あらすじ
世間の多くから「昔からエリートだった」と思われている日本を代表する企業家・三木谷浩史は、実は相当な悪童だった。問題児だった。平均以下の成績。有名私立中学退学。熱中したのはテニスだけ。教師を悩ませ、手をわずらわせ続けた。だが少年は両親の愛に包まれて成長した。本人、両親、そして関係者への取材を経て、初めて明らかにされた実像。
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Posted by ブクログ
好意的に書かれていることは大前提だが、三木谷浩史という人物の人となりを知ることにより記号としての「三木谷浩史」像が立体的になった。
(徳川四天王の)本田忠勝の末裔。切腹のエピソード、テニス、興銀、新経済連盟、楽天イーグルス、TBS買収劇。
事業だけの利益追求だけでなく、もっと大きな枠組みとして世の中を良くしていこうという思想をもっていることに驚いたし、知らなかった。逆説に的に言えば、そういうビジョンがあるからこそ、誰もが知る大企業を起業・成功させることができたのだろう。
本書は教育に焦点をあてテーマとして書かれているが、そもそも教育の枠外の方が重要だということを指示めしているように思えた。意図して教育するのではなく、放任する。人間本来のポテンシャルを生かすためには、そもそも教育など要らないのではないのか?と。考えてみれば世の成功者や偉業を成し遂げた人間に優等生はいない(逆にだからこそ印象的なだけかもしれないが)
今後の氏の動きにも目が離せない。
特に2024年現在では、楽天モバイルのかじ取りをどうしていくのかとても気になるところ。
追記:
本書の中で、全く同じ文章(それも数ページ)が使われている部分2、3回あり、校正ってどうなってるの?商業出版してる本なのに?と思った。
Posted by ブクログ
楽天の創業社長、三木谷浩史の評伝。
どんな人なのかと思って読んでみた。
本書が強調しているのは、小、中学校時代の三木谷氏はまるっきり優等生ではなく、成績も全然良くなかったと。どっちかというと先生から睨まれるタイプのやんちゃだったそうだ。
それがテニスに熱中し、プロを目指すが、上には上がいると知り、大学受験を頑張ったら一浪で一橋大に入った。
で、興銀、ハーバード社費留学、帰国して起業。
もちろん本人の卓越した能力や人徳あっての成功だとは思うが、家庭環境や家系を辿ると、彼個人の成功の背景が見えてくる。
先祖に徳川筆頭家臣の名将がいたり、関西屈指の商家の一族の血を引いていたり。DNAに何か引き継がれているのかも。
さらに、お父様が凄い。経済学の教授でブルブライト留学生。家には国際的な学者たちが集まり、ノーベル賞受賞者がご飯を食べにくるという。
…三木谷はエリートじゃない、って、ぜんぜんエリート家庭じゃん!
いやらしい言い方をすると、陰に陽に三木谷氏の人生を導いていたのは偉大なお父様である。テニスを勧めたり、大学の担当教授が父の研究仲間だったり、興銀にも父の人脈があったりと、あらゆる所にお父様の息がかかっている。本人も知ってか知らずか、また周囲も押し付けがましくないようにと配慮はあったろうが、経済学者の父の導きを強く感じる人生である。
お父様は、典型的な戦前の旧制高校出身のリベラルインテリという感じ。翻って、三木谷氏は広い視野でリベラルアーツを学ぶ学校が日本から消えてしまったと嘆く。
産業、雇用、教育と、三木谷氏の国際化、規制開放への試みは続くのかもしれない。