あらすじ
「何かあった時のために
いちばん読んでおきたいエッセイマンガ」
ヤマザキマリ(漫画家)
2011年3月11日、実家が津波で流された!!から9年!!
2013年春の発売以来、ロングランで支持され続ける、
母娘三代の実録自宅再建エッセイマンガ『ナガサレール イエタテール』が
『完全版』として、堂々カンコウサレール!!
ニコルソンの実家は、宮城県の海沿いの町、山元町。
2011年3月11日、この町を未曾有の大津波が襲った。
「生まれ育った土地に帰りたい」と願う婆ルソンのため、
全壊判定の被害を受けた家の再建を決めた母ルソンとニコルソン。
大工が足りない、お金が足りない、いろんな問題にたくましく立ち向かうニコ家を、更なる激震が襲う……!
★後日譚となる描き下ろしを新たに収録!!
※電子版特典/2019年描き下ろし漫画9ページも収録されています※
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
宮城県亘理郡山元町に実家を持つ筆者は東日本大震災のときに津波で家を失いました。被災した祖母と母を生活面で支えつつ、自宅の再建までを描いたエッセイコミックです。ひとつの「家族の物語」が描かれております。
この変わった筆名を持つ筆者の漫画を 読んだのはこれが初めてです。巻末の経歴を見てみると、宮城県亘理郡山元町出身で、『専門学校卒業後「東京で就職が決まった」と嘘をついて実家を飛び出し、フリーのイラストレータ-となる』というずいぶんと無茶をしたんだなということを考えてしまいました。
内容は、「3・11」の際、実家の家を津波で失い、九死に一生を得た母親と祖母を生活面で支えながら、この連載を続け、実家の再建を行ったというまさに『八面六臂』の活躍かと思いきや、それはひとつの『家族』の「再生」の物語で、あっちへ行き、こっちへ行き、紆余曲折を繰り返しながら展開していきます。
被災した当時の記憶をショックでなくし、譫妄状態になる祖母と、避難生活の中でガンを発病した母親。そんな状態の中で家族にとっての最善の方法を探す娘である筆者…。筆者が被災直後に祖母に自宅に戻れない理由をとうとうと述べるのですが、
「なぜ自分の土地に帰って住んじゃいけないの?」
と無邪気に聞き返す場面が印象に残っております。
やがて、住宅の再建に向けて一歩を踏み出しますが、そこにかかるのがお金の問題。数千万円にものぼる問題を各種の保険や制度を利用してクリアーしていく姿も印象に残っております。巻末のほうにカラー写真で、家が再建されていく様子が紹介されておりますので、それだけを見るのも一読の価値があるかと思います。
※追記
本書は2020年3月3日、太田出版より後日譚となる描き下ろしを新たに収録し、『ナガサレール イエタテール 完全版』して再販されました。