【感想・ネタバレ】何様(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる―。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く6編!(解説・若林正恭(オードリー))

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Posted by ブクログ

ネタバレ

久々の星5。6つの短編がつまった作品。特に印象に残ったのは、⑤むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかったと⑥何様の2つ。
⑤は正しい自分でいようとしてきた人生に疑問を持ち葛藤する主人公が描かれていた。主人公の性格が、昔の知人と重なってなんとも言えない気持ちになった。また、日常のむしゃくしゃが吹き出し、今までできなかったことが普通にできてしまう、そんな人間の生々しさが表現されていて印象に残った。
そして⑥何様。この話を読んで星5にしようと思った。社会人1年目の主人公が、人事部に配属され、評価されてる立場から人を評価する立場となる。そこに葛藤や疑問がうまれる。(誠実ではないと感じる)物語終盤で先輩社員である君島は、100パーセントでなくとも数多の感情の中に1秒の本気の感情があれば、それも誠実のうちだと言う。その本気の1秒から少しずつ拡張していくという君島先輩の考え方には衝撃を受けた。この小説を読んで、99%の不誠実の元で捨ててしまった大切なものがたくさんあると認識できた。これからは本気の1秒、大切な感情を持てる大人であろうと思った。

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まずやはり朝井リョウさんの書く物語は面白いなぁと感じた。なぜこんなに私は面白いなぁと感じるのか考えたとき、人が持つ人に知られたくない、自分でも気づきたくない、心の柔らかい部分に刺さる話だからだなという結論に自分の中で至った。

短編6つのうち物語としては「水曜日の南階段はきれい」が好きだった。
自分に特に刺さったのは「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」。自身も正美側に近い人生であったので共感も多かった。
また、最後の「何様」も同じく心に残った。社会人になってまだそこまで年数が経ってない人は特に共感するものがあると思ったし私も本気の1秒を自分の中に見つけたい。

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2025年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱり朝井リョウさんの作品が好きだなあと改めて感じました。
文章の緩急が滑らかで、さりげなく物語の山場へと導いていく手腕が本当に見事だと思います。

『水曜日の南階段はきれい』

当事者にとっては何でもない光景なのかもしれないけれど、第三者から見ると二人があまりにも輝いていて、最高でした。読んでいて心が潤いました。

『それでは二人組を作ってください』

理香の姿は、ただ「かわいそう」と片付けられない複雑さがありました。
人間らしさが滲み出ていて、嫌いではないけれど…何とも言えない後味が残る作品でした。

『逆算』

沢渡さんとぜひお近づきになりたい…。

『きみだけの絶対』

自分が大切にしたいと思ったことが、相手にとってはそうでもなかったり、逆に相手が印象に残していることが自分にとっては何気ないことであったり。
他者との違いを認めることの大切さを改めて考えさせられました。
それができない人がたくさんいるし、自分自身もそうなってしまうことがある。
SNS上での誹謗中傷にも通じるものがあるのかもしれません。

『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』

正美の姿が痛々しくて、読んでいて胸が締めつけられました。
中学三年生の自分と重なる部分が多く、思い出したくない記憶まで呼び起こされて苦しくなりました。
「懐かしい」と軽く振り返ることができるのかと期待していましたが、辛い記憶はいつまでも辛いままなのだと、改めて実感しました。

『何様』

最後の展開が、まさに朝井リョウさんらしく、やっぱり好きだなと思いました。

『本気の1秒』

自分と向き合う上でも、誰かと向き合う上でも、直感的に「これだ」と思える瞬間はとても大切だなと感じました。
私はつい、人を(自分自身も含め)タイプごとにカテゴライズしてしまう傾向があるので、そうしそうになったときにこの物語を思い出したいと思います。

朝井リョウさんの作品を読み終えたあとは、感想を書こうと考えれば考えるほど言葉がまとまらなくなります。
なので、とりあえず今の感情と記憶を残すために、こうして殴り書きのように記しておきました。

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2025年01月31日

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ネタバレ

何者で拓人が「自分の人生の中に見つけたドラマがそんなにも大事なのだろうか」って言ってたけどさ、こんな初恋あったら大事にするに決まってんだろぉ!最高の初恋じゃねえか!!そう考えたら瑞月が不憫すぎる。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

光太郎の話が1番好きでした。光太郎と夕子のなんともいえない、言葉で表すことが難しい関係性がすごくリアルでした。高校生に戻って人生やり直せたらもっと夢について深く考えていたのかなとか、あの時こうしておけばよかったとか、今思っても仕方がないけどすごく過去に戻ってやり直したくなるようなお話でした。とても純粋で青い作品。短編ではなく長編で読みたくなりました。

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2025年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「何者」のサイドストーリー集。
「何者」を拝読してからだいぶ時間が経っていたため内容を理解できるか不安だったけど、それぞれのお話が独立していて読みやすかった。
就職や面接、進路、新社会人など、いろんな面で悩む人の葛藤が描かれていた。

逆算のお話で沢渡さんが言っていた「きっかけとか覚悟とかって、多分、あとからついてくるんだよ」が忘れられない。
1歩踏み出してチャレンジする人を見るとその勇ましい姿にまぶしさを覚えるけれど、本人からしたら万全の覚悟なんてそうそうできていなくて、あとから振り返った時に「あれがきっかけだったんだな」って
思うのがざらなのかもしれない。

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2025年05月23日

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ネタバレ

すぐ別の気持ちに呑み込まれたのかもしれないけど、その1秒だって誠実のうちだと思うよ、という君島のセリフが良かった
てか現実にサワ先輩いたら絶対好きになっちゃうなー

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2025年12月07日

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ネタバレ

朝井リョウが描く男はずっとセックスの話をしている。大学生の私にとってリアルで気持ち悪い。女キャラは共感できる。どうやって描いているんだろう。「水曜日の南階段はきれい」は本当に素敵だ。理想的な高校生活。「それでは二人組をつくってください」は理花が友達をルームシェアに誘う前に家具を揃えてしまう所。共感した。幼少期みんなで砂遊びをするために砂遊びのセットをこっそりお小遣いで購入し、家にたまたまあったと言い張った私に似ている。でもこういうことは大抵うまくいかない。バカだからルームシェアを承諾するだろうという話はいささか横暴だと思ったが。「逆算」はオチがきれい。セックスとかついつい汚い逆算をしてしまう感じ分かる。でも目を背けたい。「きみだけの絶対」はとにかくセックスの話で頭がいっぱいだ。でも最後演劇の話で頭がいっぱいになるの、いいな。私と同じだ。「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」は共感できない話ではある。真面目な女の子はやっぱりつまらない。若い時に暴れなかった人は爆発するタイミングを間違えてしまうのだろうか。「何様」は来年社会人になる私がこれから体験する日々なんだろうか。是非もう一度読みたい。

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2025年04月29日

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ネタバレ

何者の前日譚。

光太郎の高校時代の話。翻訳者になる夕子との話や、友達と居て少しずれていると感じる話など。

理香の話。姉とルームシェアを解消されそうで、一緒にルームシェアして欲しかった女友達は別の友達と一緒になり、インテリア店で出会った宮本とルームシェアする。いつも2人1組になるとあぶれる。宮本はバカそうだから、あぶれない。

サワ先輩の就職後の話。というか主人公はサワ先輩の後輩。サワ先輩の同期とその後輩が結婚する。主人公はその後輩の同期。高校の頃に初めて付き合った彼氏に誕生日から逆算するとクリスマスイブに両親が仕込んだ子供だと言われて、それから色々逆算してしまう。サワ先輩とクリスマスに余興の動画を撮影していて、高熱で倒れ、サワ先輩からクリスマスイブ仕込みなら9月生まれになると聞かされる。

光太郎のルームメイトの男と一緒に演劇をしていた烏丸ギンジの高校生甥っ子が主人公。童貞を捨てたばかりの彼女はシングルマザーの子。生きづらそうにしているが、烏丸ギンジの舞台を見て変わったのか。いや変わらない。

ボーカル男の元カノで外国で泣いていた瑞月の父親の職場での後輩が携帯を忘れて合説に行って、そこで携帯を借りた女性が主人公(遠い)。そのマナー講師の女性と瑞月の父親が一緒に食事をする。正しく生きてきた人より、元ヤンの講師の方が評価されるのは何なのか。そして瑞月の父親と不倫をする。瑞月の母親が不安定ながらシングルだった理由か。

最後のは誰かわからん…就活を受ける面接官側の話。語り手は新卒で人事部に配属された男性。ズバズバ言う女上司とゆったりしたプロ面接官みたいな先輩とやる。彼女が妊娠して父親になる。父親になれるかも不安だし人様を選ぶのも何様と言う感じ。1秒でもふと思う気持ちがあれば、それも誠実

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2025年04月22日

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