【感想・ネタバレ】甘黒上司のお気に入り オトナの本気に蕩かされましたのレビュー

あらすじ

櫛笥笑美花は父からの見合い話を断るため、憧れている上司、遠山誠史郎に恋人のふりをしてほしいと頼んだ。遠山は引き受ける代わりに自分の言うことに従えと条件をつけてくる。彼に導かれるまま恋人らしい逢瀬を重ね、情熱的に愛される笑美花。「気持ちいいか? かわいい声が出ている」好きな人から彼女として甘やかされ、特別扱いされて夢見心地の日々。けれど遠山の知人から彼には金持ちのパトロンがいると聞かされてしまい!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

見合い話を避けたい一心で、ヒロイン・笑美花はずっと憧れていた上司・遠山に「恋人のふりをしてほしい」とお願いする。
条件はただ一つ。
“俺の言うことに従うこと”。
最初はあくまで「嘘の恋人同士」のはずだったのに、デートを重ねるたびに遠山の態度は甘く、優しく、どこか独占欲が滲んでいて、ふりの境界線はどんどん曖昧になっていく。

恋人として触れられ、見つめられ、甘い声で名前を呼ばれるたびに胸が高鳴る笑美花。
ときに強引で、でも常に彼女を大切に扱う遠山の姿は、“甘黒”という言葉がしっくりくる魅力に満ちていた。
ただの恋人役だとわかっているのに、特別に扱われる幸せにどんどん惹かれていく気持ちが自然に胸に入ってくる。

しかしそんなとき、彼に“パトロンがいる”という噂が流れ込み、不安と嫉妬で揺れる笑美花。
愛されているようで、でも信じきれない気持ちが苦しくて切なくて、ここは読みながら胸がぎゅっとなった。
遠山がちょっとチャラく見える言動をしてしまったり、職場で軽く触れてきたりする場面もあるけれど、それも全部「笑美花にだけ見せる素の甘さ」なんだとわかる描写に救われる。

そしてヒーローの“正体”に関わる部分が後半でしっかり回収される展開も良かった。
役員の娘として腫れ物扱いされてきた笑美花が、徐々に職場に馴染んでいく描写は温かくて、彼女の頑張りを自然に応援したくなる。

悪意のある横やりはきっちり清算されるし、悪役も自業自得で退場するのでストレスも少なく、恋愛の甘さも展開のテンポも心地よい。
恋人のふりから始まった関係が、互いの素直な想いを経て“本物”になっていく過程は甘くて幸せで、読み終わったあとはふわっと満たされる読後感でした。

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2025年11月23日

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