あらすじ
ミステリ作家ユニットの片割れ・大須賀一夜は、仕事相手と彼女に裏切られ、ヤケを起こして田舎町に越してきた。その町で出会ったのは、イケメン俳優・川嶋大志。一夜はなぜかその人気者に懐かれ、いろいろと構われるようになる。そんなある朝、大志は一夜の目の前で、彼のアイドル時代の相棒にキスをした。そして数日後の夜、大志は一夜にもキスしてきて……?
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Posted by ブクログ
旧作に個人的に非常に思い入れがあるため、こわごわ手に取ってみましたが、怖れていたほどの改稿はなく安心して読めました。
なにより旧作のイラストが表紙絵込み(しかもカラー)で全部収録されていたのがうれしかったです。
新版として追加されていた後日談は甘かったので満足ですが、作者さんの中で時代を経てしまったせいか、本編にある繊細さが薄れてしまったように感じるのが残念。
改稿は気づいただけでも三点リーダが統一されていたり、時代を感じさせる「ワイドテレビ」「ビデオ」「フロッピー」「FAX」あたりが「スカパー」「DVD」「CD-ROM」「パソコンメール」になってたあたり。
文章自体は変わっていないのはほっとしました。
旧作でもなんとなく古めかしく感じていた「アホウなあんちゃん」が「チャラい若造」になっていたのはフフッとしました。
ただ、好きだった「家にも焼酎にも失礼だよ」のフレーズがさくっと消されていたのは納得がいかない…
Posted by ブクログ
月村さんにすっかり魅了されています。
受のうじうじ加減が最高にイラつくものの、何だか憎めなくて共感してしまう。
人間誰しも卑屈になることあると思うんですが、それをもの凄く上手に
書き出してくれます。
此処まで卑屈にならなくてもいいんじゃない?
と思うこともありますが、そこは小説なので多少脚色された方が面白いかなと。
こういう地味で抑揚のないストーリーでも、キャラクターの心の動きを
凄く丁寧に書いてくれるので、飽きません。
寧ろこの地味さで読ませるためには、心理描写に重点を置かないと
いけないので、こういった『つまらなそうな日常』を瑞々しく書ける
能力が凄いなー……と思います。
田舎が舞台ですが、この田舎っぷりが最高に良い味出てます。
田んぼのあぜ道の匂い、夕方の匂い、そして雨の匂いに風の音。
派手さのない端的な描写ですが、情景がキレイに浮かびます。