あらすじ
もしも余命をつげられたら
どんなことをしておきたいですか。
=====
2012年に進行性の難病である「脊髄小脳変性症」を発症し、余命10年と宣告された、北海道・北洋建設の代表取締役。
この病気は小脳が徐々に委縮し、運動機能が衰え、手足が不自由になり、話し方がたどたどしくなっていきます。
やがて肺の機能が衰え、最終的には呼吸が止まります。
一方で、大脳は正常で頭の働きは何も問題はありません。
著者が残りの人生でやるべきこととして選んだのが、
元受刑者たちの居場所づくり=就労支援でした。
北洋建設は、創業以来、500人以上の元受刑者を雇用してきました。
著者は車いすを押し、全国の刑務所・少年院へ面接に行き、社員として受け入れるだけでなく、
再犯防止についての修士論文を書き、時には法務大臣と面会をし、元受刑者のための環境づくりを訴えます。
これまで、受け入れに使ってきたのは2億円以上。
お金が足りなくなって、土地やマンションを売ったこともありました。
一方で、同社の元受刑者の離職率は8~9割。
突然、姿を消す人も少なくありません。
ですが、残った元受刑者の社員は、一所懸命働きます。
『人は仕事があれば再犯をしない』。
だから、著者は、余命3年となり、身体が徐々に不自由になりながらも、懸命に動き続けます。
本書は、著者の活動を通して、余命のなかで生きること、さらには人間の存在について、問いかけます。
多くのメディアからも注目を浴びる著者による、最初で最後の1冊です。
※本書の売上の一部は、元受刑者の就労支援の活動に使われます。
■著者 小澤輝真(おざわ・てるまさ)
北洋建設株式会社代表取締役社長
1974年、北海道札幌市生まれ。1991年、創業者である父の死に伴い、17歳で北洋建設入社。
2012年、父と同じく進行性の難病である「脊髄小脳変性症」を発症し、余命10年と告げられる。
2013年より現職。北洋建設は、創業以来500人以上の元受刑者を雇用。
「人は仕事があれば再犯をしない」という信念のもと、
余命宣告以降、より積極的に受け入れを進めると同時に、大学院へ進学し「犯罪者雇用学」を専攻。
企業が元受刑者を雇用しやすい環境づくりを訴えている。2009年、放送大学教養学部卒業。
2012年、日本大学経済学部卒業。2015年、放送大学大学院修士課程修了。
東久邇宮文化褒賞、法務大臣感謝状など受賞・表彰多数。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
■小澤輝真氏による元受刑者が再犯させないための活動
■人は仕事があれば再犯しないという考えのもと、北洋建設株式会社は元受刑者を受け入れ続けている
■活動を促進すべく法務大臣とも面会
■自分を大切に、認め、好きになれ
Posted by ブクログ
理想を現実にしている、する努力を惜しまない。自分が一番大切、だから、自分み諦めない、人も諦めない。それが根本にあるんだろう。
刑期を終えた人を、そこから始められる場所って本当に必要なのだと思いました。
Posted by ブクログ
【命の使い方】
1、一番大事なもの
それは「自分」、自分を大切にすることができて、周りを大切にすることができる。自分を守ること、自分が必要な人間だと覚えておくことはとても大事だ。
2、仕事さえあれば再犯しない
刑務所から出所、お金も住む所も無く、仕事に「障壁」があることで就けない、そして再犯してしまう。悪循環を絶つためには「仕事」が必要。お金を稼ぎ、住む所があり、人の役に立つことで人は生きていける。
3、弱さの情報公開
罪は隠さず知ってもらう。隠すための負のエネルギーを持たない為にも「弱さ」を知ってもらう。
精神障がいの人と共通するところがある。しかし、精神障がいのひとは障がいを逃げ場にしたり、甘えのキッカケにすることがある。元受刑者はそんなことはできない。逃げ場が無いからこそより真剣な支援が必要だ。
Posted by ブクログ
偏見といえば、それまでですが更生しきれず再犯に走る事実がある中で、このような形で犯罪者の更生に力を貸す人がいることだけでも素晴らしい話なのですが、「脊髄小脳変性症」という進行性難病に体を蝕まれながらも取り組むという姿に感銘を受ける。
人を信じるということは素晴らしいことですが、信じることで裏切られる事も経験すると、続けることが難しいのが普通。また世間体というものを気にするのが一般的な中でも信じ切ることで相互に信頼関係が生まれるのかもしれない。
ただし事実としても小澤社長の元で更生に成功する人の割合はまだまだ少ない。
振り切った考え方ではあるが、逆に振り切った考えを持つ人もいる世の中に置いて100点の答えは存在しないのだろう。でも受けた恩は返すべきという人として当たり前と思えることをみんなが持っている(持っていてほしい)ということを改めて考える。
あるべき理想的社会かもしれないが、人間は間違う生き物であるということを考えると、このような考え方、心持ちをして人生を過ごしたいと思う。