あらすじ
オレオレ詐欺で裕福な生活を送る平田は、奨学金の返済に苦しむ真奈美と出会い、惹かれ合う。堅気の世界へ戻ろうとする平田だが、一度入った裏社会は沼のように彼を飲み込み放さない。イケメン結婚詐欺師・竹崎と不細工な出逢い系のサクラ・貴美子も加わり、現代社会に蔓延る詐欺師達の騙し合いの饗宴、ここに開幕。出し抜くのは誰だ?
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Posted by ブクログ
オレオレ詐欺で裕福な生活を送る平田は、奨学金の返済に苦しむ真奈美と出会い、惹かれ合う。堅気の世界へ戻ろうとする平田だが、一度入った裏社会は沼のように彼を飲み込み放さない。イケメン結婚詐欺師・竹崎と不細工な出逢い系のサクラ・貴美子も加わり、現代社会に蔓延る詐欺師達の騙し合いの饗宴、ここに開幕。出し抜くのは誰だ?
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オレオレ詐欺などの特殊詐欺はなかなか捕まらない。それは何故かと言えば、高度に分業化されているため、ピラミッドの頂点にいる首謀者には警察の手が届かないのだ。
この小説にも詐欺集団を束ねる者、その集団の傘の中にいる者はリクルーター(架け子などのスカウト)、道具屋、名簿屋、下見屋等組織化されていることが描かれている。
奨学金の返済にあえぐ真奈美、結婚詐欺師の竹崎、出会い系サクラの貴美子、詐欺組織を束ねる頂点にいる平田。それぞれの視点で語られる詐欺ストーリー。高級キャバクラでそれぞれが出会い繋がっていく。
小説の中での彼らの言い分はこうだ。
オレオレ詐欺は犯罪だ。それはわかっている。しかし最悪の犯罪では無い。なぜなら闇金が金を貸して、家族や親戚まで不幸にするのと比べ、金を持っている人から、払える範囲内の金を奪うだけだから。金持ちの老人がもう使う予定もない大金を、若者たちに還流して何が悪い。そして(この小説の詐欺グループは)その一部を児童施設に寄付する…とのことだ。もっともらしい理屈をつけてはいるが、やはり正当な理由とは思えない。
また、架け子(特殊詐欺の電話をかける人)の研修は地獄のような凄まじいものであることが描かれていた。まず不動産会社の中途採用の募集をし、応募してきた採用者にはマンションの営業電話を1時間に30本かけさせる。一件の資料請求さえ確約できなければ椅子を取られ、立ったまま電話をかけることになる。これを繰り返し、脱落者が出て残った者だけを集め、既に個人情報は会社側に知られていることを仄めかした上で、実はオレオレ詐欺グループだったことを明かす。これで逃げられない…なんか実際のところこんなことあるのかなぁと怖くなった。
この小説は内容的に詐欺の指南のような側面もあるので、詐欺を数年やり大金稼いだら、あとは海外で遊んで暮らそうと、若い人がコツコツと働くことをバカバカしいと思わないか、一抹の不安が残る。
途中までは面白かったが、最後は話が大きくなり、尻切れの印象。
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純粋に人から何かを与えられたら、何かを与えたいと思うのが子供の頃は当たり前だったが大人になるとそれを忘れてしまう、か。
確かにそうだな~。
最新の詐欺情報も網羅されてるし、最後には清々しい終わり方、やっぱり人間の泥臭さはいい。
お金ってあってもなくても、その人の人生を大きく左右する。
Posted by ブクログ
人から何かを奪われたらそれを奪い返したいと思い、人から何かを与えられたら、人にも与えたいと思うものなのだ、というところが刺さった。本当にそうだなあと。同著者のスマホシリーズよりもサッパリした読後感で、気分がスッキリした。
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10/10~10/15 2冊目
昔,タイトル買いをして積んでたのをこのタイミングで消化。
オレオレ、結婚、サクラなど、複数の「詐欺」に関わっている人物が互いにだましあう物語。
全ての人物が次第にお金や人に対する考えが変わっていくのが感じられ、それとは裏腹に身の回りの環境がめまぐるしく変わっていく様子の対比が面白いと感じた。
常にお金がつきまとう内容ではあるが,最終的に誰が一番幸せになったかを考えると、お金が関係してるかもしれないし、してないかもしてないとも取れるのも個人的に好きな点。
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最後までどうなるのか、ドキドキしながら読めました。
スマホシリーズよりも好きかも。
最近話題の特殊詐欺をテーマにしていますが、詐欺師同士の騙し合いは面白いです。
長さもちょうど良いです。
Posted by ブクログ
志駕晃さんの最新刊は詐欺をテーマにしたエンタメ長編。
前半はかなりリアリティがあり、進化した詐欺の手口に驚きつつも勉強になる。
『オレオレ詐欺に騙されたふり作戦に騙された作戦』って…。
そんな事に頭を使うのなら、もっと別の所、人の役に立つ、遣り甲斐のある事に頭を使えば良いのにとしみじみ思う。
本作ではオレオレ詐欺だけでなく結婚詐欺、出会い系詐欺など、色々な詐欺師達が共演し騙し騙されの展開で、途中からはフィクション感強めに変化して行く。
前半のリアリティが薄くなって行ったのは私的には物足りないが一気に読めるエンタメ小説。
Posted by ブクログ
オレオレ詐欺が分業化され、パターン化された綿密なマニュアルや架け子の地獄の研修まであって完全にオレオレビジネスとして成立していて驚きの連続。全部が全部ここまでじゃないだろうけど、こんなに努力されたらそりゃ騙されるしかないと妙に感心してしまった。自分だけは…のような根拠のない自信だけじゃなく、こちら側も騙されないための努力が必要なんだろうな。
平田と真奈美の関係の行方もドキドキだが、後半の貴美子の巻き返しのシンデレラストーリーがああ愉快。あいつへの倍返しも痛快、スカッと読み終わる。
Posted by ブクログ
オレオレ詐欺、結婚詐欺、サクラ等々…ありとあらゆる詐欺が絡み合い、皆が間接的ではあるが繋がっていて面白い。
登場人物それぞれがお互いを騙し合っているものの、どこか憎めないのは何故だろう。
めちゃくちゃ非道!と言うわけではなく、人間味があるからかな?
そして詐欺の仕組みも分かり、とても勉強にもなった。
自分は大丈夫だ!とは決して思わず、詐欺には気を付けたいと改めて再確認した。
Posted by ブクログ
エンタメ性もあったし、最後まで展開が読めないストーリーテラーで目が離せなかった。
軸になる登場人物が、悪い事もしてるけど、最後まで憎みきれない特徴があり、共感も持てる。
何かに依存してしまう人は承認欲求が高い。人に認められるのは中々難しくても、自分で自分を褒めてあげるだけで満たされる。
正常性バイアス
人は自分に都合の悪い情報を過小評価してしまう特質がある。だから騙されても自分だけは大丈夫と思ってしまう。
人間本当に大事なのは限られた時間内でどんな人生を送るか。お金より大事なのは時間。
Posted by ブクログ
オレオレ詐欺、結婚詐欺、出会い系サイトのサクラなど複数の騙し合いが並行して語られる。
面白くはあるが、詐欺師たちが中途半端に良い人で、スカッとはしなかった。