【感想・ネタバレ】国語教師のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年06月29日

16年振りに再会した元恋人の作家と国語教師
二人の会話と回想に加え、作中でお互いが披露する物語を通じて、二人の過去と現在を行ったり来たりする。

帯にミステリーとあったが、所謂「探偵、刑事」物ではなく、すれ違った愛する二人のやり取りで進むストーリーが新鮮だった。

表現が合ってるか分かりませんが、文...続きを読む章による二人芝居のような感じでした。

また、作中に、男と女の人生観、親世代の人生観や戦争で狂わされた人生など、恋人・家族の物語が幾つも詰まっていて、なお且つそれが伏線になっていて、クライマックスは一気でした。

また、二人の過去には個人的に通じる所もあって、胸が痛い場面が多々ありました。
それもあってか、感情を揺さぶられたのかもしれません。

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Posted by ブクログ 2020年12月06日

読書備忘録550号。
★★★★★。
物語はメールのやりとりから始まる。
クサヴァー・ザントなる男性から、マチルダ・カミンスキなる国語教師へ。どうやら、学生時代恋人の間柄だったようだ。
クサヴァーは売れっ子作家で、マチルダが教師を勤める学校で創作ワークショップにゲスト講師として招待されるという構図。ク...続きを読むサヴァーはマチルダとの再会を楽しみにしているのだが、一方のマチルダは過去の恨み事を書き連ねる。
16年間付き合っていたにも関わらず、ある日突然クサヴァーは消える。そして、別の女性と結婚したことがスクープされた。マチルダはその事実を受け入れらず長年苦しんできた、ということらしい。
小説の構成は「ワークショップ前に二人が交わすメール」「二人の過去」「ワークショップの前日の再会」「そして二人の新たな小説の創作」という4つの場面が繰り返し切り替わる。それぞれは短く、飽きさせない構成。引き込まれます。
そして、この物語の重要な役割として物語があります。クサヴァーを売れっ子作家にした「天使三部作」。この作品はクサヴァーとマチルダの共同作業で創作されたようだ。だから尚更切り捨てられた恨みは大きい。
そして、再会して二人は自分たちの体験をベースに構成される「国語教師」という作品を創作する会話を楽しむ。昔に戻ったかのように二人の会話は弾む。
そして、悲しい結末・・・。
この作品のテーマは愛、裏切りと憎しみ、そして愛と死。
いやはや、久しぶりにこういうのを小説って言うんだよな、という作品に出会えました。
新聞の書評って重要。

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Posted by ブクログ 2020年09月15日

かつて恋人どおしだった作家のクサヴァーと国語教師マチルダ。
マチルダの勤めるギムナジウムで開催を希望した「生徒と作家の出会い」ワークショップで2人は偶然の再会を果たすことになる。

再会までのメール、過去の2人の過ごした時間、再会後の2人の会話、2人の語る自作の物語で構成される本書は結末に至るまでの...続きを読む紡ぎ方、真相の剥ぎ方が秀逸。

歪んだ狂気、怨念すら感じる前半のマチルダ。
その不気味さは後半で次第に矛先が変わり、終盤では物語の根底自体が二重底だったことが明らかになる。

ダニット系のミステリではないので真相の意外性は強くないもののサスペンス的な要素を十分に備えた、愛と決断をテーマとしたドラマを描いた良書。

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Posted by ブクログ 2020年09月06日

謎解き部分は浅い、これじゃミステリーじゃないやん…と思った。しかし、実は謎解き部分がミステリー核心じゃない、犯人捜し事件の真相に迫っていく2人のやりとりの過程と結果が見事な、実に見事なミステリーという…

自分でも何を言ってるのかよくわかってないが、とにかくこういう機軸でミステリーを構成できるのか!...続きを読むとビックリさせられた1冊。しかも技巧だけではなく、感動の恋愛小説としてもきちんと読めるのがすごい!

日本人だと、湊かなえあたりがこういう小説を書きそうだが(もう書いてるかもしれない、読んでみたい)、ほんと上手いなぁ、と思った。

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Posted by ブクログ 2019年12月19日

2014年、ドイツ語圏のミステリー賞フリードリヒ・グラウザー賞受賞。
2020年ミステリが読みたい、海外編4位。

偶然(?)再会した元恋人同士の54歳の男女の話です。
二人は1980年の19歳の大学での出会いから十六年間の交際を続けますが、国語教師となった女性マティルダが、強く子供を望むのに対し、...続きを読む新進の作家であるクサヴァーは全くその気がなく、二歳年上の離婚歴のある、セレブ女性の妊娠により彼女と結婚して二人は別れます。
マティルダは身体を病み、クサヴァーの方も、息子のヤーコプが1歳の時に行方不明になり、妻とは2004年に離婚しています。
その二人が、マティルダの勤め先のギムナジウムで開催される創作ワークショップにクサヴァーが招かれて、メールのやり取りから始まって、二人の新しい物語を再生していくお話です。

最初に思ったのは、前半の三分の二まで、この作品は、ミステリーでなく恋愛小説ではないのかということでした。
しかし、後半三分の二のマティルダのストーリーで話は急変し、俄然、面白くなってゆきます。そしてまたどんでん返しが2度3度とあり、最後は泣かせるラヴストーリーだったとしみじみ思いました。
回り道をした二人だったからこそ、もっと本当に幸せになってほしかったです。
若いころはいろいろあった二人だったからこその、余韻のあるラストでした。

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Posted by ブクログ 2019年08月26日

オーストリア・ミステリー。クサヴァー・ザントは作家。生徒とのワークショップに招かれる。派遣先の担当教師はマティルダ・カミンスキーだった。実は二人は昔同棲していた。しかし16年前にクサヴァーは突然マティルダのもとを去っており、その事を彼女はかなり深く根に持っている。彼女のもとを去った後彼は金持ちと結婚...続きを読むして子供も生まれていた・・・

これはかなり面白かった。

二人のメールのやり取りに加え、二人の過去を回顧したり、二人の生い立ちや、彼らの親の人生などを縦横無尽に組み合わせて読者を翻弄する。

読んでいくと、一番の謎はマティルダが◯◯したのかということが分かる。この謎の解決の仕方がまた巧い。一級の恋愛小説としても読める。彼女の怨念みたいなモノが物語の中心にあるけれと゛そんなに単純な話じゃなかった。

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Posted by ブクログ 2019年06月30日

16年の交際を経て破綻した国語教師の女性とかつての人気作家の男。2人が共に過ごしたのと同じ16年の空白を経て、男の許に創作ワークショップへの参加依頼が届く。彼が訪れることになった学校の担当者はかつての恋人だった……。なんとべたな展開だと思わせるが、次々に暴かれる2人の関係はとてもそんな甘いものではな...続きを読むい。さらに2人が別れたあとに起きた出来事や、再会後に2人が紡ぎ出す物語の恐怖。最初は訳が分からず戸惑うが、最後にはすべてがぴったりと嵌まる。いや、これはすごいな。

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Posted by ブクログ 2021年10月06日

思っていたのと、いい意味で全然違っていて、まずは読んで良かったです。新しい作家さんとの出会いを嬉しく思います。
元恋人同士の男女の再会。男の方が正直最低で、何だこの男という感情を最後までぬぐいさることができなかったです。それにひきかえ女性(マティルダ)のなんと献身的というか最後まで無償の愛を貫いた...続きを読むというか…。感動のあまり昼休みなのに泣いてしまいました。途中、子供の誘拐のくだりはほんとにやったのかとゾッとしつつも、そのくらいしても当然!よくやったとさえ思いましたが創作でしたね。なんというイマジネーション!マティルダという女性の素晴らしさが心に残る1冊でした。
自分のモティーフはなんなんだろうとちょっぴり考えましたが、分かりませんでした。

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Posted by ブクログ 2020年06月07日

 多層的なテクストの重奏を楽しむのかと思ったら、そこは存外シンブルだった。そのような実験的な作品ではなく、また、ミステリーでもなく、ラブストーリーだった。

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Posted by ブクログ 2020年04月11日

文芸ミステリと帯にもあるが、文芸色が強いためか私のミステリ新作探しの網にかからず危うく読み逃してしまうところだった。

昔の恋人に執着する度合いは男の方が強いらしいが、納得させてくれる内容だった(個人差があります)

両親、祖父母の人生をたどる中でのさまざまな人びとの家というものへの執着、あり得たは...続きを読むずの人生への執着、物語への執着…ねちっこく普通ミステリではここまで深掘り出来ないだろうというところまで描いているところが文芸ミステリと言われる所以か。


読めて良かった。

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Posted by ブクログ 2020年03月27日

これは傑作!
16年ぶりに再開した元恋人の作家と国語教師。交わすメール、会話だけのやりとり、ふたりが互いに語り聞かせる物語、そして過去の追憶など、時系列と文章作法をさまざまに織り交ぜながら話が進むうち、明らかになる事件とその真相。
筋書きは最終的ににはちょっと甘酸っぱいんだけど、さまざまな文体を駆使...続きを読むしつつ、戦慄から感動まで読者の心を翻弄する作家の技量よ!
これ翻訳も素晴らしいからだな。
感服しました。ユーディト・タシュラー、今後チェック!

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Posted by ブクログ 2020年03月12日

別れた昔の恋人と再会し、過去と現在について語り合っていくうちに、未解決のある事件をめぐる闇が明らかになっていく。典型的なクズ男と不幸体質みたいな女の組み合わせがしんどい。が、Eメールの文面、警察の事情聴取、恋人同士が互いに語り合う「小説」の内容など、様々な文章スタイルを駆使して過去と現在をいったりき...続きを読むたりする等、エンタメ感もそれなりにあり、ネチネチしているだけではない。そういえば元恋人同士がメールでやりとりするスタイルで結構売れた日本の小説があったけど、あれよりもこちらの方がずーっと良くできています。

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Posted by ブクログ 2020年03月10日

現実(ストーリーの中での)なのか、想像の物語なのか、二人のやりとりが、スリリングでよかった。
最後のハッピーエンド気味のエピローグも良かったなあ。映画化はしにくそう。

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Posted by ブクログ 2020年01月19日

過去に恋人だった男と女が十数年後に偶然(?)出会い過去の感情のすれ違いや事件についてメールのやり取りや語り合いを重ね、そして真実を知ってゆく。

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Posted by ブクログ 2019年12月31日

かつて強烈に愛し合った作家と国語教師の再会。
2人のメールのやり取り、再会してからの会話、それぞれの視点からの回想シーン、さらには二人が作る作品の世界、これらがミラージュのように重なって複雑ながら情感豊かな世界を作り上げる。

作家の子供の誘拐という事件軸はあるものの、真相当てという意味でのサスペン...続きを読むスは全く弱いが、どこまでも深く掘り下げられた二人のキャラと関係性に読みごたえがあり、余韻の残るラストまで一気に読める。

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Posted by ブクログ 2019年11月01日

16年ぶりに再会した50代の元恋人同士の二人。
男は再会に喜び浮かれ、女は男の不実な過去を蒸し返しては男を責める。

初めは、いい歳して大人げない…と国語教師の女の態度に呆れた。
けれど二人の過去を少しずつ紐解き、未解決の暗い事件の謎解きをする内にぐいぐい引き込まれる。
二人が語っているのは架空の物...続きを読む語なのか、それとも真実なのか。
そして二人で創り上げた物語『国語教師』。
事の真相に驚かされると共に、二人が辿り着いた結末に驚かされた。

若い頃に決断した選択に後悔し懺悔する男の浅はかさには呆れるけれど、何故か憎めきれない女。
そんな女の気持ちが痛いほど伝わる。
そして胸に秘めた僅かばかりの希望。
その希望を果たした二人の姿にちょっと泣けた。
それは紛れもない二人だけの真実。

全くしょうがない二人…でも良かったね、と二人のラストに安堵した。
とても切ない物語だった。

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Posted by ブクログ 2019年10月14日

「生徒と作家の出会い」というワークショップで国語教師のマティルダの学校に、若いころ一緒に住んでいた作家のクサヴァーが来ることになる。16年ぶりに会う二人は、昔よくやっていたようにお互いに考えたストーリーを聞かせ合う。懐かしい一時は、徐々にお互いの過去へと踏み込んでいく。

現在の二人のメールのやり取...続きを読むりから始まり、若い二人、それぞれの創作、二人の家族の歴史等が交互に進んでいく。やがて、二人が別れた頃のなぞか少しずつ浮き出てくる。

ストーリーの進め方も面白いが、最後に明かされる真実と愛に感動だった。中盤頃までは予想だにしなかった結末、思わずホロリとしてしまう。ドイツ推理作家協会賞に、納得した。

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Posted by ブクログ 2019年10月12日

 とある男性作家が、とある学校の創作ワークショップを受け持つことなった。
 そうしてその学校の担当者の国語教師に連絡をする。

 その国語教師は、作家のかつての恋人だった。

 ロマンティックな恋の再燃ではなくて、作家はかつて国語教師と同棲していたが、その家から突然姿をけしていたり、国語教師がそれを...続きを読む恨みにおもっていたりと不穏な気配バリバリである。
 二人の往復メール書簡や、実際に出会った時のト書きにより、二人の表情というか外見描写は極力排されている。けれども、ことばによるやりとりは緊迫感があり、かつてこの二人に何があったのとぐいぐいとページをめくらせる。
 この吸引力はすごい。

 時折入るエピソードや、過去の挿話で二人の具体的なイメージが固まりるのだが。……いやもうこれどういうエンディングだよってなる。ほんとに予測ができない。
 かつて女を裏切った男。
 そのテンプレから予想もつかない話の展開である。ものすごい面白かった。

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Posted by ブクログ 2019年08月24日

読んでいて、とても不思議な感覚。
”再会前に2人が交わすメール” ”2人が付き合っていた頃(過去)” ”再会しての会話” ”2人が互いに語る物語” の4つの場面(時間)が入れ替わり立ち替わり現れるので、時系列と虚実があやしくなっていく。更にエピローグも付く。よく出来た構成。メール、過去、会話、創作…...続きを読むと、動きはほとんどなく、密室劇のよう。それもかなり濃密な。16年付き合い、別れて16年て、そりゃ関係自体濃密でないはずはないが。

個人的には、この男にそんなに執着するものかなーと思うけれど、そこは個人の問題なのでなんともしょうがないね。

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Posted by ブクログ 2019年08月19日

元恋人同士の二人の人生がいろいろな物語を通して語られる。読んでる私は、途中あたりから不穏な空気を感じつつ、ラストに描かれる結末が知りたくて読み進めた。人生なんて思い描いたような結果になるなんてこと、なかなか難しいと今ならよくわかっているが、主人公のマティルダの希望が叶えられない切なさが身につまされた...続きを読む。エピローグの最後の文章に救われた思いだ。

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Posted by ブクログ 2021年07月23日

直接の会話はもちろん、メールや物語の交換など独特な語り口で紡がれていく世界。どうしようもないダメ男クサヴァーと、そんな彼に惹かれてしまう真面目な女性マティルダ。長い年月が経ってもその愛情は変わらず、最後まで彼を思い続ける一途さに心打たれはするが、クサヴァーがほんとにダメすぎてどうなのかと思う。マティ...続きを読むルダにはもっと他の幸せがあったんじゃないかな。

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Posted by ブクログ 2021年05月25日

淡々とした語り口ながらたまにぞくっとする言い回しがあったり。読み進めて行くうちに、マティルダが精神を病んでいるような印象を受け、クサヴァーは鈍感なダメ男かと思いきや、ラストは全く予想していない展開だった。
てっきりマティルダがクサヴァーの息子を復讐のために誘拐してドロドロの展開かと思っていたのだが、...続きを読む結局は2人の愛の物語だった。
先が気になりあっという間に読んでしまった。予想と違う結末に少し肩透かしをくらった感はあったが、構成は素晴らしくそれぞれの登場人物の人間らしさ、ダメな部分の描き方が上手い。

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