あらすじ
【経済学から政治学、経営学まで、いまやゲーム理論抜きでは理解は不可能だ。基礎知識から実際の意思決定にどう生かすかまで、事例を駆使して親切丁寧に解説する、待望の包括的テキスト】
●意思決定を科学する
ゲーム理論とは複数の意思決定主体が、その意思決定に関して相互作用する状況を研究する学問。意思決定主体とは、個人であったり、企業であったり、時には国家であったりし、現在考えている問題で、1つのまとまった意思決定ができると認識できる単位である。このような、意思決定をする主体が2 つ以上あり、それらが相互に影響を及ぼしあいながら意思決定を行う時に、どのように行われるか、又はどのように行われるべきか、に対する理論がゲーム理論である。例えば、新製品の開発を行う企業の意思決定は、同業他社の決定に大きく左右されるであろうし、国家間の交渉で、強硬に出るか妥協するかなどは相手国の出方に影響を受けるだろう。自分が意思決定を行うときには、「相手がどうするか」を必ず考えなければならない。そこでは「自分たちがこうすれば、相手はこうする。だから自分たちのとる戦略はこうだ」と相手の出方を考えて、意思決定を行わなければならない。ゲーム理論は経営や政策を初めとする複数の主体の利害が絡むような意思決定の場面を「ゲーム」と捉えて分析しようとする意思決定の科学である。
ゲーム理論は1970 年代,80 年代の研究の成果を経て、90 年代からは経済学の中心的な分析手法として盛んに用いられるようになった。現在は経済学以外にも応用範囲を広げ、経営学・社会学・政治学・法学・生物学などの多くの分野に用いられている。
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Posted by ブクログ
ゲーム理論について基礎から順序だって学ぶことができる本です。
複数人における意思決定に関する相互作用などを掘り下げたゲーム理論について、平易な言葉や例を多く使って理解しやすい構成となっています。入門という言葉のとおりゲーム理論初学者にとって適切な本に思いました。
ゲーム理論の基礎的な内容が丁寧に説明されていますが、最後の章ではゲーム理論の発展的な内容の紹介がされており、さらに学びたい人にとって助かる情報になります。
ゲーム理論を学びたいと思った人に手に取ってほしい一冊です。
Posted by ブクログ
この本の最も素晴らしいところは、理論や戦略の羅列・解説に留まらず、抽象的な各メニューが現実的一般的な姿としてどうあるかにまで解説が及んでいるところである。例えば、囚人のジレンマは長期的関係において信頼を形成することで克服しうるが、割引を多く見るプレイヤーには通用しないといったこと等は、直感的にも経験に照らし合わせても理解できる。
先日読んだ『デザインのめざめ』で、数学者の岡潔氏の「数学の中心にあるのは情緒である」という言葉を知ったが、この本で解説されているゲーム理論は正に情緒があり、その情緒が理解できるように表現されている。
Posted by ブクログ
ゲーム理論入門の決定書。
ページ数が多いが、それは分かりやすさのため。
著者のHPでは教科書を用いた講義のレジュメがあるため、使い勝手がよく素晴らしい。
Posted by ブクログ
ゲーム理論をはじめるならまずこの1冊を。
他のゲーム理論入門書との違いは,以下だと思います。
平易な説明,演習問題の充実さ,応用例の豊富さ。
応用例は以下のゲーム論啓蒙書からも引用があります。
Dixit『戦略的思考とは何か』
McMillan『経営戦略のゲーム理論』
読者の多様な関心領域を広くカバーしています。
演習問題の多さは,類書より優れると存じます。
(船木先生の演習ゲーム理論という例外を除く)
これを解けば,ぐっとゲーム理論の理解が深まります。
4、5章の以下箇所で,経済学基礎知識が要求されます。
オークション、不完全競争市場
もしこの点に不安があれば,以下の併読をお勧めします。
飯田『経済学思考の技術』
上掲書には,「余剰」の非常に平易な解説があります。
理解の助けなるかと存じます。
本書より上級の書は,著者渡辺先生HPをご参照下さい。
(ギボンズ先生,岡田先生の著作をおすすめします)
Posted by ブクログ
ゲーム理論の基礎。
ちょっとだらだらした例が多いし、いちいち筆者の顔(学生の頃ね)が浮かぶのが難点なのだけど、がまんして読むと基礎はわかります。
じっくり読んでみてください。
Posted by ブクログ
5章までやった。
本文は分かりやすく、さらっと読めるが、演習問題がめんどくさい。
しかし、演習問題をやらなければ、さらっと読んだだけで、何も残らないだろう。
さらっと読むだけなら、巷に溢れる薄っぺらいゲーム理論本を読んだほうが良いだろう。
がんばろーっ!
Posted by ブクログ
ここ何十年かの経済学は、ゲーム理論と情報の経済学が牽引して発展してきたと言っても過言ではなく、均衡理論にとってかわったような状況ですね。経済学の一分野どころか、経済学の共通言語になったといってもいいかもしれない。ところが、学部レベルや資格試験でのミクロ経済学のテキストでは、ゲーム理論はテキストの後半に1、2章ちょろっと触れられているだけのものが多くて、ゲーム理論の基礎を理解するにはなかなか難しい。でも、最新の経済学の成果をキャッチアップするにはしっかりとゲーム理論を押さえておかないと、そう思って復習してみました。
いままでに読んだゲーム理論のテキストの中で最もわかりやすい。
例示が豊富でイメージがわきやすく、さらに取るに足らないけれど初学者からしたら疑問に思いそうな事項を省略することなくきっちり説明しています。そうした説明が多い分、500ページを超える分量になっていますが、これだけしっかりとした説明があるおかげで、初学者でも十分読み進められると思います。
もちろん、れっきとした大学初級レベルのテキストですから通勤・通学の電車の中で読み通せるというほどに平易なわけではありません。数式も後半になるにつれて増えてきます。それでも、じっくりとゲーム理論を学ぶために必要充分な知識を、最大限の平易さで記述しているところはすばらしい。ゲーム理論的な思考方法の紹介本やゲーム理論の啓蒙書ではなく、れっきとしたゲーム理論のテキストがここまでわかりやすいというのはなかなかありません。