あなたが見てるその楽しい漫画や本の向こうにどれだけの人が汗水垂らして必死の思いで働いて届けてくれているのか、想像力を働かせてほしいなと願います。
正しくお金が流れ、頑張った人が報われる世の中でありますように。
Posted by ブクログ
石巻にある日本製紙の工場の再生に関わる人達の生きざまを丹念に綴った1冊。
その場にいた人ではないと決してわかりえないし、同じ場所にいても見ていたもの、思っていたことは、ひとりひとり少しずつ違うのだろう。
同じ本の紙と言っても、出版社によって色味が違う。漫画や文庫本、雑誌、新聞とどれもそれぞれに考えられた紙が使われている。
どうしても本は紙媒体のほうがいいと思いながら、どこで作られているなんて考えたことがなかった。まさか被災地で作られていたとは。どんな想いで、半年と期限を決めて工場の再建に尽力してきたのか。
美談だけでは済まされないことが、日々の生活の中で被災した日もそれからの日々にもあり、そんな中を生きてきた。その場にいなかった私は、忘れないように、こうして記録してくれたものを読み続けることしかできないけれど、読み続けていこうと思う。
Posted by ブクログ
東日本大震災で被災した日本製紙石巻工場の復興ドラマ。企業のBCPのあり方、製紙過程、そこで働く者たちの熱き想い...。また、被災地の裏側も丹念に紹介。う~ん、この筆致には脱帽。著者の作品は今後も手に取っていきたい。
Posted by ブクログ
1日で一気読み、グッとくる熱量を感じる作品だった。半端な企業小説よりもはるかに得るものがある。
本当に駅伝のように石巻工場の職員たちは紙とともに思いや魂もつないでいる。
絶体絶命のときこそ本当の責任感やリーダーシップが試されるのかもしれない。
自分だったら彼らのような行動をとれただろうか。今、プライドを持って仕事と向き合えているだろうか。そんなことが頭に浮かぶ。
日本の職人魂が存分に感じられる、そしてやっぱり本は紙に限ると思わせてくれる名作。
Posted by ブクログ
一万円選書の4冊目。
普段は手に取らないノンフィクションで、しかも東日本大震災の話というところから重たくて読みにくそうと思っていました。
しかし読み始めると、ノンフィクションだからこそ話の力強さに何度も心動かされ、あっという間に読み終えました。
今思えば、我々はまるで病気のようだったな。そして、今も心に何かを負っている。
日本製紙石巻工場の工場長倉田さんの言葉です。
震災を経験した人にしか分からないものがたくさんあると改めて思いました。
そして、復興の日々を乗り越えた人にしかない強さがあると思います。
彼らの強さに感動し、最後は涙が止まりませんでした。
この本を読めることも当たり前じゃないんですね。
一枚一枚の紙を作ってくれる人がいる、そんなことも今まで意識したことがなかったです。
Are you aware that there are differences between the papers of the publishers?
They have their own commitments and pride.
Posted by ブクログ
まだ読んでいる途中ですが、前半の震災直後の様子が読んでいて、堪える。
震災の経験談を基に映画いていると思いますが、今まで知らなかったことが多く、安易に使いたくないですが、まさに生き地獄のようだったんだと痛感しました。
Posted by ブクログ
震災・津波の被害状況やその時の人々の様子が、目の前で起こっていることのように描かれています。胸が痛みました。大変な中で日本製紙石巻工場が半年で工場を動かすというお話でした。紙の本のために、こんなに頑張ってくださっているのだとわかって、これまで以上に本を大切にしたいと思いました。
Posted by ブクログ
読んでよかった。
がんばってがんばってふんばって工場を復活させたという話だけじゃない。
津波から何日も何週間も経ってから遺体が発見されたお子さんの話、薄笑いを浮かべて金属バットをふるい地震や津波からせっかく無事だった店舗に強盗を働く一般人の話も。
知れてよかった。
Posted by ブクログ
以前から読もうとは思っていたが、著者が亡くなったというニュースを見て手に取った。
辛い、心が痛むような話もあるが、最後は何か心に温かいものが残る気がした。
電子書籍もいいけど、やっぱり紙の本を読み続けたいと思った。
Posted by ブクログ
ノンフィクションの迫力に圧倒されたというのが、正直な読後感。筆者の綿密な取材とその筆力によるのが大だろうが。
3.11で被災し、従業員たちの死に物狂いの働きによって再生した日本製紙石巻工場の物語。
日本の製紙業の盛衰は自分たちの工場にかかっているのだとの誇りを持って、是が非でも立ち直らせようとする男たちの熱い思いが行間から伝わる。
津波の被害により泥水の中に埋もれ瓦礫の堆積した工場、誰もが復興に不安な気持ちでいるときに、工場長が、復興を宣言する。
「そこで、期限を切る。半年。期限は半年だ」と。
期限を切って社運を託された彼らが、必死になって立て直す様は、感涙もの。
彼らが何故、これほど必死になって石巻工場を立て直すのだろうか、との答えとして著者は、我々の手元にやってくる本のため、と記す。
工場長が明かす。「とにかく良い本、良い紙をと、お互い一生懸命でした」。
取材で、各出版社によって文庫の色の違いも示される。
「講談社が若干黄色、角川が赤くて、新潮社がめっちゃ赤。普段はざっくり白というイメージしかないかもしれないけど、出版社は文庫の色に『これが俺たちの色だ』っていう強い誇りを持っているんです」
思わず各文庫を取り出して比べてしまった。
その他、本の装丁や彼らの仕事に対するこだわり、出版不況の現状等が数々綴られている。
我々が当たり前のように手にする本が、彼らの巧まざる努力で造られていることを、ノンフィクションライター=佐々涼子氏によって明らかにされた。
製紙工場の人たちの仕事のおかげで、読書が楽しめることに改めて感謝したい。
Posted by ブクログ
この本を通じて、自然災害の恐ろしさと自分の手元にある本がどのような過程を得てあるのかを知ることができた。
紙がどこからきてるかなんて考えたことなかったけど、多くの人の努力によって作られてるんだな。
最近は本を読むことが習慣になり、出版業界が明るくなってほしいと思う。
Posted by ブクログ
とても読みやすく、面白かった。紙の本が好きだと言いながらも、紙のことをまだまだ知らないものだと思った。本書をただの美談ではなく、繰り返し読んでいたいと思った。
Posted by ブクログ
テレビや新聞では報道されない3・11の様子があり苦しくなりました。
あーそうだ、紙が無くては‼️
ご苦労された方々の努力に頭が下がります。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
東日本大震災で宮城県石巻市の製紙工場が被災されました。「半年で再稼働させる」という言葉を信念に関係者が一丸となります。読みながら、頭の下がる思いでした。
Posted by ブクログ
泣くだろうなと思って読んだけど、やっぱり泣けた。
紙を作るって、こういうことなんだ。
電子書籍も嫌いではなく、便利だと思う点も多分にあるが、何冊楽しく読み終わってもどうしても残る、何か物足りない感じの、正体の一部が見えた気がする。
震災後の被災地が、報道されたような美談に満ちていたわけではないことも、ちゃんと書いてあって良かった。
Posted by ブクログ
テレビや新聞では報道されないような視覚、聴覚、触覚、嗅覚に訴えかける描写に圧倒されました。
「あの日、もっと助けられたんじゃないかと思う」
生き延びた人はそう思い、自分で自分を責めることがあったのだと気付かされました。
読んでいても気の遠くなるような難題に次ぐ難題を解決し、再び運転にまで漕ぎつけたのは、自分たちが本の紙を造っているというプライドが原動力となっていたのだと思います。
震災の後、このような出来事があったのだと心に刻んでおきたいと思いました。
Posted by ブクログ
2023.12.31。イベントの待ち時間が予想できたため、外出に持参して読み始めた。
東日本大地震で被災した、日本製紙石巻工場の話だ。
当時、この工場の情報は耳にしていたのだろうか?覚えてない。
まずこの本を読んで、いかにこの石巻の製紙工場が"自分にとって"大事か、思い知らされた。この工場がつくった紙でつくられた本の作品名がいくつか挙げられているが、どれも読んだことあるもの。本の紙って、もっとオートメーション的に、どこでも誰でも作れるようなものだと思ってた。思えば、ファッション雑誌、月刊漫画誌、文庫本、単行本、色んな本の紙を触ってきて、それぞれ違うなとなんとなく知ってはいたはずなのに、考えもしなかった。
そして、震災当時のリアルな話。どこから助けを呼ぶ声がしているかもわからない、どこかの瓦礫の中、あちこちから声がするのに、瓦礫や危険な汚濁水で助けに行けない。目の前で人が波に攫われていく。助けられなかった、見殺しにした。
せっかく無事だった民家やコンビニを襲って、物をとっていくひとたち。生きるためにやってるんじゃない人たち。
根も歯もない噂話、罵倒。明るくいようとすると、なんでこんな状況で笑うんだと責める人たち。
震災なんてなければ、そんなもの見ることもすることもなかったはずの人たち。
自分を見失ったら生きていけない。そんな中でもしかしたら、日本製紙石巻工場の復興目標は、従業員に道筋を持たせてくれたのかもな、と思った。
2024.1.1になってすぐ、石川県を中心に震災が。
とにかく早く逃げて、津波からは逃げて生きてほしい。大津波警報を聞きながら、ひたすら願った。
Posted by ブクログ
震災をうけた製紙工場の話。半年で機械を動かすを目標に進んでいく。
あの大きさの被害を受けながら、半年で現実に機械を動かすなんて、まるで架空の話のようだ。映画やドラマでなく実際に起こったことが信じられない。
多分、この本に書ききれない思いや苦労がたくさんたくさんあったことが想像できる。