あらすじ
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国連の「SDGs」って何?
2030年までにどうすればいいの?
使い捨て生活は、もうしたくない。その解決策の最前線。
96Pで学ぶ「未来への新常識」
(目次より)
Part 1 いま世界が直面するプラスチック危機
Part2 プラスチックの基礎知識
Part3 プラスチックと環境問題
Part4 プラスチックリサイクルのいま
Part5 脱プラスチック生活への道
Part6 プラスチックの歩みと社会の変化
国境を越えるプラスチックごみ/ヨーロッパ諸国のごみ戦略・リサイクルから脱プラスチックへ/経済優先のごみ大国アメリカで行き詰まるリサイクル事業/いち早くレジ袋規制に踏み切ったアジア・アフリカの途上国/最もリサイクル率の高い国は?/2030年までになすべきこと ほか
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Posted by ブクログ
プラスチックについて網羅的に学べる秀逸な本、決して子供向けではない、かなり情報量が多いが、端的に書かれていてすぐに読める。
日本ではゴミの分別がしっかり行われているため、リサイクルされているので良いと思いがちだが、プラスチックのリサイクルはコストの問題で実はほとんどが燃やされている。プラスチック自体の使用量を減らしていくのが重要だと認識した。
一方で燃やすのはだめではないよなという疑問がある。プラスチックを原料から新しく作るのにもエネルギーを要するし、プラスチック自体が燃料となってゴミが燃える側面もある。
また、使い捨てを除くのは悪くないが、繰り返し使えるものも永久に使えるわけではない、その捨て方やどのくらい繰り返し使ってくれるかが肝であり、全体感を持って考えないと実は環境に悪いことをしてしまいかねない。
◯プラスチックの特徴
腐らない: 分解する微生物が自然界にいない
炭素と水素から成る有機化合物
熱硬化性(加熱して柔らかくなり冷えると戻る)、熱可塑性(熱を加えると硬くなり戻らない)に分けられる
◯昨今のプラゴミをめぐる動き
・中国は安い人件費を使って廃棄プラスチックから再生させることでプラスチック製品を作り成長してきた、しかし処理できないものは放置、流れ出して汚染が進んだ
・中国のプラゴミ輸入禁止後、不正輸出がアジアで相次ぎ、バーゼル条約が改正、汚れたプラゴミは輸入国の許可がないと輸出できなくなった
・アフリカは30/54でビニール袋禁止化、プラゴミの山と家畜が誤飲して相次いで死亡、分別や処理ルールを作るより禁止のが早いという事情。
◯プラゴミによる海洋汚染の源
・プラスチック製品の加工原料として使われる樹脂ペレット(プラスチックを一度溶かして直径数mmの粒状にしたもの)で工場や輸送中に散乱したものが河川を通じて漏出。
・魚網
・3.11で150トンの家財が流れた
・一番の問題は河川から、8割が中国中心のアジア諸国
・海洋生物が大量にプラゴミを誤飲
◯マイクロプラスチック(5mm以下)
・海に5兆個ある、動物プランクトンと同じサイズ
・洗剤や歯磨き粉に入っている、合成繊維の服、メラミンスポンジのかす
・人も摂取して排泄されている、人体への影響は不明
・マイクロプラスチックは周辺1トン分の海中の有害物質を濃縮して取り込んでしまう(POPsなど)
◯有害性が疑われるプラスチックもいくつかある
・ビスフェノールA(BPA):ポリカーボネート、エポキシ樹脂の原料。環境ホルモン(脳や前立腺、乳腺への影響)。容器、缶詰内側のコーティングなどへ使われている。
・フタル酸エステル:ポリ塩化ビニル(PVC)の可塑剤として使用、プラスチックは様々な添加剤が使われるが、プラスチックの成分と科学的に結合しているわけではないので溶けだすことがある。生殖毒性や発がん性が疑われている。
・三酸化アンチモン
・ノニルフェノール(NP)
◯3つのリサイクル
・マテリアルリサイクル(mechanical recycle by ISO):物理的な方法で原料にして新しいプラスチック製品を作る
・ケミカルリサイクル(feed stock recycle by ISO):科学的に分解して、様々な化学原料に再生、モノマーに戻して再利用
・サーマルリサイクル(energy recovery by ISO):ごみを焼却して発電などに有効利用
・産業系廃棄物は種類がはっきりわかっていてまとまった量があるのでマテリアルリサイクルが進んだ。家庭ごみが雑多なものが混じるため分別の壁、
◯世界のリサイクル事情
・ヨーロッパはリサイクル率も高いが、リサイクルから使い捨てプラ使用禁止へ梶を切った
・アメリカはごみの輸出ができなくなり、自治体が処理費用を負担できず問題になっている。カリフォルニアが上手く分別しながらリサイクルを進めている。
・コカ・コーラ、ペプシコ、モンデリーズ、ネスレ、レゴと言う順に使い捨てプラの排出量が多いが、各社切り替えを進めている。生分解プラや
◯日本のリサイクル事情
・リサイクル率86%だが、58%がサーマルリサイクル、ケミカルリサイクル4.4%は還元剤やコーコスなど結局燃やすもの、マテリアルリサイクルの23.4%のうち、6割は海外へ輸出
・焼却施設が多く、圧倒的に食客率の高い日本、ごみ発電による熱は公共施設へしか供給されていない。途上国で埋め立ては一般に多いが、アメリカでも5割、カナダでも7割が埋め立て。国土が広いと先進国でも埋め立て
・消費者はごみを分別、自治体が回収選別してリサイクル業者へ引き渡し費用を払うというスキーム。自治体は2500億円年間負担しているが、容器包装を利用する企業の業務委託費はリサイクルされた量にしかかからないため380億しかなく、これが免罪符となり自治体の負担が大きい。プラ(容器包装ごみ)は汚れたものも多く、サーマルリサイクルも認められるためほとんど燃やされている。
◯プラスチックの生涯に責任をもつ
・全世界ではプラスチックの9%しかリサイクルされていない。
・費用がかかる、再生プラは質が悪い、種類があまりに多い、組み合わせて使われたり添加剤が使われる
・生分解は、耐久性が低い、コストが高い、水中や地中では分解されにくい
◯アップサイクル: リサイクルした物をより良いものに作り替え付加価値を高める
・フライターグ、グローブホープ
・デイブハッケンス、プレシャス・プラスチック、手作りマシンで加工
◯脱プラへの道
・量り売りの店の利用
・プラスチックを入れない、今あるプラスチックを長く使う
・買う前に素材成分を確認
・自らつくる暮らしを取り戻す、無理なく
◯プラスチックの歴史
・第二次世界大戦時、小型軽量のレーダーの構築にポリエチレンが活躍した。
・触媒の開発にも重合させやすくなった。
・衛生に保ち、低コストで様々な使い捨ての道具がプラスチックによって作られたことで医療技術は飛躍
Posted by ブクログ
「#マイクロプラスチック」「#海洋プラスチック」が気になるなら読んだ方が良い。
こういう書籍で大事なのは「難しいからといって内容を省かないこと」だと思う。プラスチックについて高校の「化学」で学んだ(はずの)こと出てくるが、ちゃんと思い出せた。この本をきっかけに「化学」を学ぶ(学び直す)人も出てくるかもしれない。あるテーマに絞ることで学校ではバラバラに学んだことが集約されることがある。「知」や「人のつながり」を生む「場」になる可能性がある。
「導電性ポリマー」がポリアセチレンの合成に研究生が失敗し通常粉末になるものが黒い膜になったことがきっかけというところが絵になっている訳だが、筆者の情報収集能力の高さが垣間見える。神は細部に宿るのの好例ではないのか。