あらすじ
泥沼化した鬼と人間の争いに終止符を打つため、戦の最前線を担った椿ノ郷の郷長の妹・冬霞は、兄を討った鬼の頭領・緋天へ嫁ぐことに。兄は以前、「自分の首を取る者がいたら、それは親友だ」と語っていた。その死になにか秘密があると感じた冬霞は、自分がしあわせになるためにも真相を探るべく奔走する。少しずつ真相へ近づく中、冬霞は緋天の心にふれ――?
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恋する女たちですな
謎も多く、先が知りたくてどんどん読んでしまいます。鬼vs人の戦いのはずが全く当事者意識のない都の感覚がイラつかせますが、戦場の鬼たちの背後にものんびり優雅に生活する金持ちたちがいたりするのでしょうか。しかし雪兎には生きてて欲しかったねぇ。終盤で明かされる恋する二人の女たちにはビックリです。特に後の人。私も唖然呆然でした。ちょっとズレたイケメン鬼さんとたくましい女の子の二人はお似合いの夫婦だと思います。
Posted by ブクログ
同じオレンジ文庫で法廷ものを書いている永瀬先生の作品ということで、和風ながらも交渉術、謎解きなどの要素が濃くてたまりませんでした。
それを行っているのがまだ数えで十二歳という幼女(少女と呼ぶべき年齢でしょうが、ここは敢えて幼女と呼びたい)
何せ旦那は口下手の朴念仁。
女心がまるで分っていない上に、鬼たちとすらうまく渡り合えていないという有様。
そりゃ嫁もたくましくなりますわ。
和風の雰囲気も大変好みでしたが、それ以上に上記の通り交渉術・話術で危機を乗り越えるところ、最終的には鬼対人間の戦を詭弁で丸め込んでしまうところが面白くて面白くて。
キーアイテムになる「鬼喰」は何処にあるのか、その謎解き・謎かけもしびれるほど面白かったです。
和風でこういう話を書いてくるのは、流石永瀬先生……!
恋のライバルが実は……なところ。
当初から怪しいと思っていた人が実は……なところ。
悪役の転落っぷりも相まって、どんでん返しや意外性も楽しい作品です。
特に「あの人」の話は最後の最後で背筋が凍りました。
そう、当初から怪しかったんだ。
でもそこまでの狂気までは想像していなかったんだ。
恋する人はこんなにもたくましく、そして……恐ろしいものなのですね。
シリアスの中、キャラクターたちには適度にコメディ要素が入っていたのもよかったです。
コメディというか、可愛い部分があるというか。
あの青鬼ですらご覧の有様でしたし(詳細は割愛)
その辺のメリハリもよかったです。
たくさんの魅力に溢れた作品です。
一度で様々な要素が楽しめる贅沢、堪能させていただきました。
満足!