あらすじ
「家出するなら夫の誕生日にしようと心にきめていた……」
人間のダークサイドを炙り出した作品集。
十年間堪え忍んだ夫との生活を捨てて家政婦となった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心)
劇作家にファンレターを送り続ける生物学教師の“恋”を描いく。(虫卵の配列)
荒廃した庭に以上に魅かれる男の内面に秘められたもの。(月下の楽園)
魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した六つの物語。
解説・中条省平
※この電子書籍は1997年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
短編集。作品に共通するのが作品の中での輪廻というか因果応報のような流れがあって思わずなるほどと感心してしまうオチがある。それが作品一つ一つに魅力を作り出していると思う。
Posted by ブクログ
桐野夏生さんの文章が好き。
短編集は初めて読んだが、とても読みやすかった。長編のイメージだったが、短篇でもこんなに上手くまとめられる、本当にすごい作家さんだなと思った。
錆びる心が一番良かった。
最後にもあったけど用意周到に傷つくようにそこまでは変わりなく過ごして計画通りに家を出るということは、夫を傷つけたい、そして自分を忘れないようにしたいということなんだと思った。
なんの気持ちもなかったら用意なんてしないかもしれない、どうでもいいから。傷ついてもつかなくてもどうでもいいから。