【感想・ネタバレ】中国 人口減少の真実のレビュー

あらすじ

■「肥満児急増」「恋人レンタル、結婚をしない若者」「5千万人分の食べ残し、いまや飽食の時代」「剰男(男余り)東南アジア、ロシアからの花嫁」「驚愕の判例『親の面倒を見ないと遺棄罪』」「広場ダンスに熱狂、早すぎる50歳定年」「巨額の教育費、医療費、結婚できない若者」「徴兵検査の半数以上が不合格」などなど――。
■中国が人口世界一の座を5年後にも、インドに譲ることに。14億人といわれる人口は中国の成長の源泉であり、成長の阻害要因でもありました。その巨大な人口が減少に転じるとき、中国で何が起きているのか、これから何が起きようとしているのか。
■ペストの流行が中世の終わりを招来し、ルネサンスをもたらしたように、中国の人口減少は農村の貧困問題を解消し、AIによる発展をもたらすのか、それとも、大国の斜陽をもたらすのか。
■本書では、敏腕記者が、中国社会の実情を伝えるニュースや出来事を通じて、中国の人口問題の全体像を明らかにしていきます。あわせて、中国の人口減少という世界史的な大転換とどう向き合うべきなのか、その糸口を提示します。
■著者は広く読まれた前著『中国「内陸発」:底辺から見た中華世界の真実』(1999年刊、2002年ビジネス人文庫化)で、経済発展の進み始めた中国社会の変貌をビビッドに描きましたが、今回は、予想外に早く発展の下り坂を迎える中国社会の変化を豊富な話題で解説します。

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Posted by ブクログ

中国 人口減少の真実
著:村山 宏
紙版
日経プレミアシリーズ 419

おもしろかった

一人っ子政策が、中国に、どんな影響を与えたかを論じた書です

 実際、中国には、何億人、人がいるのかはよくわかっていない
 中国の人口減がもたらすものとは何か

気になったのは、以下です。

一人っ子政策

 もとになったのは、1960代の飢餓、これ以上人が増えると飢える

 祖父母4、親2,子1 の421式といわれている
 二人目は、罰金を科せられるので、戸籍に入っていない闇っ子ができることになった

 育つときは、6人のお財布で、わがままいっぱい育つ
 体力不足、肥満率向上
 徴兵検査不合格 6割 習近平政権は、軍のスリム化を促進中

 でも、老後の対応は、4人の祖父母の面倒を見なければならない
 晩婚化がすすみ、かつ日韓を上回るスピードで、おひとり様社会に変貌しつつある

 一人っ子政策は、漢民族のみで、他の少数民族には適用されない

男余り社会

 男がおおく、結婚できない男が多数ある
 花嫁不足で、結納金や、結婚の条件になっている、持ち家など、結婚する上でのハードルが上がっている
 ベトナムら、外国人女性を紹介する違法ビジネスが横行

住宅バブル

 都市部に集中する人口増で、慢性的に、不動産価格が高騰
 蟻族 1部屋に6,7人
 鼠族 地下室や防空壕で生活
 都市機能がおいつかない 生ごみ、電力、大気汚染、交通渋滞
 都市圏構想 日本の首都圏を見本として、広域都市圏を形成を指向

労働政策

 巨大労働力の産業移動

 ルイスの転換点 労働力が過剰から、不足へと転じる状況
 人口ボーナス 生産年齢人口(15-65)が、従属人口(0-14,65-)の2倍以上ある期間

 男子60歳定年、女子55歳定年

 年金の破綻 ⇒ 老後不安が広がっている 一人っ子に、親の介護義務を法令化

 失独家庭 子供がなくなった老夫婦の生活保障の問題

 遅れる外国人、就労受け入れ

農村政策

 小規模自農 から、大規模農地集約化の問題
 農民の社会保障制度の遅れ

中国の対外膨張政策

 爆食
 アフリカなどへの移民
 一帯一路
 孔子学院

目次
はじめに
序章 人口減少の足音
第1章 一人っ子狂想曲
第2章 一人っ子が変える社会
第3章 労働力減少時代への備え
第4章 豊かになる前に老いる
第5章 中国の対外膨張はどこへ
第6章 世界史から考える中国
あとがき
主要参考文献

ISBN:9784532264192
出版社:日本経済新聞出版社
判型:新書
ページ数:292ページ
定価:920円(本体)
2020年01月10日 1刷
2020年02月04日 2刷

0
2024年08月24日

Posted by ブクログ

一人っ子政策のツケが出始めた中国。政策転換が遅すぎたと筆者は指摘。
まあ、日本も少子化問題に何も手を打って来なかったから同じようなもんだが。

0
2021年08月31日

Posted by ブクログ

著者は、さすが日経新聞の論説委員だけあって文章が上手い。しかも本書の内容はちょっと角度を変えれば日本にも当てはまることも多く興味深く読めた。
本書を読むと「人口減少」は明らかに先進国共通の政策課題であり、しかも深刻な問題であることがよくわかる。日本においても政治家がきちんと「政策提示」すべきだが、何せ「明るい解決策はない」とあって見て見ぬ振りがまかり通っているように思える。
しかし中国は13億人以上の人口大国である。今後の人口減少による影響は日本以上にダイナミックに起きるだろう。中国の30年先を進んでいる日本が人口減少への模範的モデルを示せることを強く望むものである。
本書のあとがきで「日本で生きていく以上、隣の巨大国家中国を抜きにしてはビジネスも政治も文化ですら語れない」との著者の言葉に強く共感する。本書は時代の現状を知り得る良書であると思った。

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2020年02月20日

Posted by ブクログ

文化大革命などによる飢えの経験から一人っ子政策の解除(2015年)までかかったというのだから歴史は繋がっていると言える。
人海戦術はともかくAIを始めとするIT分野では確実に日本の先を進んでいるので共産党が下手を踏まない限りはバブル崩壊後の日本よりは上手く順応するのではなかろうか。

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2023年09月06日

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