【感想・ネタバレ】ドゥルーズ 流動の哲学 [増補改訂]のレビュー

あらすじ

没後20年を過ぎた今も世界中で多くの読者を獲得し続けている哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-95年)。初の単著『経験論と主体性』(1953年)から『ニーチェと哲学』(1962年)、『カントの批判哲学』(1963年)を経て『ベルクソニスム』(1966年)に至る哲学者のモノグラフィーを発表したドゥルーズは、続いて『差異と反復』(1968年)と『意味の論理学』(1969年)を解き放ち、世界に衝撃を与えた。進化を続ける哲学者は、次に精神分析家フェリックス・ガタリ(1930-92年)との協働を始動させ、『アンチ・オイディプス』(1972年)と『千のプラトー』(1980年)という恐るべき著作を完成させる。その後、記念碑的な映画の哲学『シネマ』全2冊(1983年、85年)、ライプニッツ論『襞』(1988年)といった単著の執筆に戻ったドゥルーズは、最後にもう一度、ガタリとの共著『哲学とは何か』(1991年)を発表。そして、1995年11月4日、みずから命を絶った。
本書は、1976年から83年――『千のプラトー』から『シネマ』へと至る時期にドゥルーズ本人の薫陶を受け、その指導の下で博士論文を書いた著者が、主要著作の読解を通して師の歩んだ道のりをたどり直し、初めて1冊にまとめたものである。2001年に講談社選書メチエとして出された原著は、20世紀最大の哲学者の全容に触れたい人の「最初の一冊」として広く親しまれてきたが、このたび、大幅な加筆・訂正を経た決定版をお送りする。
ひたすら愚直に、そして誠実に主要著作を読み解いていった約20年前の作業を現在のまなざしで見直した著者は、「いまはドゥルーズについて書くべきことを書き終えなければ、と思う。量ではなく、質の問題、いやまさに強度の問題である」と書いている。こうして生まれ変わった本書は、今後も新たな輝きを放ち続けるだろう。

[本書の内容]
この本にいたるまで――学術文庫版に寄せて
プロローグ――異人としてのドゥルーズ
第一章 ある哲学の始まり――『差異と反復』以前
第二章 世紀はドゥルーズ的なものへ――『差異と反復』の誕生
第三章 欲望の哲学――『アンチ・オイディプス』の世界
第四章 微粒子の哲学――『千のプラトー』を読み解く
第五章 映画としての世界――イマージュの記号論
第六章 哲学の完成
エピローグ――喜びの哲学
文献一覧
あとがき
学術文庫版あとがき
ジル・ドゥルーズの生涯と主要著作

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Posted by ブクログ

ネタバレ

もしかしたら曲解してるかもしれないけど僕の理解は以下↓

表層に覆われて潜在している深層は、様々な速度や密度で流動する無限小の粒子としての無数の差異から成り、それらの間の関係の反復が複雑系のネットワークを思わせる生成のアレンジメントとしての多様体を為し、常に変容するその強度が閾値を越えると秩序的な外延として現働する。
力によって内部に織り込まれた外部たる襞がフラクタル的に無限に強度として連なる。

アンチオイディプスの、表層が硬直してひび割れるパラノイアと深層が肥大して分裂するスキゾフレニアというイメージが、千のプラトーでは様々な分野に横断して、リゾーム(根茎)、プラトー(高原)、器官なき身体、戦争機械などの概念に拡張される。深層としての欲望にもとづく表層としての資本主義および経済もこのイメージで捉えられる。
表層に膠着させる権力に抗い、各世界を横断して粒子の三点を繋いだ内在平面としての概念を創出する、デペイズマンにも通ずるノマドロジーで、深層の粒子たちの活動を喜ぶ実践が必要である。

0
2025年12月03日

匿名

購入済み

難解だけどドゥルーズの筆致の特異性とその激しさ、熾烈さは伝わってきた。プラトン以来の西洋哲学の構造とは大きく違うリゾームという発想は生きていく上で大きなヒントになりそうだ。

0
2024年08月26日

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