【感想・ネタバレ】中高年ひきこもりのレビュー

あらすじ

内閣府の調査では、40~64歳のひきこもり状態にある人は推計61万人と、15~39歳の54万人を大きく上回る。中高年ひきこもりで最も深刻なのは、80代の親が50代の子どもの面倒を見なければならないという「8050問題」だ。家族の孤立、孤独死・生活保護受給者の大量発生――中高年ひきこもりは、いまや日本の重大な社会問題だ。だが、世間では誤解と偏見がまだ根強く、そのことが事態をさらに悪化させている。「ひきこもり」とはそもそも何か。何が正しい支援なのか。第一人者による決定版解説書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

斎藤さんは、ひきこもり問題で検索するとよく出てこられる方で、YouTubeの動画もみていましたので、本書も読んでみたくなり読みました。

ひきこもりの問題は表には出てこないが、秋田県、山梨県、佐賀県での調査から、政府調査の115万人どころか、全体では200万人と考えるのが妥当。
確かに「ひきこもり」の定義によっては、家事手伝いの女性や、中高年・高齢者等を含めますと、相当数の様々な境遇・状況下の「ひきこもり」達が存在していそうです。

アメリカ・イギリスなどでは、日本でひきこもりになるような人たちはホームレスになることが多いことから、社会参加できないひきこもり達を無理矢理外へ出せば、大量のホームレスたちが発生する。
なので、社会参加が容易になるような支援をしていくべき。

抜け出すには(自力ではなく)家族以外の支援が欠かせない
まったくその通りで、当事者や家族達は視野が狭くなる悪循環に陥ってしまっているので、色々な意味で、Webでも電話でも相談するのでも、抜け出していくために何がしかの「ヒント」的なものを第三者から得ることは、必ず必要なことです。

悪徳業者は問題外・論外
長田百合子・杉浦昌子等の思い上がった手法で、実際に死亡事件まで起きた。
長田隆宏も評判が悪い。

第四章家族のための対応のヒント
この章でのお話の内容は、すべてのひきこもりのご家族の方々にぜひとも読んでほしいお話です。
・安心してひきこもり、社会参加の意欲が生まれるように、何がしかに取り組んでいくためにも無制限ではなく小遣いなどのお金を与え、対話は欠かせないし、議論・説得ではなくて、親切に、どうでもいいような会話をしていくべき。

まずは、公的支援機関のひきこもり支援窓口に相談することが第一

医療以外の支援、親亡き後のライフプラン=「お金」の問題を考えることは、必要不可欠。
「急にこの生活が終わる」と強い不安に感じてしまうことが起こりえる。
「あなたを扶養できるのは後××年が限界だ」と宣言する。
あと何年は経済的に心配しなくてもいい、と安心して働けるようになること等がある。
年金・生活保護等、将来必要になる手続きを申請する権利があることを早い段階で認識してもらうこと。

第六章ひきこもり問題の歴史・現状・未来
「すでにひきこもりから抜け出しつつあるような人たち」にとっては、就労によって元気になるケアとしての就労移行支援事業は高い可能性がある。
しかし、抜け出しつつある状態までの段階ではない当事者の場合には、就労支援は「苦痛」でしかない。

第七章成熟化した社会と未成熟な大人たち
当事者は社会に出ても、どんどん社会で「成熟していく上位グループ」としてではなく、社会性のない、「非社会的な」ひきこもり的な現状を宿命的に受け入れ、「現状は変えようがない」と絶望し、「下位グループ」の地位でありつつづけることを宿命のように自ら進んで受け入れてしまう点。
しかしそれでは、社会で人々間の断絶化を深めていき、当事者たちは非社会性の一途をたどるほかない。

とても読んで良かった本でした。

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2022年11月17日

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