あらすじ
AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)など、目まぐるしく進化する技術を事業に取り入れて激しい競争勝ち残るため、ユーザー企業は頭を悩ませています。ITエンジニアには、顧客であるユーザー企業が目指すビジョンや課題を理解し、顧客自身も気づいていないニーズを見つけ出して解決策を提案する力が求められます。
しかし実際は、いくら技術的に優れた提案をしたとしても、その内容が顧客のニーズとかけ離れ、全く響かない提案になってしまっているということが少なくありません。そこで本書では、「提案する側」と「提案される側」のミスマッチを解消し、双方にとってWin-Winとなる価値を生み出す提案の進め方を解説します。
第1章「成功に導く提案活動のコツ」では、エンジニアが遭遇しがちな提案活動での悩みに答える形で、相手にとってわかりやすい提案をまとめ上げるにはどうすればよいのかを説明します。
第2章「プロポーザルマネジメントの実践」では、エンジニアの提案力を最大化するために組織的に取り組むべきことを解説します。顧客要求の分析から提案書の作成まで、提案活動に必要なプロセスを「プロポーザルマネジメント」として体系立てて説明します。
本書で紹介する手法は、提案活動に関するグローバルコミュニティーAPMP(Association of Proposal Management Professionals)がベストプラクティスに基づいて体系化したものです。ITエンジニアはもちろん、プロジェクトマネジャー、プリセールス、ビジネスデベロップメント、営業など、システム提案に関わるすべての人に必携の一冊です。
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Posted by ブクログ
提案書の書き方と言うより、プロポーザルマネージメントの本ですね。仕事柄最近はあまりコンペありの提案書を書いてないので、前々職のSIer時代を思い出した。
ここに書いてあることは自然にできていると思っているけど、改めてフレーム化することで言語化できていると思うので、特にSE出身の人が提案書を書くときには読んでおいた方が良い本だと思った。
Posted by ブクログ
普段からの顧客との対話
事前準備の大切さ
プロポーザルマネジメントの本
第1章
個人の提案力を高める方法
RFPはベンダーを選ぶプロセスではない
自社の強みを発見するポイント
(1)顧客を理解する
(2)競合を理解する(3)自分たちを理解する、同時に、RFIの段階で顧客を訪問して確認
スタートの早さが大事
* 顧客が動き始めるのに合わせて、できる限り早くから活動を始める。
* 競合ベンダーの強みと弱み、自社の強みと弱みを顧客の立場から評価し、顧客にとって「自社でなければならない優位性」を導き出す。
* 顧客を訪問してプロジェクトに対する相互理解を深め、顧客の視座でプロジェクトの課題をつかむ。
エグゼクティブサマリー
1枚絵みたいなもの
これもやはり早い段階で顧客からヒアリングを行う
提案書を書く前にこっちのドラフトを書く
* 顧客の課題と自社の提案を結び付けるツールとしてエグゼクティブサマリーを作る。
* 顧客の「ホットボタン」と、顧客にもたらす「Benefit」を洗い出して整合させる。
* 顧客が使っている言葉や単語を用いて、顧客が主語になる表現で記述する。
プロポーザルプラン
最低限、「エグゼクティブサマリー」「章立て(コンテンツプラン)」「スケジュール」は作ること
* キックオフミーティングの前にプロポーザルプランを用意する。
* 提出期限までの日数の10~20%程度の時間を計画策定に当てる。
* プロポーザルマネジャーをアサインし提案チームの取りまとめを行うとより効果的。
キックオフミーティングは5つのゴールを設定する
2〜3時間で1.参加者の案件理解度をそろえる2.提案書執筆に必要な情報提供を行い認識を合わせる3.提案書執筆者をアサインする4.今後の活動スケジュールを調整し全員の合意を得る5.チームの結束を強める
キックオフパッケージを作る
キックオフミーティングのアジェンダを作る
* キックオフミーティングを成功させるには、しっかりとした事前準備と設計が大切。
* 競ミーティングの冒頭に、必ずゴールとアジェンダを提示してからスタートさせる。
* 役割分担やマイルストーンを参加者全員の合意のもとで確定させる。
コンテンツプランとは提案書の原稿執筆に着手するまえに、完成イメージを描いて計画をねること
* 提案書を分担して執筆する場合は、コンテンツプランで訴求ポイントの事前共有を図ることが重要。
* コンテンツプランに加えてテンプレートを作ることで、統一感のある提案書を作れる。
* 文字サイズや箇条書きの形式、配色などをまとめた「スタイルガイド」を作って配布するのも効果的である。
FABのフレームワーク
自社のことよりも顧客のことを先に書く、自社のことよりも顧客のことを多く書く
ベネフィットを強調表現する
●顧客視点の提案書は「Feature(機能・特徴)」と「Benefit(利益)」を識別して書く。
●顧客はFeature でなく、Benefitを買う。提案する製品やサービスの機能よりも、それを購入することで得られる利益を知りたがっている。
●伝えるときは顧客の言葉でBenefitを先に説明し、Feature とリンクさせる。
第2章
FAB+PDフレームワーク
Feature(特徴・機能)
Advantage(アドバンテージ)
Benefit(ベネフィット)
Proof Point(証明)
Discriminator(差別化)
相手の関心事の最も重要なポイントを「ホットボタン」としている
* 提案で伝えたいことと顧客が知りたいことの間にはミスマッチが生じやすい。
* 伝える内容を「FAB+PD」の5つの要素に分解してから伝え方を組み立てることで、抜け漏れやズレを防ぐことができる。
* 製品やサービスの特徴や機能だけでなく、顧客のベネフィットや競合と比較した優位性を明確にする。
* プロポーザルマネジメントは、提案の勝率を高めるためのベストプラクティスに基づく方法論である。
* 提案プロセスは購買プロセスに対応しているべきである。それぞれ6つのステップがある。
* 提案プロセスをマネジメントする「オポチュニティマネジャー」と提案書を取りまとめる「プロポーザルマネジャー」の機能を持たせる。
オポチュニティプラン
1.案件概要
2.顧客分析
3.競合・自社分析
4.アクション
5.エグゼクティブサマリー(たたき台)
営業は顧客との対話を沢山した方が良い
* オポチュニティプランを立てるときは「顧客」「競合」「自社」を分析する。
* 「選ばれる」ために顧客ニーズを理解し自社の優位性を認識してもらう。
* エグゼクティブサマリーを用いて顧客との対話や社内の意識統一に活用することで相互理解を促進させる。
* 提案書を書き始める前にプロポーザルプランを作成し、章立てやテーマステートメント、Win テーマを明確にしておく。
* 見た目の統一感を出すために、デザインガイドを作成して提案書作成の担当社間で共有する。
* プロポーザルプランが整ったら、キックオフミーティングを開催して周知する。
* 提案書を書き始める前にプロポーザルプランを作成し、章立てやテーマステートメント、Win テーマを明確にしておく。
* 見た目の統一感を出すために、デザインガイドを作成して提案書作成の担当社間で共有する。
* プロポーザルプランが整ったら、キックオフミーティングを開催して周知する。
* 提案活動を進めるべきかどうかは、活動の各段階に「ゲートディシジョン」を設けて判断する。
* [Probability of Win] [Probability of Go] 02つの軸で基準を設けて判断を実施する。
* ゲートディシジョンのための会議体をどのタイミングで設けるかは、提案の規模や期間など社内の状況に合わせて定める。
* 提案活動を組織的に実践し、提案の効率化や提案価値の向上を図るのが「プロボーザルマネジメント」だ。
* プロポーザルマネジメントの責任を持つ「プロポーザルマネジャー」には6つのエリアの能力や行動がもとめられる。
* 案件規模や組織の状況に合わせてプロポーザルマネジメントの実施体制を整え、提案活動に生かしたい。