【感想・ネタバレ】大尉の娘のレビュー

あらすじ

心ならずも地方連隊勤務となった青年グリニョーフは、要塞の司令官の娘マリヤと出会い、やがて相思相愛になる。しかし実父には反対され、プガチョーフの反乱が起こり、マリヤも囚われ、グリニョーフも捕虜になってしまう……。実直な老従僕、憎き恋敵、謹厳な“義父”とおおらかで勇敢な“義母”、情に厚い反乱の首謀者プガチョーフらを配し、最後に劇的な結末が訪れる歴史ロマンス。みずみずしい新訳で甦るプーシキン晩年の傑作。

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Posted by ブクログ

プガチョフの乱を軸に展開する、主人公と「大尉の娘」の間の恋愛譚。
当時のロシアにおける民衆の実情がありありと描写されていて、ロシア史好きにはたまらない。この小説の為に3年もの年月をかけて史料考証や農民への聞き取りなどを行い、歴史書まで書いているというから驚きだ。
こうした作者の歴史に対する情熱に裏打ちされているからこそ、濃密で印象深い作品となっているのだろう。。。

と、勿体ぶって書いては見たもののぶっちゃけよくわかんかった。ロシア語人名ややこしすぎて無理

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

ロシアの大家、プーシキンの戦争、そして恋愛を描く作品。序盤は平和な雰囲気だが、恋人マリアどの出会いの後、ならず者のプガチョーフが攻め入って来るところからいきなりシリアスな展開に。主人公、グリニョーフの勇気と信念、可憐なマリア、主人公との複雑な関係を形成するプガチョーフ、恥知らずで悪役のシヴァーブリン、そして主人公に忠実な召使いで大活躍するキーマンのサヴェーリイチ。皆キャラがたっている。展開も単純明快、ダイナミックかつとてもスピーディだし、風景描写もよい。
注釈がふんだんに記され、小説の背景となった史実である「プガチョーフによる農民戦争」に興味が高まり、解説を読むととこれがまた深い考察と取材によるもので、興味深い。
本小説で主人公とシヴァープリンとの決闘シーンがあるが、残念なことにプーシキンその人も決闘により若い命を散らしているのに驚く。

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2023年01月21日

Posted by ブクログ

ドストエフスキーを読んでいると、解説にプーシキンの話がよく出てきて、やはり プーシキンが当時 非常に 評価されていたということで 読んで 見たんです
あと 宝塚で黒い瞳というのが この本を 原作にしていたというので。
中身としては非常に流れがよく盛り上がりがあり 文章も流麗でいいと思うんです。ドストエフスキーのような難解さはなく、読みやすい。ただし、グロい。ロシア人さんの行動がそうなのか、表現が強いのか分かりませんが、コサックが暴れる場面は容赦ない描写です。姫を助ける騎士の冒険みたいな、やや古風な中身は、キラキラ感がありつつも、ドストエフスキーの深さというかぶち込み感とは全然違う世界観だなあと思いました。
ただ、リアリティという点の人間模様に関する着眼は非常に鋭い。文章力や構成力が強いと、するする読める流れの良さで、ついつい出来過ぎ感が出てきてしまうのですが、フィクションという虚構世界に温かみも残虐さも含めて納得のリアリティ感が併存しているのが、プーシキンの良さなのではないかと思います。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

必要に迫られて読んだが、とっつきやすくてホッとした。
(岩波の同書も入手したのでいずれ読み比べます)
プーシキンはおそらく初めて読んだ。
ロシア文学自体、あまり熱心に読んでこなかったジャンル。
今後も長編には手を出せないと思うが、米原万里のおかげでロシア文学のイメージはかなり向上した。

ロシア文学といえば、雪と血と酒とカネのイメージで、本作もだいたいそんな感じだ。
粗筋のわりには、読後にはなぜか悲壮さが薄まっているのがプーシキンの手腕かもしれない。歌や恋や友情、忠義がうまく入り込むからだろうか。

前半は危なっかしいおぼっちゃまの任地への旅で、大丈夫かこれ、の連続。
話そのものはスルスル進む。章のはじめの歌の引用が効果的。
マリヤの登場でいきなりロマンスに舵を切ったと思ったら、プガチョフの乱で物語は急転する。
容赦なく激しいバイオレンスと、主人公サイドの綱渡りが続く。

全編を通して、じいや役がいいキャラクターで気に入った。
お金にうるさく、主人公のことを何より気にかけている。
隻眼の老軍人もいい。実質、要塞のボスだった老女もいい。(だからこそ、淡々と処理されるあのシーンは辛かった。)
プガチョフも非常に筋が通っていて、清々しいほど。最終章での彼もヒーロー役の最期のよう。
この性格は、昨年よく読んだ海賊ものでみかけるアウトローたちに通じるものがあった。(雪のせいで外界と閉ざされやすい状況になるのか、力関係が一瞬でひっくり返る怖さがある。)
アウトローたちは、力に恃むところがある一方で、義理堅く、信心深く、純粋な子供のようでもある。
簡単に裏切るものも多い一方で、内通者が二重スパイのようになり、マリヤの手紙を届けてくれるなど、意外といいやつだったする。

それにしても、主人公の流れを見て、行きずりの人にも親切にしておいたほうがいい、とよく分かった笑。

光文社では新訳で噛み砕かれていて読みやすい上に、注釈が親切でありがたかった。
ロシアものといえば、名前がわかりにくい、名前と愛称の離れっぷりも読みづらいという印象があったが、この本ではそのあたりを丁寧に説明してくれた。

プガチョフの乱は、この作品が書かれた時期より50年ほど前の史実で、プーシキンはこまかく取材をして書いてきたらしい。30代で決闘で死んだプーシキンにはもちろん生まれる前の世界だ。プガチョフの乱をメインにしたプーシキンの史記もあるとはじめて知った。
今で言えば50年前は、キューバ危機とか万博、オイルショックくらいか。十分昔だと思える。

本書はこまかい注釈のほか、巻末の解説も楽しい。
解説にあるように、中国作品ぽさが三割、ヨーロッパ作品の味が七割、と大昔の翻訳者が言うように、ところどころ、三国志でも読んでいる気がした。そこを生かした大昔の翻訳ネームが苦心の跡が見えて興味深い。

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2021年07月10日

Posted by ブクログ

主人公は貴族出身の将校。
コサックの発起を鎮圧する立場で、捕まった時には首をはねられる運命だった。
敵と味方。人として関わりがなければ物事は単純だが、首領と主人公は顔見知りで助かる。という話でオケ?
結局コサック達のいきつくところってのは決まっている。征服。それは死ぬまでやったやられたで、終わりがないんだよねー。そういった意味で自分は絶対嫌だし、それゆえに遊牧民、その話に大きく惹かれてしまうんだよー

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2020年02月20日

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