あらすじ
異常に厳格で、病弱で、夫婦仲の悪い両親を持つ、大屋敷理加子は、礼儀正しく真面目に過し、29歳になった。他人との距離のとり方に、何かしらぎこちなさを感じる理加子は、ふつうの恋、あたりまえの生活を夢見るようになっていた。そんなある日、彼女の前に江木という男が現われて……。切なく心に迫る長篇小説。ふつうの恋と生活、それが29歳、理加子の夢!
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Posted by ブクログ
著者自ら述べているように処女三部作の一作目にあたる作品。解説にもあるように、この物語は著者自身の体験が色濃く反映されているようである。しかし、後の作品のように性表現はまだそれほどない。本作は後でつまらない男だと気づく男に恋してしまったあげく男の心変わりにあい傷つく主人公が、そのことがきっかけで自我に目覚め両親からの自立を果たそうとするところで終わっている。直木賞の受賞で露出が多くなったが、容姿は悪くないのにジャージ姿ということが多いらしく、もう女を捨てているのだろうか、それでも注目の作家である。
Posted by ブクログ
10年ほど前読んで印象的だったからここへ記録しておこうと思ったのに、本のタイトルも作者名も思いだせず見つけるのに苦労しました。
確率の低いくじを引いた時、それが幸せな事か不幸な事かは分からないんだけどそれはいずれにせよアタリのような気がする。たいていの人が引くくじは、平凡な人生というはずれくじなのだと、自分に避けようがない不幸が降りかかった時、そう思うことに決めた。と考えた時に、頭に浮かんだ本。
タイトルが素敵なのだが、今は改題されているようです。
Posted by ブクログ
高校生の頃、何げなく手に取った本。
読み終わった時、涙が止まらなかった。
別に両親に虐待を受けたわけじゃないし、充分な生活を送らせてもらってる。でも、親といるのが苦しい、と思っていた。養ってもらっているんだから我慢しなくちゃいけないと思いながら早く自立して家を離れたいと強く思っていた。そう思ってしまう自分が恩知らずみたいで苦しかった。
主人公の苦しみが自分と重なって、自分ひとりが抱えているわけじゃないんだと思えた。つらくなると本を開いて涙を流した。
主人公がある恋愛体験を通して、親からも自分からも解き放たれる物語。やや重いけど読み応えアリ。