あらすじ
日常は淡々と進んでいく。彼の大きな変化をのぞいて――。
ある朝、目覚めると異常に気づく。俺は虫だ。巨大な甲虫になっている。だが、かまってはいられない。仕事に行かなくては。俺は家族を養わなくてはならないのだから。。実存主義的文学の先駆者であるカフカの代表作「変身」をまんが化。平凡な日常から逃げ出せない一市民におこった異常な変化を真剣に、時にコミカルに描き、実存とはなにかに迫る。
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原作を、忠実にコミカルに再現
770円出して読んだ甲斐はありました。
最初に原作を読んで、これが絵になるとどのように表現されるのかが気になり、まんが版を探しました。
まず「まんがで読破」シリーズの『変身』を読みました。こちらは、原作との構成が大きく変わっていましたが、主人公のやつれ加減や時代背景など上手く組み込まれて描かれていました。ただひとつ、なぜかグレーゴルの元恋人?が出てきていたのは驚きでしたが…うま〜くストーリーがまとめられてました。
そして、こちらを読みました。
なんとまぁシュールなこと!!!そして原作に忠実に、文章ひとつひとつと絵がよく合わさって、面白く描かれています。やっぱり大きな虫になったグレーゴルの絵は気持ち悪くはあるのですが、なんだかずっと見てると愛着が湧いてくるような。。。
原作の文章だけだとイメージしにくい描写も、まんが版ですとよく分かります。あぁなるほどね、と気付かされます。
絵柄は端的でクリアで、ザムザ家や主要なキャラクターは外国人風に、それ以外の人(3人の下宿人など)はサブキャラっぽく日本のマンガキャラに出てきそうな見た目と言葉遣いで、家の間取りや家具などもきちっと描かれています。
特に、妹が可燃ゴミと書かれている袋にモノを捨てるところはウケました(笑)
カフカはこの作品にどういう思いを込めたのか、読者に何を伝えようとしたのか、難しくて分からない部分は多いですが、
悲劇のように見えて実は喜劇なのかと思わせる奇妙なシュールさが、とても面白かったです。
原作の世界観をうまく引き出しているまんがだと思います。