あらすじ
森の奥。一匹の竜が、魔法を操る猫たちと暮らしていた。永きにわたり猫を守り育てる竜を、猫たちは「羽のおじちゃん」と呼び、人間は畏怖と敬意を込め「猫竜」と呼んだ。竜の庇護を離れた後に、人間と暮らす猫もいる。冒険に憧れる王子と、黒猫の英雄。孤児院の少女に魔法を教える白猫。そして森では、今日も竜が子猫に狩りを教えている。これは、猫と竜と人間の、温かく不思議で、ちょっと切ない物語。
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Posted by ブクログ
猫好きにはたまらないファンタジーです。
「しょしんしゃのもり」の奥で卵を産み落とした母竜は人間に殺されて戻ってきませんでした。偶然、土をかけられたその卵の上で猫がこどもを産みました。母猫は卵から孵った竜の子も我が子と同じように育てました。ケットシーと呼ばれる賢い獣である母猫に育てられた竜の子は、成長してからも猫達を守り続けて ―― 。
冒頭の短編「猫と竜」は絵本のようだと思いました。
巣立っていった兄弟猫たちの中には子育てのために戻ってくる猫もいて、その猫を受け入れ子育ても手伝い教育し巣立たせていく。それが出来るのも母猫が仔猫や竜を立派に育てたからで愛を感じる物語でした。
「羽のおじちゃん」と仔猫たちから呼ばれる火吹き竜は過保護なくらいです。魔獣がいたり冒険者がいたり、猫が魔法を使えて人間の言葉を話せたりと、世界観に慣れるまでは大変ですが、猫と人間の交流はほっこりします。かしこい猫が人間の少女や王子に魔法を教えたりするのですが、ここの世界の人間はケットシーである猫に敬意を払っている者もいて安心して読めます。
猫好きさんにおすすめです。