あらすじ
二〇〇〇年に児童虐待防止法が施行され、行政の虐待対応が本格化した。しかし、それ以降も、虐待で子どもの命が奪われる事件は後を絶たない。長年、児童相談所で虐待問題に取り組んできた著者が、多くの実例を検証し、様々な態様、発生の要因を考察。変容する家族や社会のあり様に着目し、問題の克服へ向けて具体的に提言する。
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Posted by ブクログ
児童虐待による死亡を類型化し、特徴、課題を分析する本。児童虐待に関わる方なら知らない人はいないほど著名な方の本。
素人でもわかりやすく学ぶことができた。読んでいても辛くなるが、自分事として考えていきたい。
Posted by ブクログ
◯直近の虐待事案や、児童虐待防止に関する政府の取り組みなどがしっかり盛り込まれており、日本の児童虐待に関する最先端がここにある。内容としても論理立てて記載されており、非常に分かりやすい。
◯とはいえ、虐待死という、児童虐待の中でも最も重篤なケースをテーマとした本書、前回の著書と比較しても、筆者の思いや感情が(冷静な筆致を心がけたとあれども)、本の構成から滲み出てくるようである。
◯こういった本が、関係者、さらには一般の方の手に渡り、広く啓蒙されることが必要だと感じた。
Posted by ブクログ
死亡事例の検証は、とても切なくなる。
あとからケースを俯瞰すると、このタイミングでこうすればよかったのに、とか、ここでこう介入すべきだったのに、とか、いろいろ気づくことや思うことはあるが、結果論になってしまいがちなところが、どうにもやりきれない。ただ責めるだけになってしまいそうで、果たして自分がその立場にいたらそれができたのか?と思うと自信がない。
それくらい、家族に介入すること、家族の形を外から見立てるのは困難が伴う。
でも、子どもを救うためにはそうも言っていられない。形の上では「子どもを救う」だけれども、実は家族も救われるのを待っていることが多い。虐待者自身が課題を抱えていて、それを解きほぐす術がわからずに弱いところへ攻撃が向かっているというのはよくあること。
虐待への介入は、実はその家族をシステム不全から救い出すことでもある。
内容のどれもが、幾度となくケースに対応するなかで考えてきたことだし、やらなければならないと向き合ってきたことだし、事実として突き付けられ続けてきたこと。第6章は、書かれているそのすべてが、日々心に刻みながら子どもたちやその家族に向き合い続けていることばかり。本書を読んだからには、その思いをさらに胸に刻みつつ、また明日も家族に向き合っていく、それだけだ。
Posted by ブクログ
改めてこんなに悲しく憤る事実があったことに向き合う機会をもらえた。
こんなひどいことを人間できるものか?と突き放すことができれば楽なのだが、自分の中にもこのような残虐性があるのかと考えるのが妥当だろう…
一方が相手の意思や感情に反して力を行使し、他方の意思や感じを押しつけコントロールする関係性が生じていれば、そこには「暴力」が存在すると考える必要がある。
この一文で私は暴力者にも、被暴力者にもなっていると考えられる。
ソーシャルワーカーでいることとは という詩がしみる。
Posted by ブクログ
読んでいて何度も暗い気持ちになったが
最後まで読まずにはいられなかった。
印象深いのは、親子心中は、美しくない。
子どもへの虐待であるという部分。
そして数々の虐待死させられてきた子どもたちをおもい、
つらいです。