あらすじ
滅びかけた異世界に迷い込んだケースケは、ハーフエルフの少女・ニトと出会う。彼女の母親が遺した手帳に描かれた“黄金の海原”を探し、二人は辛うじて生き残った人々たちとの出会いと別れを重ねてゆくのだが――。
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消えゆく世界、透明感と寂寥感。
世界の崩壊により取り残された異世界人。滅びゆく世界で、彼は不明瞭な明日を模索していた。彼と出会う人々も何かを失っている。しかし、信じるものがある彼らはとても温かい。
何も持たない異邦者は、時に死をも考えた。
それがいつの間にか、とある少女と出会い、彼女の生きる理由であり目的を知る。持たざる彼は、彼女の行動、言動に孤独を忘れる日々を過ごした。そしていつしか、一人の女の子とふたりで笑いあっていた。
どうしてこんなに笑いが込み上げるんだろう。どうして涙があふれるんだろう。今まで悩んでいたことが、どうしてこんなに簡単に消えてしまうのだろう。
明日のことを考える。なんだ、予定がいっぱいじゃないか。
「ねえ、ニト」とぼくは言う。「また明日ね」
彼女は首を傾げる。流れた髪が銀の糸のようにきらめいた。
「はい、また明日」
ニトは微笑み、そう答えた。
流石!の一言
著者の前作「放課後は異世界喫茶でコーヒーを」からのファンです。
普段、異世界ものはあまり好まないのですが風見鶏先生の描く物語はとても繊細で引き込まれます。
次巻も楽しみにしています。