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Posted by ブクログ 2020年01月11日
妻を亡くし、静岡の片田舎で、ひとりで暮らしている「吉岡」爺ちゃんの元にやって来たのは、そこが最後の職場となる、この道30年の、型落ち家政婦ロボット「ポン子」。
ふたりの日常生活は、なかなか噛み合わず、それが面白さを呼んでいるのですが、その一方で、突如、切ない場面が訪れます。
吉岡は、かつて一緒に...続きを読む暮らしていた家族のことを回想したり、ポン子は、家政婦ロボットなので、基本、何を言われても笑顔でいるのですが、逆にそれが切なく見えるときがあります。人間なら、そこは怒ったり、悲しんだりすると思われるところでも、変わらず笑顔でいる。その時のなんとも言えない「間」も含めて、切ないです。
また、ポン子の振る舞いがすごく健気で印象に残りました。「イオン流せます」で爆笑し、「お仕事、任されました」でほろりとし、クライマックスは、台風のなかでの「ロボットだって生きてるんです」の台詞です。雨に濡れながら言うポン子が泣いてるように見えてしまうのが、本当に切ない。
まあ、その後の話で、吉岡が謝ってくれたときに、ポン子の表情筋が安定してないのが、意図したわけではなくても、ポン子が仕返ししたように見えてしまう。こんなところも面白いし、話の作り方が巧いなあと思いました。
ポン子の定年後が500円玉になるのも切ない。
吉岡の「人間なんて最期はケムリだ、ただ空に消えていくだけ」の台詞も切ない。
切ないばかり書きましたが、基本はコメディーなので、楽しく読めますし、鉄腕アトムを読んだことなくても、問題ないと思います。