【感想・ネタバレ】何様(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる―。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く6編!(解説・若林正恭(オードリー))

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Posted by ブクログ

ネタバレ

他の方のレビューで、「何者」にこの続編(?)「何様」があると知り、早速読みました!
「何者」に出てきた学生たちが、その後どうなったかが描かれてるのだろう、と思って手に取ったら、さすがの朝井リョウさんはそんな単純なシゴトしてなかった!もうちょっと複雑で、例えば「何者」に出てきた「サワ先輩」をそのまま描くのではなく、サワ先輩を好きになりそうな女性目線で描いてたり、ミズキさんのお父さんと出会った女性を描いてたり。あと、ギンジの甥っ子目線だったりいろいろで面白かった。

1.水曜日の南階段はきれい
光太郎の高校時代の思い出。光太郎が、「何者」でなぜ瑞月さんの想いを受け入れなかったのか、「忘れられない人がいる」って言ってたけど、それってどういう女性なのかが描かれている。

2.それでは二人組を作ってください
「何者」の理香が、なぜ出会って早々の男と同棲を始めたのかが描かれている。理香は「何者」で描かれていた通り、やっぱり生きづらい子なのね。自然と、「友だちと二人組を作る」とかができなくて、真面目過ぎて。で、なんやかやでルームシェアをする友達が見つからず、出会って間もない男の人と暮らすようになるんだけど、その男(隆良)が、「何者」よりも薄っぺらい感じに描かれてた笑。

3.逆算
11月生まれの自分って、逆算すると両親がクリスマスに仕込んだ子なのではないか?って考えている女の子の話。読んでいて、ん?クリスマスに仕込んで11月生まれってことはないよな…と思いながら読んだら、そういうオチだった。

4.GINJI
ギンジの甥っ子の話。ちなみに母がGINJIの姉。で、父はお堅い商社マンで、どうも昔からGINJIのことをバカにしているっぽい。商社の仕事は、まだ日本では手に入りにくいものを輸入したりして、人の役に立つ仕事なんだ!だけど表現者とかいうの?なにあの仕事?息子よ、お前はちゃんと人の役に立つ仕事をする大人になるんだぞ…。
で、甥っ子はおじさんの舞台を観に行って、意味わかんね~って思うんだけど、一緒に行った彼女は、舞台で出てきたフレーズをちょっと覚えてて、救われたりする。
仕事って、人の役に立つ仕事って何だろう…って考えさせられるストーリーだった。

5.むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
真面目に正しく生きて、一生懸命に仕事をしている正美という女性が、むしゃくしゃして最終的に不倫しちゃう話…って言ったら身もふたもないけど笑。その相手が、「何者」の瑞月のお父さんで、瑞月が「うちのお母さん、ちょっと弱いんだ、心が」って言ってたのがどういうことなのかわかる。
まぁ、不倫くらいすればいいんじゃない?って思っちゃう。

6.何様
「何者」の集団面接のシーンで、元気に笑いをとっていた男子学生のストーリー。彼は無事に就職したけど、社会人になったらなったで、いろいろ悩むわけで…っていう話。
これちょっと、入社一年目で人事部に配属になって、採用面接を担当するとか、そんなことあるの?って不思議に思った。彼は都内で一緒に就職した彼女と同棲してるんだけど、彼女も一生懸命に働いてて、お互い仕事が忙しくて、すれ違い…ってほどじゃないけど学生時代とはちがって現実との闘いが日々あり、生きていくって大変!!!って思った。

ちょっと思ったのと違ったけど、どれも独立した短編として十分読み応えがあり、「何者」に続けて読んでよかったと思いました!

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2026年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あらすじによると、「【何者】に潜む謎が今明かされる」とのこと。謎なんて潜んでいたっけ? と思いながらページをめくったけど、確かに『何様』を読んだあとは『何者』に厚みが増す気がした。

明かされる謎というのは、第一話は「なぜ光太郎は出版社ばかり受けているのか」。『何者』でも言及されていたけど、そのエピソードに肉付けがされている。爽やかで心洗われるよう。ただ、翻訳家になりたいならアメリカより国内の文学部に行ったほうが早いよなとは思う。

第二話は、「なぜ理香たちは付き合って間もないのにルームシェアをしているのか」。まさかルームシェアから始まった付き合いだったとは。『何者』から際立っていた里香の不器用さ、プライドの高さ、潔癖さなどが本作でさらに際立つ。これがいちばんアナザーストーリーっぽい。

第三話の謎ははっきりしないけど、あえて言えば「あの頼もしいサワ先輩は結局どこに就職したのか」だろうか。しっかりした鉄道会社に就職している。理系だから技術職だろうか。

第四話もはっきりしないけど、「烏丸ギンジは新興の劇団、いや激団を続けられるのか」だろうか。ちなみに雑誌の表記は「劇団」となっていた。10年経って多少丸くなったのだろうか。ただ、ギンジ本人は今作でも直接の登場はしない。まるで「桐島」みたいだ。

第五話は「瑞月のお母さんは心が弱いというけど、それは具体的にどういうことなのか。瑞月が就職先を考え直さなければいけないというなら、夫は何をしていたのか」だろうか。この話、いわゆるまっとうな人生を続けている自分には刺さった。

第六話はフィーチャーする登場人物はいないけど、就活を終えた新社会人には身につまされる話だと思う。スーツ着て、仕事ごっこをしているような自分は何様なのか、という疑問は誰しも頭の隅によぎったことがあると思う。そんな疑問にひとつの答えを差し出してくれる、優しい話。

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「水曜日の南階段はきれい」が圧倒的に好きです。

美しくもありもどかしくもある青春のキラキラが、胸に響きました。
何度でも読み返したい話です。
夕子さんは素敵な人。
これは光太郎が忘れられないのも無理はないと思います。『何者』の後、再会出来る未来があったらいいのに。

次点は「何様」
眉毛カッターの子が主人公だとは、気づきませんでした。君島さんが良いキャラしていました。
「本気の一秒」(p397)
「誠実への一歩目も、誠実に入れてあげてよ〜」(p398)
という言葉が心にスッと入ってきました。

それ以外の短編は、あんまり……でした。
「逆算」は、クリスマスでもなんでもいいじゃん、と思うので主人公に共感出来ず。サワ先輩は相変わらず素敵でした。
「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」は、そこに至るまでの心情は分かりますが、『何者』での瑞月さんを知っているので、「あー……」という感じになりました。

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2026年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「何者」のスピンオフの本著、前作の登場人物の過去やその後を描いていて、どれも心にチクっと刺さる話ばかり。あくまで本人視点で進んでくのは光太郎と里香だけで、他は更に遠い関係者の視点。沢渡はまだしも、登場が少ない烏丸の親族や最後の面接シーンの彼、話題のみの登場の瑞月の父の不倫相手など、前作との関係はかなり希薄に見えるものの、それぞれスポットで印象に残る人々の話。各々の葛藤が生々しく伝わってくる。光太郎と里香、沢渡は納得なエピソードで、かなり人間像がくっきりした。個人的に最後2作品。私だけでなく誰もが心当たりがあるような心情を主人公が持つものだから堪らなかった。「何者」のスピンオフの本著、前作の登場人物の過去やその後を描いていて、どれも心にチクっと刺さる話ばかり。あくまで本人視点で進んでくのは光太郎と里香だけで、他は更に遠い関係者の視点。沢渡はまだしも、登場が少ない烏丸の親族や最後の面接シーンの彼、話題のみの登場の瑞月の父の不倫相手など、かなり前作との関係は希薄に見えるものの、スポットで印象に残る人々の話。各々の葛藤が生々しく伝わってくる。光太郎と里香、沢渡はさもありなんな発言や行動で、かなり人間像がくっきりしていた。「むしゃくしゃしたやった、と言ってみたかった」の主人公は、あの後救われたのだろうか。納得したのだろうか。「何様」の主人公は、誠実の意味を再解釈して妻に向き合ったのだろうか。気になる。あとがきの若林の解説のように、年齢を重ねると読み方が変わりそう。良作。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作の主人公が出てこないか期待してたが、残念ながら出てこず。心温まる話もあったが、前作以上に理香とその彼氏が哀れで惨めに描かれていて、気の毒になる。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1%の誠実も誠実のうちでそこから拡張すると言う考え方はとてもいいと思った。
人間のリアルな悩みが見れて面白かった。

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2026年06月22日

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