あらすじ
その死体は、三重の密室の最奥に立っていた。異様な形で凍りついたまま……。そのとき犬神館では、奇怪な《犬の儀式》が行われていた。密室のすべての戸に、ギロチンが仕込まれ、儀式の参加者は自分の首を賭けて、“人間鍵”となる。鍵を開けるには、殺さねばならない。究極の密室論理(ロジック)。これは三年前に発生した事件の再現なのか。犯人からの不敵な挑戦状なのか。瞠目のミステリー。
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Posted by ブクログ
これはすごい!
それぞれ別の館で行われる『犬の儀式』
全く同じ施錠法で、一の戸が開き…二の戸が開き…とホラー映画も驚きの殺戮が繰り返され、三年前の模倣か?と思うんだけど、それぞれ全く異なる手法で、どちらも完璧なトリック。これを順に整理して答えを導き出すシズカの洞察力も凄まじい。
愛する者のために人を殺せるのか?普通だったら答えはノーだろう。それをイエスにさせる、人間として歪み切った二人の鏡花がただ恐ろしい。
ちょっとツンとしたひよこさんと、読めば読むほど人間味が出てくるシズカのかけあいもとても可愛い。
最後がハッピーエンドだったのには色んな意味で驚いたけど、本当に良かった。
Posted by ブクログ
二度繰り返される、異様な仕掛けの三重密室。それをパラレルに描写する構成の妙。初期に比べると明らかにこなれてきたメイド探偵のキャラクターときれいなオチの付け方。シリーズの中では一番の出来かと。ただ強烈すぎるシチュエーションに密室トリックが負けてる感は相変わらずかな。
Posted by ブクログ
首無館の殺人の世界観を求めて購入。
シズカの脳内イメージはガールフレンド(仮)のモノクロームちゃん。
現在と3年前の事件を交互に書いていき、同じと思われた殺人事件の真相がそれぞれ明らかにされていく。
一気に読める読みやすさだが、この交互に出てくる同じような立ち位置の人間を混同してどっちがどっちかわからなくなって何度か読み返して読み進めた。
現実感のない、夢のような、少女の妄想のような世界観なのに、しっかり本格推理小説。しかも最後はしっかり真相についての解説と動機に関するエピソードが書かれておりミステリアスなままで終わらせないところが、読後感が良かった理由かと思う。