【感想・ネタバレ】ヤマシタトモコのおはなし本のレビュー

あらすじ

10年間の軌跡をひも解く、インタビュー6本&対談4本×えすとえむ/×河内遙/×秀良子/×三浦しをん 「ミラーボール・フラッシング・マジック」続編描き下ろし!トーク以外も豪華収録!
★BL代表作[その後の彼ら]『くいもの処 明楽』/『神の名は夜』(『イルミナシオン』収録)/『Candied Lemon Peel』&『息をとめて、』(『タッチ・ミー・アゲイン』収録)/『恋の話がしたい』/『MO'SOME STING』/『YES IT'S ME』/『さんかく窓の外側は夜』
★コミックス全点 著者コメント
★[ミラーボール・フラッシング・マジック]続編『afterlight』描き下ろし

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Posted by ブクログ

『これ、あまり賛同が得られないんですが、誰にも見せるつもりがなく書いた誰かの日記や手帳を盗み見たい欲求があるんですよ(笑)。本当にはやりませんよ? やらないけど、誰か使い終わった手帳や日記をくれないかな・・・と思うくらい、他人の生活を見たいんです。ブログみたいに他人に読まれることが前提のものだとちょっと違って、それよりも、もっと何気ないものがいいんですよね。ただ予定が列記された手帳で十分で、「なるほど、こいつは20日に会食したのか」とわかるだけで、きっとうわーってテンションが上がります(笑)。
- 他人の生活、ドラマを垣間見る感覚で、作品を描いているところがあったりします?
物語的なドラマチックな出来事を考えるのが苦手なこともあって、その人たちの人生の、とある部分だけを切り取ったような話にしたいとは思っています。そこで描かれた前後にも、その人たちの生活がちゃんとあるんだということが感じられるようなものがいいですね』―『第一部 ヤマシタトモコ 2005年―2010年』

「違国日記」を読んでしまってその魅力に魅せられている作家ヤマシタトモコ。これは良くない性分なのだけれど、作品だけでは満足できず作家本人の言葉を求めて買い求めた一冊。まだ「違国日記」を書く(描くではなく「書く」と敢えて言いたい)前のヤマシタトモコの語りを聞く。インタビューに答えている言葉に、ふっと、吸い寄せられる。ああ、こういう感覚の作家だから惹かれてしまうのか、と。柴崎友香との親和性を勝手に見つけ出す。

「違国日記」を読むきっかけとなったのは、ウェブで少しだけ漫画が読めるサイトでお薦めされたからだが、それは多分ガッキー主演(果たして高代槙生が原作の主人公であるか、という問題は置くとして)の映画のプロモーションであったのだと思うのだが、この妙に理屈っぽい小説家の言葉に惹きつけられた。きっと作家も頭の中が始終うるさい人なんだろうと思ったが、その印象はやんわりと肯定される。とは言え、事あるごとにヤマシタトモコは「何も考えていない」「どうでもいいんです」という表明をしているのではあるけれど。

「何も考えていない」というのは、将来像を算段で考えてはいない、という意味なのだろうと理解するのだけれど、制作過程を語る言葉を聞く限り常に頭の中には「妄想」が蠢いていてそれを一気に吐き出すように描いている様子が伺える。何かをやりたい、こういうものが描きたいという強い意志はない、と何度も答えてはいるけれど、その妄想は間違いなく作品の種子であり、意識的ではなくとも無意識の内に方向性を定めているには違いない。「違国日記」の中の小説家と同じように頭の中で常に誰かが何かを話している感じなのだろう。

「どうでもいいんです」という言葉も字義通り受け取るべきものでないことは明か。恐らくそれは「何かに執着した価値観で表現したくない」という位の意味であって、表現されたものがどう受け止められるかには「責任は持ち切きれない」ということを別の表現で言っているだけのこと。作家の社会的電網媒体への投稿を見ていれば明らかではあるけれど、ヤマシタトモコにはヤマシタトモコの主義主張がきちんとある。だからといってそれを押し付けるような表現をしないだけのこと。

目下のところ「違国日記」が最も印象に残っている作品ではあるけれど、その他の作品のどれを読んでも、この作家が自分を取り巻く環境に対して強烈な違和感を抱いていて、それが作品を描く原動力になっているのかなと思わせるところがある。もっとも作家が漫画家として走りだす原点になったボーイズラブを読むのは、やっぱり少し腰が引けてしまうのだけれど。とは言え案外はまった「さんかく窓の外側は夜」は、BLと認識され難いとインタビューに答えて作家は言っているけれど、あれは明らかにBLでしょうと思ったけれどもね。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヤマシタ先生の好きな音楽映画とか香水とかファッションとか他の漫画家から見たヤマシタトモコとか知れて面白かった。最後のミラーボールの描き下ろしが好き

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2015年12月13日

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