あらすじ
忘れられない初恋を捨てる旅に出た。
難病を抱えた彼女を捜す旅。
あの日の恋と謎の結末は――。
暖かい涙こぼれる青春恋愛ミステリー。
「シュレディンガーの猫」は生と死が重なり合っているならば、俺の初恋はシュレディンガーの恋というべきだろう。意地を通し
会社を退職した俺に、妹から一年ぶりの電話。それは高校時代の恋人の小夜を捜そうという誘いだった。彼女の足跡を辿り妹と旅
に出た俺が出会う、切なく優しい恋と謎。旅の終着地で俺が目にする終わった恋の結末とは。心に希望が灯る青春恋愛ミステリー。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久々の妹との再会は、初恋の人を探す旅へと
旅の最中に出会う人々と小さな謎は、初恋の人への想いを変えてゆく
初恋の真実を知った時、新たな始まりの一歩へと
小さな瓶に、小さな花たちと優しさを詰め込んだ物語
恋の形は様々で、様々だから迷って足掻いて
今と過去の物語が交互に進んでいくこの物語
そういった作品は結構好きなので過去を味わいながら読み進められた
軽く砂糖をまぶした感じでさっぱりと読めて、後味は悪くない
Posted by ブクログ
多分にネタバレを含みます。
印象に残った言葉
「私には分からないの。ゴールってどこなの?ラブストーリーを見ててもいちいち冷めたこと考えちゃうし、幸せそうな家族を見ても裏を疑っちゃう......。あんたとー緒にいる時も、自分をどこかで俯瞰して見てる。あんたと一緒にいることに慣れて、疲れてきてる自分だって確かにいるんだ……」
自分と重なるものを感じた。特に「自分をどこかで俯瞰して見てる」の部分。この作品の結末に基づいていえばこの現象は過去のトラウマ的経験によるものであり、自分の素直な恋愛感情を信じるべき、ということになるのだろうか。
全体的に綺麗な展開で、この作品はどのパターンなんだろうかと予想しながら読み進められるところは良かった。しかしあまり感情移入はできず、読後感はもえらくさっぱりしている。というのもこの作品では兄妹とそれぞれの想い人、さらには各エピソードごとで各人の恋愛にまつわる心情の描写が行われているため、肝心の中心人物の心情描写が薄くなってしまっているのだろう。多様な人物の心情の比較によって考察の余地や深みが与えられると考えれば必ずしも悪いことではないが、個人的には好みではなかった。