あらすじ
高中真由子は、編集者の父と医師の母のもとで、何不自由なく育てられてきた。真由子が小学生のころ、隣家に二つ年下の百合の家族が引っ越してきて、二人は急速に仲良くなっていく。しかし、真由子が21歳になった冬、百合は真由子が幼いころからずっと思いを寄せてきた澤村諒一の子どもを妊娠したと告白した。その日から、真由子の復讐が始まる――。
諒一と百合の子どもの名付け親になった真由子は、『痴人の愛』の「ナオミ」から、二人の息子に「直巳」と名付け、彼を「調教」していく。直巳が二十歳の誕生日を迎えた日、真由子は初めて、直巳に体を許す。それが最初で最後となるとも知らず……。
主演・中山美穂のテレビドラマも大きな話題を呼んだ、絢爛豪華な愛憎劇!
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Posted by ブクログ
なんか、怖い…と思いました。
何がって、百合と真由子の執着…。
百合の方は、生まれながらにあらゆるものを持っている真由子への執着。
真由子の方は、諒一への執着(これは愛?)。
真由子について怖いとはじめ思ったのは、
真由子の直巳への態度でした。
それは、百合への復讐でもあったようですが、
最後に、実は諒一への執着でもあったのではないかと気づきました。
直巳との関係が百合にばれたと分かったときに、
諒一に電話してしまうところとか、
諒一が倒れたと聞いて、車を飛ばしてかけつけようとするところとか。
私の考え過ぎかな?
最後に百合は亡くなり、
真由子は不自由な体となり、
諒一は新しく若い奥さんをもらって、
なんだか悲しくなりました。
さらに、真由子がこんなに思っていた諒一が、
さっさと若い奥さんをもらっていて、
つまんない男だ、と思いました。
唯一救いなのが、
直巳が真由子の傍で看病しているということ。
ああ、このまま本当に
直巳がずっと真由子の傍にいてくれますように
と思いました。
Posted by ブクログ
真夜中、一気に読んでしまった。
山田詠美の小説の中で「僕は勉強ができない」と同じくらい好きな小説になった。
好きな人を取られ、敬愛する父をも取られ、精神が崩壊してもおかしくないような仕打ち。
それでも彼女は強く生きていた。取る側になる、罪を犯さない復讐。これ以上美しい復讐はないと思う。できないけど。
どうして?と思うところは、解説を読んだら全て納得できた。真由子自身、彼をその程度の男だと無意識のうちに分かっていて、本当によかった。
敬愛している人でも、あることに於いては俗物だったりする。気づけたら少し落ち込んで、次に行けばいい。そう思わせてくれる小説。とても好きでした。
Posted by ブクログ
愛や幸せは与えられるもの?
奪うもの?作り上げるもの?
.
生まれた時から
その人の本質というものは
基本的に変わらない。
きっとそう。
育ちや環境や人間関係など
いろんな事がその人生に影響を与えたとしても。
.
「ちょうだいお化け」いるよね。
あと「マネっこお化け」も。
こーゆーのって
女の子特有のものなのかな?
.
怖いよね、強いよね、女の子って。
でも、
関わらなければ、
そっちに引っ張られなければ、
見てる分には面白い生き物だよね。
って思うのも、女だからかな。笑
.
帯に書かれていた
“もう減点方式で 冷めてしまう恋など したくない”
…ちょっとわからない。
私の感性と合わなかったみたい。
Posted by ブクログ
痴人の愛を読んだことがなかったので、あわせて読んだ。すると、なるほど面白い。オマージュの仕方が上手すぎる。相性がいいのかな……
「本物の純粋さなんて、馬鹿の持ち物よ」
その通りだと膝を打った。
時田秀美にまた会えたのも嬉しかった!
光源氏みたいに幼子を自分好みに育てて妻にする~という願望ってキモイよなってずっと思ってたけど、男女逆転して女目線で育てる様を見ていたらちょっと興奮してしまった……ナオが可愛いんだもん……こういう感覚なのか……自分なしで生きられなくなればいいという願望も分かるんだよなぁ
Posted by ブクログ
小説における『執着なのか愛なのかよくわからない関係性』が大好物。
この本はまさにそんな関係性が盛りだくさんで、登場人物達のヒエラルキーのピラミッドが徐々に入れ替わっていくような感覚がハラハラして楽しめた。
やっぱりピラミッドの頂点は百合なんだろうなぁ。
その次は真由子や直巳で、底辺には諒一や真由子の父がくるんだろうか...。
直巳を調教していく真由子は官能的で魅力が溢れている。
(ふとHUNTER×HUNTERのヒソカの「果実が美味しく実るまで...」が頭をよぎった笑)
そして「ぼくは勉強ができない」の主人公、時田秀美が会社の後輩として登場したのが嬉しかった。
秀美ほんまにイイ男に育ったね...。
実は痴人の愛を読んだことがないのでこれから読みます。