あらすじ
コリーは亡父の全財産を継母に取られたうえ、家も出ていくよう迫られ、自活するために経験もない秘書の面接を受けた。うまくいくはずもなく、すごすご帰りかけたとき、社長サイラスに呼び止められた。「きみにもっとふさわしい仕事がある」ダークブルーの瞳に妖しい光をたたえた彼は、祖父の遺言の関係で、会社を維持するためには妻が必要だと、コリーに契約結婚を持ちかけた。いくら生活苦から救われるとしても、そんな形だけの夫婦なんて……。しかし、コリーは思わず知らずサイラスの魅力に引き寄せられ、花嫁になる道を選ぶ――日々募る“夫”への想いは報われず、彼が徹底して示す冷淡さに傷つき苦しむことになるというのに。
■特別企画〈胸打つ名告白〉をお贈りします。結婚の手続きと簡素な式をすませたあと、別々に帰る車の中でなぜか無性に涙があふれ、コリーは自分がすでにサイラスに対して淡い恋心を抱いてしまっていることに気づくのでした……。
*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。
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Posted by ブクログ
まず本書に興味を持ったのは「胸を打つ名告白」シリーズの一冊だと紹介されていたからでした。
契約結婚から始まった仮面夫婦の間に、いつしか本物の愛情が芽生えるー。
ロマンス小説では王道的なストーリーではあるのですが、ヒロインのコロンバインことコリーの何とも純真で素直、優しい性格には同性でさえ好感を持つこと請け合いです。
ヒロインが誰からも好かれるキャラであるがゆえに、便宜結婚をした形だけの「夫」を愛し始め、その事実に戸惑い激しく揺れるプロセスには読者も悩めるヒロインと同様にハラハラするでしょう。
かなり早い段階から、読者にはヒーロー、サイラスもまたコリーと同じように彼女を愛しているのだと気づきます。
分からないのは当事者の二人ばかり、、、という実にもどかしい状態で話は進んでゆきます。
ラストのサイラスの告白こそが、まさに胸を打つ名台詞なのでしょう。
書籍のあらすじ紹介には、どの台詞がとは特に書いていませんでしたが、私的には
ーこれまでずっと君を追い詰めないように気をつけてきたつもりだ。でも、やっぱり知りたいんだよ。君がどこまで僕を好きになってくれそうか。
この辺りでしょうか。
このシーンで、ヒロインもヒーローもお互いにひとめ惚れに近い状態で「結婚」、ヒーローもコリンに契約結婚の話を持ちかけたときから、既に彼女に心奪われていたことがやっと分かります。
ー心配しなくていい。君がその気になるまで待つつもりだ。仕事につくための勉強がしたいなら、それでもいい。ただ、僕は心から君を愛しているから、近い将来、本物の夫婦になりたいんだ。
そして
ー僕と一緒に暮らして妻になってほしい。
と、続きます。
ヒーローは大企業の跡取り御曹司、まさに女性なら幾つになっても夢見るシンデレラストーリーです。
結末も展開も容易に相続がつくと知りながらも、ついつい先が気になり読まずにはいられませんでした。
しかも、ハーレのヒーローの典型的な強引、傲慢俺様タイプではなく、時には他の男性と一緒にいるヒロインに焼き餅を見せつつも、常にヒロインの気持ちを最優先するサイラス。
考えてみれば、「夫婦」でありながらラストシーンまで一線を越えないー結局、物語内では二人の関係はプラトニックのまま終わります、おそらくラストシーンの次には名実ともに夫婦になることは暗示させて終わりますがー展開はハーレには珍しいのではないでしょうか。
とても素敵な二人の純愛物語に、読む人はキュンキュンしっ放しかもしれませんね。
おすすめの作品です。