あらすじ
人生を大きく変えるため、倒産寸前のメガネ
チェーン店を買収した田中。しかし、社長就
任 3 か月で銀行から「死刑宣告」が下される。
度重なる倒産の危機、裏切りに次ぐ裏切り、
決死の資金繰り……。何度も襲いかかる絶体
絶命のピンチに破天荒な施策で立ち向かって
いく。実在する企業「 OWNDAYS 」の死闘の 日々を描いた、ノンストップ実話ストーリー
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Posted by ブクログ
前々から気になっていた小説。
小説とは言え、小説形式のノンフィクションだった。
オンデーズという眼鏡屋さん、知らなかったけど、一度行ってみたくなりました。
(そういうマーケティング的要素のある本だと思うが、まんまと乗せられてしまっている。。)
加えて、著者の田中社長がオンデーズを買収して、
10年目の節目に社史を残しておくという意味合いも込めて、
単行本化されたと思われる。
確かにこの本読んだら、社員のモチベーション上がるわな…。
良くできてるわ、この小説。
16話と17話のこの場面には、しびれた。。
オンデーズを買収してからの僕は、メガネをビジネスのための一つの道具として捉えていた。お客様に選ばれ、ライバル企業に打ち勝つにはどうしたらいいか?ただそればかりを考えていた。話題性や、ファッション性にばかりに目をやり、他社の追随を許さぬ低価格を実現して事業展開をすればよい。企業を大きくして利益を出せばよい。それが経営者としての一番大切な仕事であって使命だ。そう考えていた。しかし、この避難所でのボランティア活動を通じて、メガネ屋にとっては、専門家としての技術や知識を用いて、人々の視界を快適にしてあげることが何よりも一番重要なのだと、この時はっきり気づかされたのだった。まさに頭に雷が落ちた。そんな表現がピッタリくるほどの衝撃だった。オンデーズがお客様に本当に売らなければいけないのは、安いメガネでもお洒落なメガネでもなく「メガネをかけて見えるようになった素晴らしい世界」だったのだ。(p.261)
(良いものは高いんだから)この言葉に僕は反射的に、少し拗(す)ねるように言った。「良いものだから原価が高い。だから高いものを高い金額で買ってもらえばよいって、そんなの当たり前じゃないですか?そんなレベルの低い仕事でいいのなら子供だって誰だってできますよ。そうじゃなくて、『なんでこんな良い商品が、こんな金額で買えるんだ?』そうやって、消費者を驚かすことができて、初めてプロの仕事と言えるんだと思うんです。僕らがやりたいのは、『単なる安売り』じゃなくてそういう『本当に価値のある商売』なんです!」僕のこの一言が癇に障ったのか、プライドに火を点けられたのか、中畑社長は語気を荒げて言った。「わかりましたよ!作りますよ!やりますよ!こっちだってプロだ、私はアナタが子供の頃からメガネを作ってきてるんだ。そんな言われ方までされたら頭にくる。いいですよ。田中さんの言う通り1500円で作ってみましょう!もう一度製造工程を全て見直して、限界まで無駄を省けば、できる余地はまだあるかもしれない」(p.284)