あらすじ
イタリア・アルプス山麓の美しい町アオスタに、ある事件がきっかけでローマからとばされてきた副警察長ロッコ・スキャヴォーネ。彼は、スキー場で圧雪車に轢かれた遺体発見との知らせを受ける。それは単なる事故ではなかった。ほとんどの住人が親戚どうしという小さな町で起きた殺人事件! 定年後は妻と南仏で暮らすのが夢だったロッコは、目的のためには犯罪にすら手を染める男だ、彼自身の信条に従って。女には手を出す、マリファナタバコは吸う……、だが警察官としての腕は誰もが認めざるを得ない、荒技も辞さないローマ男が難事件に挑む。
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トンデモない警察官が出た!ローマで何やら不祥事を起こし、アルプス山脈の麓の小さな町に左遷された副警察長ロッコ。口は悪いし愛人もいる、さらには法に触れる悪事をも働く。ミステリーとしては、スキー場での圧雪車による轢殺事件というやや地味なものだが、とにかく、ロッコをはじめとする登場人物のキャラクターが素晴らしく面白かった。部下のイタロとページが進むごとに徐々に息の合う相棒へとなっていくのも良い。平気で浮気する影で奥さんへの深い愛情も見せるロッコ。大きな謎を思わせる奥さんの描写。是非とも続編を!!
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ローマからアルプスの街アオスタに左遷されたロッコ・スキャヴォーネが、イメージどおりのちょいワルイタリアおやじぶりを発揮して事件を解決する物語の第一弾。
事件現場であるマッターホルンにも近いスキーリゾート シャンポリュックがとても魅力的。ドロミテの冬はこんな感じなんだろうな。
そこにクラークスのデザートブーツとローデンコートで乗り込むロッコはカッコいいぞ。
4.0
Posted by ブクログ
イタリアを舞台に、個性的な中年警察官が殺人事件の謎を解いていくミステリー。口は悪いし欲深だが、人間の暖かさはしっかり持っていて、身分にへつらう事なく当たっていく、ロッコ副警察署長が爽快だった。シリーズらしいので、次作も読みたい。
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イタリアの警察官ロッコ。口は悪く、捜査のためなら違法なことも平気でする。人を見下しているような感じもありながらどこか憎めず、ユーモアに笑わされる。雪の中を頑なにクラークスのデザートブーツで動き回るのも好き。シリーズの最初ということでまだまだロッコの過去とか妻のこととかが語られていないところもありそうでこの先が気になる。個性が強いけれどそれだけじゃなく事件や謎解きのようなラストと楽しめる警察小説。楽しみなシリーズと主人公で次作もぜひ読みたい。最近は『パードレ』シリーズや『血の郷愁』などのイタリアの小説が増えてきたのも嬉しい。イタリアやフランスの小説にはサッカーの話題が出てくるのも楽しい。
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また一人、魅せられるキャラクターとの出会いがあった。
もう飽きるくらい見て、目からゲップが出るんだぜ。
おれは屁ともクソとも思わんことにする。
グレード10。正真正銘の◯◯の穴ふさぎの◯◯こじり。しかも花マル付きかもしれない(毒舌全開、、、度々、出てくる言い回し笑)
悪態つきまくり。日にマリファナの一服を欠かさず、タバコはキャメル。好き嫌いにこだわりが強く、女とくると服の上からでも中身が見えるが如く想像を逞しくする。金のために、悪事にも平気で手を染める副警察署長。それでいて、正義感も貫いてみせる。
どうやら、これから語られるであろう物悲しく暗い過去があるらしい、、、
ミステリーに哀愁を帯びた毒舌キャラクターがプラスされると、俄然、物語が生き生きとしてくる、というものだ。
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なかなか良かった。全体的に読みやすい。古き良きモノクロ映画のハードボイルドさもあり、ミステリ、エンターテメントを扱う作品にありがちな、良くわからないけどこうゆうもん、というしがらみにとらわれていない、いい作品だと思った。話はシンプルで謎解きが絡まったりせず、登場人物も少なめで、読みやすかった。つくづく話の筋より雰囲気の方が大事であり、差別云々というよりか、女が介入しない男性同士の友情でなくて、同士、という関係性が嘘くさくなくて良かった。
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雪深いイタリアの山岳地で起きた殺人事件を、赴任したばかりの型破りの警察副署長が解決していく。
ローマから左遷されてきた主人公は、何とも破天荒。セクハラ、パワハラ、違法行為もしばしばで、常に不機嫌だけれど、ときおりコミカルな姿も見せる。それでも嫌味にならないのは、根が陽気なイタリアが舞台だからかしら、と昨年行ったイタリアを思い出す。
シリーズ化され、ドラマにもなっているそうで、妻との悲しい(と思われる)過去など心の暗部も興味深く、次作も読みたい。
Posted by ブクログ
多分初めて読むイタリアミステリー。
住民のほぼ全員が誰かしらと親戚関係にあるというアルプス山麓にある小さな町アオスタ。
そのスキー場でコース整備中に起きた、圧雪車による轢死事件。だが事故ではなく殺人だと分かり…。
ローマでの不祥事からアオスタへ左遷された副警察長のロッコが主人公であり探偵役なのだが、なかなかの強烈キャラクターだった。
女性を見たら値踏みしアオスタに来て4ヶ月だというのにもう愛人を拵え、始終周囲に皮肉や文句を言い、部下たちや事件関係者たちにも有無を言わせぬ高圧的な物言いをする。
時には平手打ちや法を犯すことも厭わない。
2013年に本国で刊行されたらしいが、日本よりも権利に厳しいイタリアでこんなことやって大丈夫なのかとハラハラする。
はみ出し刑事物はいくつか読んだが、このロッコの思考回路は独特で終盤まで付いていけなかった。
何しろ朝から職場でマリファナタバコは吸うし、悪友と組んで盗難品の積み荷を奪って荒稼ぎしてるし、一体ローマで何をしてきたのかと呆れる。
部下たちも田舎のおおらかさなのか純朴さなのかは分からないが、ロッコの強烈な嫌味も通じず意地悪な指示も素直に聞いている。唯一ロッコが使えると思っているイタロだが、上手いことロッコに転がされた振りして付き合っているのかと思ったらロッコの裏の副業へのお誘いに乗ってるし。
イタリアの警察官の意識ってこの程度なのか?とガッカリする。
しかし豪雪地帯にも頑なにスノーシューズを履かないで凍傷になりかけたりして奇妙な人間味もあるし、捜査手法に一部問題はあるものの方向性としては基本に忠実で着実でもある。
住民ほぼ全員が何らかの親戚関係という小さなコミュニティが舞台ということで、横溝先生チックな排他的な空気があるのかと思いきやスキー客や観光客相手の商売をしている町だからかフレンドリーで、捜査はやりやすい。それ以上にロッコがグイグイ踏み込んでいるせいもあるが。
ミステリーとしてはいわゆる意外な犯人というタイプで、そこに至る過程も謎解きをするロッコも楽しめた。しかし誰もが親戚関係とは言え、隠そうと思えば出来るものだとも思った。
そして意外なことに、こんなに腹に真っ黒いものを抱えたロッコがきちんと自分の黒い部分と向き合っているということが分かりハッとする。
自分のことは棚にあげて人の罪を糾弾するというのなら何だかなと思うが、最後に犯人に言い放つロッコの言葉でロッコというキャラクターに救いを感じた。
訳者さんのあとがきによると本国ではシリーズ作品が九作も出ているらしい。
なるほど、妻マリーナとの意味深なシーン含めロッコの過去が今後明らかになるのだろう。
しかし日本語版が今後も出たとして追いかけるかは微妙。何しろロッコの悪態、罵詈雑言、強烈なブラックジョークに付き合うのは疲れる。
Posted by ブクログ
フロスト型というか…クセが強い中年刑事と優秀な者もポンコツな奴もいる部下たちや、個性的な監察医や判事、味方なのか敵なのかまだわからない上司などやりあいながら奮闘していくという、警察小説の王道なのだけれど、特筆すべきはイタリアのミステリだということ。
セリエAやサイクルロードレースを通してイタリア好きになっているので、イタリアっぼさがたまらない。ローマっ子のローマへの思い、舞台となるスイス国境のほとんどの住民が身内という小さな村の噂にまみれた日常、美男美女への反応、イタリア人の死生観など、ミステリとしては平均的でも、イタリアを満喫できる小説としてオススメ。
特に2020年4月上旬に読んだので、胸に迫るものがあった。