あらすじ
銀行の倒産事件が世界経済に波紋を。事件を探るジャーナリストにおどしの言葉が……。根の深い国際問題が化粧を落とし、犯罪が全容を現す。闇の中から危険が迫る! ――欧州の1銀行が営業停止となり、世界の各地に恐慌をきたした。被害総額は3兆円。とりわけ預金者の大半が、アジア、アフリカ、中東、中南米の第三世界にまたがり、これらの国々では深刻な状況に陥った。事件を追うジャーナリストの前に謎の老人が現われ、背後に隠された事実を探ると、国際的犯罪の全容が明らかに。
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Posted by ブクログ
ベストセラー『赤い楯』に続いて出版された、著者初の長編小説。 『赤い楯』であまり触れることが出来なかった、犯罪組織が表社会に進出し経済的に支配している様を描くことが主眼に置かれています。 小説という形式で社会の裏側を描くという点では、松本清張の系譜にある作品と言えるかもしれません(ミステリー仕立てではあるものの、推理の要素はほとんどないですが)。 広瀬隆のやたらと脱線が多い文体は『赤い楯』のような研究書では致命的ですが、小説、特に本書ではうまく機能しているようです。 中盤でマフィアと巨大多国籍企業、政財界人との繋がりが描かれ、『赤い楯』ばりの情報洪水が始まりかけます。が、後半になると情報はやや抑え目になり、今度は犯罪組織から狙われる松本清張ばりのリアルな恐怖体験が描かれます。 政官財にヤクザを加えた4つの権力が日本経済を支配しているというベンジャミン・フルフォードの一連の著作も、広瀬隆の影響を強く受けているようです。 かなり以前の小説ですが、ふるさを感じません。たぶん、この本に書かれた世界がそのまま進行してしまっているからでしょう。これ以降も数冊の長編が出ていますが、小説としてのおもしろさは、情報量を抑えた本書が一番だと思います。不満があるとすれば、いつものやたら人道主義的な主張を、主人公に語らせ過ぎてしまっているところでしょう。