あらすじ
老いを笑いに変えるエッセイ。待望の文庫化。
皮膚科では「老人性」を連呼され、老眼鏡は片時も手離せなくなり、数々の言い間違いに物忘れ……。著者が「老い」を実感した出来事が、次から次へと、ときに毒舌を交えながら軽妙に綴られる。「アサガオ」と言っているつもりが「アジサイ」と言い続けて夫に指摘されたエピソードや、若いショップ店員に「ジーパン」と言っても通じず、「デニムですね」と言い換えられて衝撃を受けた話など、クスッと笑える話題が満載。その一方、体調の急変で倒れた話や、自身の乳ガン闘病記まで、考えさせられる話もぎっしり。乳がん闘病記では、告知から術後までの事象と心の動きが、時間軸を追いながら克明に綴られています。ひとつ間違えば重くなりがちなテーマながらときに笑いまで誘うのは、筆者の軽妙な筆致のなせる業。
「ああ、あるあるある」と共感したり、思わず声を出して笑ってしまったり、時にはホロッと泣けたり。
さらに、同じく著名な漫画家である夫君も頻繁に登場し、格好の題材に。共に歳を重ねたからこその絶妙な掛け合い、いつのまにか逆転した!?夫婦の力関係など、偽らざる夫婦関係も垣間見え、それがまた深い味わいに。
「老い」が愛おしくなる一冊です。
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Posted by ブクログ
キャッチーなタイトルですが、最後まで読んでも夫を従えてはいません。
夫(弘兼憲史)は究極の自由人と見ました。
でも柴門さんの方は、義父母と同居し、幼い子供を育て、「東京ラブストーリー」を連載していた。
いや、やらざるを得ない状況に陥ったら、やれるもんですよ。
ある程度は。
時は流れ、人は年をとる。
もう、体の不調が顕著なのよ。
私もここ数年で、外反母趾になり、生まれて初めてのインフルエンザに罹り、乳がんにもなった。
右胸にメスを入れた後遺症なのか加齢のせいか、右腕の可動域が狭まった。
手を上にあげることも横に延ばすこともできるけど、後ろに引くと痛くてたまらん。
毎日毎日、老いを感じる瞬間。
新しいものに挑戦しても、根気が続かなくなる。
頭で考えていることと口が、または手が連動しなくなる。
忘れてしまいたい過去は覚えているのに、大切なことを忘れていく脳。
ああ、同じ同じ。
病気自慢をするようになると年寄りの仲間入りの気がするけれど、自分だけじゃないんだなあと安心できるのはことのほか嬉しいし、楽しい。
このポジティブな気持ちが免疫力を高めているのかもしれないのだから、ちょっとご容赦願おう。
夫も妻も、自分のペースで生活を楽しみ、たまに一緒の嬉しい時間を持てたら、それは幸せな老後と言っていいのではないだろうか。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取ったが、夫を尻に敷いてる感じの柴門さんではなかった。
というか、旦那さまは弘兼さんだということを知って驚いた!東京ラブストーリーと島耕作夫婦なんて!凄い!
そして弘兼さんは尻に敷かれるタイプではなさそう。柴門さんの尻の下まで来ないというか...
本にも自分の予定が来たらぴゅーといなくなるという表現が出てきていたのが面白かった。しかも何度も...
コーギーのリンコちゃんをクリスマスプレゼントで買ってあげるよと言いながら、仕事があるからと言ってぴゅーといなくなり、結局柴門さんが自分の口座から現金を下ろして買ったというのが笑えた。
私は老化を意識し始めの時期なので、エッセイを読んで、そうそう!と頷くことが少なかったが、10年もすれば赤べこのように頷くのであろう。