あらすじ
太平洋戦争で国内最大の地上戦の舞台となった沖縄。そこに敵を殺し、友の死を目の当たりにした10代の少年達の部隊があった。陸軍の情報機関により沖縄本島北部で組織された約千人の遊撃隊(ゲリラ戦部隊)=「護郷(ごきょう)隊」は、どのような環境に置かれ、米兵を相手にいかなる戦闘を強いられたのか。戦後70年を経て、生存者が重い口を開いて語る戦場の悲惨な真実! 『僕は少年ゲリラ兵だった』改題。(解説・仲村清司)
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Posted by ブクログ
初めて聞いた言葉。
衝撃的でした。
この時期、このような本を一冊毎年読んでるような気がする
14から17歳の子どもが子どもらしく生きられなかった時代
沖縄は特にそうだったであろうに
当時は、洗脳のようにあたりまえのことと認識してしまってた時代
敵を10人殺したら死んでもよい、そんなことはあってはならない!
ノンフィクションで読み応えのある作品でした。
Posted by ブクログ
文章の構成、取材の精度としては、優れていると感じた。
難しい取材対象と題材に対して、かなり根気強く正確にヒアリングしてあり、一冊の書籍にまとめ上げているNHKスペシャル取材班に敬意を表する。
こういった書籍のおかげで、世に出回ることがなかった情報をつぶさにキャッチすることができる。
一方で、ヒアリング対象者の発言に織り交ぜながら、著者の主観や類推を織り交ぜている箇所が多々あり、読者をミスリードするおそれはないのか、やや懸念する作りとなっていた。
著者が個人名なり、主義主張が明確であればそれを含めて読者は解釈をできるが、
「NHK取材班」という著者の主観や類推をどのように解釈すればいいのか、やや迷いが生じた。
内容としては、
大東亜戦争戦時下、全体主義が当然の雰囲気の中で、国民一人一人が国家に対して義務を果たしていく風潮を背景に、戦況や国家の存続を考慮して展開されるゲリラ戦について書かれている。
特に沖縄では少年を含めたゲリラ部隊が組成され、実戦にも動員された。
米軍の本土上陸に備えて、上陸予定と予測される九州と関東を中心に、ゲリラ戦の準備も行われていた。
①民間防衛
中野学校は国内・国民向けに工作活動を行っており、士気高揚を含めて、ゲリラ戦を行うための内的な準備を行っていた。
全体主義的な雰囲気の当時の日本においても、国土を守るためには国内向けの工作活動が必要なこと、そこに国を挙げて国を守ることの難しさを感じた。
現在日本でも民間防衛はある程度議論は必要だろう。
圧倒的な戦力を背景に侵略する他国があると仮定して、自衛隊が機能不全に陥った⇒即ち全面降伏、というわけにもいかないだろう。
②少年の動員
タイトルにもあるとおり、「少年」をゲリラ兵に、そもそも兵隊に動員することはどのように考えればいいのだろう。
一般的に少年を軍人として巻き込むことは「現在の日本」における道徳観等に鑑みると、到底受け入れられないだろう。(「なお、何歳」からならOKという基準も引きにくいが。)
しかし、緊急時本当に国土に危機が迫った時、その時の大人たちは子供を巻き込むことなく、危機を脱することができるだろうか。
そういった危機を迎えることがないように安全保障環境を整備することは当然だが、
究極の危機を迎えたとき、道徳上避けるべき問題や国際法上の違反等々の「正しさ」と国家防衛のバランスは考えておく必要があると感じた。
学びの多い一冊だった。