【感想・ネタバレ】素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブックのレビュー

あらすじ

言葉で考える人間が、絵で伝えるものが映画だ。
言葉と映像との葛藤が劇を生み、脚本術こそが映画の核となる。
面白く、劇的な一冊だ。
──大林宣彦(映画作家)

脚本は映画の地図、作戦計画書、そして魂。
──犬童一心(映画監督)

ハリウッド映画を知るためにまず最初に師事すべきシド・フィールドの、世界で一番読まれている脚本術、待望の邦訳第二弾! あなたのアイデアを傑作に変えるプロセスのすべてを指南する。

脚本術のバイブル『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』の第二弾が登場。シド・フィールドが世界各地で行なったワークショップをベースに執筆された、より実践向きの内容となっている。本書では、脚本を書くまでの準備、そして実際の執筆にあたってのポイントを、順を追って丁寧に説明。アイデアはあるのだが何をしたらいいのかわからない読者に、脚本を書くためのプロセスを教えるwhat-to本である。長編映画でも短編でも、どんな映像の表現形態を制作するにしても必ず役に立つ。各章を読み、練習問題に取り組めばどの段階で何を書かなければならないかが即座にわかり、読み終わったら脚本が一本書けている仕組みだ。

脚本はシステマティックな技術でカバーできる部分が非常に大きいことを忘れずにいてほしい。
あなたは、思い描くようにうまくいかなくても、チャレンジし続けることができるだろうか。どうしようもなく下手くそなものを何ページも書き続ける勇気があるだろうか。怒りや不安に襲われても辛いだろうが、それで書くのを止めてしまったら何も学べない。試行錯誤を恐れず、どれだけ時間がかかっても書けば、必ず脚本を書くための技術やコツが学べる。

ジャン・ルノワールの言葉を読者に贈る。「完璧さは心の中にのみ存在するものだ。現実には存在しない」。最初から完璧を求める必要はない。すべては書くことから始まる。

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Posted by ブクログ

日頃抱いている私自身の映画に対する思い入れを言葉にして紡ぎあげていく文章を読んでいると、互いに映画談義をしているような感覚におそわれてしまう。脚本は大切ですよね。これからも良い映画を求めて映画館へ駆け込みます。

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2018年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■第1章 すべては白紙から始まる
 第一稿を読んで、この脚本には二つのストーリーが存在していると私は思った。一つは、大けがを克服して人生を取り戻す母親の話。もう一つは、重大な決断を迫られるが、自らの決断で困難を乗り越え、男性への恐怖心も克服し、母親とのぎくしゃくした関係も修復する娘の話だ。
 つまりこの脚本は、一つのストーリーから始まり、別のストーリーで終わっているわけだ。よくあることだが疑問が残る。いったいこれは母親の話なのか? それとも二人の話なのか?
 彼女自身にもそれがわかっていなかった。長年の経験から、私にはこんなモットーがあった。どうしていいかわからなくなったら、しばらく引いてみる。〝迷ったら何もするな〟である。はっきりと視点が定まるまで、数週間脚本から離れてみたらいい、と私は助言した。ここで問題なのは、脚本の質でも、せりふでも、登場人物の深みや厚みでもなかった。ただ、脚本家がどんなストーリーを書きたいかなのだ。この脚本の場合、ストーリーの中心を母親から娘に変えたために、ドラマの意図もテーマも変わってしまった。作品の良し悪しや、何が正しく何が間違っているかではなく、何のストーリーを書きたいかをはっきりさせることが重要なのだ、と私は彼女に説明した。

 脚本術のワークショップで、私はいつも受講生に同じ質問をする。「何についてのストーリーを書いているのか?」。すると、「いとこ同士のラブストーリーです」とか、「二〇世紀初頭、ボストンに住むアイルランド人一家の話です」とか、「近所の学校が閉鎖になって自ら学校を建てる親たちの話です」といった答えが返ってくる。
 こんなふうに答えが漠然としている場合には、こんな助言をする。アイデアをもっと深く掘り下げ、書きたいストーリーを自分らしく表現するにはどうしたらいいか考えなさい。これは実際に家やってみると、そんなに容易なことではない。もっと具体的にしなさいと繰り返し要求すると、受講生は苦しむ。だがそうしてくうちに、誰の、何についてのストーリーなのかが明確になってくる。それがテーマであり、脚本家の出発点である。

■第2章 脚本の構成とは何か?
■第3章 パラダイムを知る
 映画の脚本は特殊だ。映像で語るストーリーが会話とト書きで表現され、そのストーリーはドラマの構成――発端・中盤・結末――という文脈(コンテクスト)の中で一本の線として進展していく。文脈とは、中身――シーン・シークエンス・アクション・会話・登場人物などストーリーを構成するもの――を収めておく「空間」のようなものであり、中身は変化しても文脈は変化しない。
 構成とは形である。
「脚本とは、一に構成、二に構成、三四はなくて、五に構成」とウィリアム・ゴールドマンは言っている。建物の構造を具体的に見るために建築家が模型を作るように、脚本家は構成を見るためにパラダイム(脚本の見取り図)を作る。パラダイムとは、「アイデアを具体的に見るための枠組み/モデル」であり、ストーリーを書き、脚本を書くプロセスの指針となるロードマップなのである。

■第4章 四ページであらすじを書く
 どんなストーリーなのか、〝何〟についての、〝誰〟のストーリーなのか? 数行で言えるだろうか。これは私がワークショップやセミナーで口をすっぱくして言うことだ。
「自分で自分のストーリーを把握していなければ、他人にわかるわけがない」

■第5章 魅力的なキャラクターを作る
 魅力的な登場人物をつくるには何が必要なのだろうか?
 登場人物の目的や動機だろうか。登場人物の話す言葉なのか、鋭い洞察力や知性、もしくは誠実さや真実味だろうか。それとも、目的を達成するためにどんな行動をするかなのか。どういう特徴があると、観客は興味を抱き続けるのだろう?
 人間の人生は行動によって測られるという。アリストテレスは言っている。「人生とは行動でできている。人生の終わりも一つの行動であり、状態の変化ではない」と。
 キャラクター(人物像)とは何か。
 キャラクターを形成するのはアクション(行動)だ。何を言ったかではなく、何をしたかである。
 脚本では、キャラクターがアクションを決めるか、もしくはアクションによってキャラクターが決まる。

 イギリスの劇作家ハロルド・ピンターは述べている。「登場人物を創造する時、登場人物は作り主であるあなたを注意深く観察しているものだ。何をバカなことを! と思うかもしれない。けれど、私は登場人物から二種類の苦痛を被ってきた。一つは登場人物をゆがめたり、裏切ったりする時に感じる苦痛だ。そしてもう一つは、登場人物の核心部に近づけず、彼らが私を避けて陰に引っ込んでしまう時に感じる苦痛である」。
「作家と登場人物の間には必ず衝突が起こる。その場合、たいてい勝利を収めるのは登場人物であり、またそうあるべきだと思う。もし作家が登場人物を自分の思い通りの型にはめようとし、完全に彼らを支配してしまったら、登場人物は精彩を欠き、生き生きとしなくなるだろう」

 では、魅力的な登場人物を作るのに不可欠な要素は何か。それはこの四つである。
1.明確で強い〝ドラマ上の欲求〟があること
2.独自の〝考え方、ものの見方〟を持っていること
3.〝態度や意見〟を表していること
4.〝変化すること〟
 この四つがそろえば、魅力的な登場人物を生み出すことができる。最初の〝ドラマ上の欲求〟とは、〝脚本の中で、主人公が手に入れたい、成し遂げたいと思っていること〟である。つまり主人公を動かす力、目的、動機だ。
 ドラマ上の欲求は、シンプルに数行で表現できる。ちょっとした会話や行動でも表すことができる。どう表現するかは自分次第だが、まずは主人公のドラマ上の欲求をはっきりと把握しなさい。あなたにわからなければ、ほかの誰にもわかるわけがない。
<中略>
 ドラマ上の欲求は、時にはストーリーの途中で変化することもある。変化するのはたいていプロットポイントⅠだ。プロットポイントⅠはストーリーの本当の始まりだからである。『アメリカン・ビューティー』(アラン・ボール)のレスター(ケヴィン・スペイシー)は死んだような生活を送っているが、娘の友人アンジェラに恋をして目を覚まし、もう一度自分の人生を取り戻したいと思うようになる。これが、プロットポイントⅠ以降の、ドラマ上の欲求となる。
 ドラマ上の欲求は、登場人物をストーリーの中で動かすエンジンのようなものだ。だから、ドラマ上の欲求をはっきりと把握していることは、とても重要である。あなたの登場人物のドラマ上の欲求は何か、数行で簡潔に言い表せるか。『帰郷』でアカデミー脚本賞を受賞したウォルド・ソルトは言っていた。登場人物をつくるには、まずドラマ上の欲求を考える。この欲求こそがストーリーの構成を生み出す力になるのだ、と。
 さらにはこんなことも言っていた。登場人物のドラマ上の欲求さえわかっていれば、せりふなどは「どうにでもなる」と。なぜなら欲求さえ明確になっていれば、せりふは俳優がアドリブで言うことだってできるのだから。けれどドラマ上の欲求だけは、絶対に変えることはできない。それはドラマ上の欲求が、ストーリー全体を支える重要な要素だからだ。脚本というのは、実際に書く段階はさほど大変ではない。本当に大変なのは、コンセプトを考える段階である。ソルトはピカソの言葉を引用してこうも言った。「芸術とは、必要のないものを削ぎ落とすことだ」と。

 魅力的な登場人物を作るのに不可欠な二つ目の要素は、〝考え方、ものの見方〟である。ものの見方とは、「世の中をどう見るか」(=世界観)である。人間は誰でも独自の世界観を持つ。何を信じているのかは人それぞれだが、自分が真実だと思うことが、その人にとっての真実となる。実際、頭の中にあること――考え・感情・記憶――が、日々の経験に大きな影響を与えるし、どういうものの見方をするかによって、毎日の経験は左右されている。

 三番目の要素は、〝態度〟である。態度とは、意見の表れでありふるまいだ。態度はものの見方と違って、知的に下した個人的な判断である。たとえば、正しいか間違っているか、よいか悪いか。どちらが優れ、どちらが劣っているか。リベラル化保守的か。
 態度は行動に表れる。たとえば「常に自分が正しい」と思っている人間特有の態度もあるし、男らしさを誇示する「マッチョ」も一つの態度である。政治に対する意見をはっきりと口にするのも態度であるし、ラップやスポーツでの挑発的な態度も一例だ。
<中略>
 態度とものの見方が区別しにくいと感じる時もあるかもしれない。私のセミナーでもそこで悩む受講生がいる。だが、それはあまり気にしなくてよい。どちらが態度で、どちらがものの見方かを明確に分けられなくても心配はいらない。四つの要素を抽出していれば、登場人物の核心部を創造していることになる。部分と全体は、同じものだ。意識の中で分けてさえいれば、それで構わない。

四番目の要素は、登場人物の〝変化〟だ。登場人物は脚本の中で変化しただろうか? 変化したとすれば、どんな変化か。はっきりと言い表せるか。登場人物の感情の変化をたどれるか。『好きと言えなくて』(オードリー・ウェルズ)の登場人物は、二人とも変化し、自分の新たな面に気づいていく。あるがままの自分を愛してくれる人を受け入れ、アビーは変化を遂げるのだ。

■第6章 人物に奥行きを与える
■第7章 葛藤とCircle of Being(トラウマを引き起こす事件)
 脚本を書いている最中にかならず心に留めておくべきこと、それは「ドラマはすべて葛藤だ」ということだ。だがそれを忘れてしまう脚本家は多い。ストーリーを語るには、単にチェスの駒のように登場人物を動かせばいいと思い、葛藤に注目するのを忘れてしまう。
 それではいけない。葛藤はとても重要なのだ。では、なぜ重要なのか?
 なぜなら、葛藤はストーリーにリズムや緊張感を生み出し、読み手や観客をハラハラドキドキさせるからだ。映画は現実の人生よりもずっとスケールが大きいので、読み手や観客の関心をしっかりと引き付けておくことが肝心となる。それには葛藤が必要なのだ。
〝葛藤〟とは「対立」という意味であり、葛藤があるために「登場人物やアクションの間で対立が起き、それがプロットを動かす」。では、葛藤を生み出すには何が必要か? それにはまず、登場人物にはっきりしたドラマ上の欲求がなくてはならない。その欲求や目的の達成を邪魔する障害を作ると葛藤が生まれ、登場人物は何とか目的を達成しようと努力し、障害を乗り越えていく。登場人物が強烈な価値観を持つ人間である場合には、相反する価値観を持つ登場人物を作ると、両者の間に葛藤が生まれる。葛藤には物理的な葛藤と精神的な葛藤があり、どちらも重要である。

 登場人物を、パイのような円形(circle)だと仮定しよう。その一切れ一切れ(piece)は、人格形成に影響を与える出来事であり、そういった事件や出来事が集まって一つの円(一人の人格)が形成される。これを私はCircle of Being(CB)と呼んでいる。どんな出来事が、精神的・社会的・政治的・神秘的・知的トラウマを起こし、登場人物の人格にどんな影響を与えたのかを考えてみると、人物像に深みや陰影が出る。

■第8章 時間と記憶
■第9章 第一幕を構成する
■第10章 最初の一〇ページ
■第11章 次の一〇ページ、その次の一〇ページ
 さあ、これで最初の二〇ページが完成した。次は三番目の一〇ページだ。つまりプロットポイントⅠである。第一幕終わりのプロットポイントⅠはどんなものになるか? 例を挙げてみよう。『テルマ&ルイーズ』では、駐車場でレイプしようとしているハーランをルイーズが射殺するというドラマチックなシーンになっている。『ショーシャンクの空に』では、アンディがレッドにロックハンマーを調達して欲しいと頼む会話のシーンだ。『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』では、フロドとサムが指輪を滅びの山まで運ぶために村を出る、というシンプルなシーンになっている。もちろんあなたは、自分のプロットポイントⅠがどんなシーンになっているかわかっているはずだ。すでに結末・発端・プロットポイントⅠ・プロットポイントⅡは、パラダイム(見取り図)を書く際に明確にし、構成されているはずだから。
 けれども現実には、プロットポイントは書くうちに変わることもある。パラダイムの構成は、ガチガチに固定するものではなく、風に吹かれても折れずにしなり木のように柔軟性のあるものだ。プロットポイントが前後に移動することはよくある。だから、最初に決めたプロットポイントを、何が何でも守ろうなどと考えなくてよい。プロとポイントを変更したほうが、ストーリーがうまく機能すると思えば、変えてよいのだ。

■第12章 ミッドポイントを探す
■第13章 前半と後半
 第二幕で試行錯誤しながらシーンを並べていると、新しいシーンを思いついたり、突然新たな登場人物が浮ぶことがある。そんな時は、脚本はプロセスだと信じて試してみることだ。自分の直感を信じて、書いてみること。ずっと昔に決めたことなどにこだわる必要はない。
 事件が起きれば、登場人物は変わり、事態は変わる。
 考えるべきことは一つ。それでうまくいくかどうか? うまくいけば使えばいいし、いかなければやめればいい。面白いアイデアや方向が浮かんだら、とにかく書いてみなさい。うまくいくかどうか、試してみるのだ。

■第14章 第二幕を書く
 それでは最初に、第二幕のオープニングシーンを考えてみよう。あなたはすでに、登場人物の明確なドラマ上の欲求を把握しているね。
 では、どこからシーンに入ったらいいか。鉄則は「遅く入って、早く出ること」。要するにそのシーン中最大の「新情報の提示」こそシーンの核心部である。この新情報によって、ストーリーは前進し、主人公についての情報がさらに明らかになる。要するに、どのシーンにも、一つの「特ダネ」が必要なのだ。あなたは各シーンの特ダネと目的、主人公はどこから来てどこへ行こうとしているか、はっきりと把握しているだろうか。各シーンの葛藤は何か。精神的葛藤か。物理的葛藤か。どんな障害が主人公の行く手を阻むのか。

 さあ、坐って描き始める時が来た。
 題材の準備は万端のはずだ。
 プロットポイントⅠから始めて、ミッドポイントに進みなさい。ピンチⅠを念頭に置きながら、一〇ページ単位で書きなさい。葛藤に焦点を当てなさい。主人公のドラマ上の欲求がわかれば、ストーリーに必要な障害を作り出すことができる。またストーリーも、障害を克服して目的を達成しようとする主人公に合ったものになる。シーンを書いていて行き詰まったら、逆の視点から考えてみるといい。たとえば、同じシーンを別の登場人物の視点から書き、そのあとで、もう一度主人公の立場から書いてみる。主人公が、主役を射止めたいと狙って本読みをしている女優志望だとすれば、彼女は主役にふさわしくないと思っている監督を登場させることだ。その役とはタイプが違うだとか、力不足だとか、あれこれ理屈をこねて彼女を相応しくないと考える監督を登場させるとよい。そうすれば、この役は自分にふさわしいと彼女が監督を説得するシーンが生まれるはずだ。
 ストーリーに必要な葛藤は、こんなふうに作ることができるのである。

■第15章 「解決」を書く
■第16章 推敲を重ねる
 書き直しで最初にすべきことは、自分が何を書いたかをはっきりと理解することだ。ここまで時間が経っていると、第一幕で自分が何を書いたかはっきり思い出せなくなっている可能性もある。パラダイムの中にいる時は、パラダイムが見えないものだ。自分が書いたものに対して、客観的な視点もないし、全体像も見えていないから。
 つまり、この時点で全体を客観的に見ることが重要なのだ。主観的な好き嫌いはさておき、客観的な目で自分の脚本を読んでみなさい。
 それにはまず、最初から最後まで一気に読んでみる。鉛筆やメモ用紙はしまい、パソコンは切っておく。読みながらメモは取ってはいけない。とにかく一気に読むことによって、客観性が生まれる。

 一気に読み終えたら、次なるプロセスは三つのレポートを書くことだ。思うがままに自由に、この三つのレポートを書くことで、客観的に全体像を眺めることができるはずだ。各レポートに必要なのは数ページ。重要なのは、自分が感じるままに自然に書くこと。期待することに合わせようと思って書いたりしてはいけない。
 最初のレポートは、次の質問について書く。〝もともと自分が魅力を感じたアイデアは何だったか?〟そもそもこの脚本を書こうと思った魅力的なアイデアとは、何だったか。面白いと感じた主人公のおかれた状況、ドラマの前提は何だったか、をもう一度考えてみなさい。必要なら目を閉じて、最初にこのストーリーを書きたいと思った時のことを、思い出してみなさい。はじめてインスピレーションを感じた時を、思い出すのだ。

 第二のレポートは、次の質問について別紙に書く。最終的にどんなストーリーを書いたのか? こんなストーリーを書こうと思って始めたが、いろいろ変えていくうちに、仕上がったストーリーは別物になっていたということはよくある。<中略>執筆の途中でだんだんと別物になっていくことは、よくあることなのだ。だから〝最初は何を書こうと思っていたか、そして結局何を書いたか〟についてよく考えてみなさい。
 そして、第二のレポートとして、何について書いたかについて一、二ページで自由に書いて見なさい。
 最後は第三のレポートである。新しい紙に次の質問について書きなさい。〝最終的に書いたものを、元々書きたかったものに変えるにはどこを変えたらいいか?〟たとえばアクションアドベンチャーをテーマにしたラブストーリーを書くつもりが、最終的にはラブストーリー仕立てのアクションアドベンチャーになっていたとする。もとに戻すには、いくつか変更しなければいけない要素があるはずだ。
 時には、最初に考えていたものより、仕上がったもののほうがよくできていることもあるだろう。それならそれでいい。けれどどちらにしても、もう一度第一幕に戻って、ストーリーが自然に流れるよう、書き直さなければならないことに変わりはない。
〝書こうとしたものと、書いたものは同じにならなければならない〟
 第三のレポートも、自由に書きなさい。ここであなたがすべきことは、ストーリーに劇的な効果を与え、書いたものを書きたかったことに変えていくには何が必要か、を考えることだ。新しいシーンを加えたり、逆に機能していない不必要なシーンを削除しなければいけないかもしれない。もしくは、もっと早めに設定を行うとか、登場人物を膨らます必要があるかもしれない。脇役のサブプロットを作った方がいいかもしれない。どんな変更が必要かを考えるのは、今である。

■第17章 読むに値する脚本とは?

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

物語のパラダイム(構成)を作るという基本を理解させてくれる本。

物語の直前までを考える、ストーリーを3つの段階に分ける、要所要所にポイントを設けてぶれないようにするなどが大事。物語を作成する人にとっては基本なのかもしれないが、今まできちんと理解していなかったことを例を挙げて分かりやすく説明してくれている。

少し実践を重ねたら、また読んでみたい一冊

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2018年11月29日

Posted by ブクログ

こちらは「2」となっており、続き物っぽくなってますが、内容はかぶってます。
「1」をさらに発展させたのが「2」。
なので購入を考えている人は「2」だけでOKです。
映画脚本家をめざすひとだけではなく、物語をつくりたいひと、映画を分析的に楽しみたいひとにもおすすめ。

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2013年09月23日

Posted by ブクログ

ドラマの構成とは、関連のある事件・出来事・エピソードを解決に向かうように並べること

プロットポイント1とは、ストーリーの本当の始まりである

まずは、アイデアをもとに、テーマ、アクション、主人公を考える。それから、ストーリーをつなぐ4つのポイント(結末・発端・プロットポイント1・プロットポイント2)を決め、パラダイムを作る

4ページのあらすじを作る
オープニングシーンの再現
残りの第1幕で起こることの要約
プロットポイント1(第1幕の終わり)の再現
第2幕で主人公が直面する障害(物理的・精神的)を4つリストアップする
4つの障害を中心に、第2幕で起こるアクションを要約。各障害は2,3行で書けるくらいのシンプルなものでよい
プロットポイント2(第2幕の終わり)の再現
第3幕の結末の要約
ラストシーンの再現

人生とは行動でできている。人生の終わりも一つの行動であり、状態の変化ではない(アリストテレス)

魅力的なキャラクターを作る要素
①明確で強い"ドラマ上の欲求"があること
②独自の"考え方、ものの見方"を持っていること
③"意見や態度"を表していること
④"変化"すること

キャラクターは、行動や反応、創造的な決断によって表現される。一方、性格描写は、登場人物がどう生活しているのかのディテールで表現される。たとえば、暮らしぶりはどうか、どんな車に乗っているか、壁にはどんな絵をかけているか、どんなものを食べているかなど。性格描写は、登場人物の個人的な好みや、どう世界に向き合うかなどで表現される

キャラクターの暮らしを3つの側面から考察する
①仕事関係
②個人的な人間関係
③プライベートな面 プライベートな面を明確にすると、人物像に厚みと深みが出てくる
ex. 料理教室に通う私立探偵、夢は絶品のスフレを作ること。ところが連続殺人鬼を追ってようやく居所を突き止めた日に限って、ちょうどスフレの講習の日だった。
「ショーシャンクの空に」の主人公アンディの趣味は、石を削ってチェスの駒を作ること。この削るという行為が最終的に刑務所から脱獄するための穴掘りにつながってくる

会話の役割
①ストーリーを進展させるため
②登場人物の性格を明らかにするため

Circle of Being(CB)
9歳から18歳の間に起こった出来事で、ストーリーに大きな影響を与えるもの

CBは登場人物の人生を変える大きな力を持ち、葛藤の源となる。登場人物とその葛藤がストーリーに一つのまとまりを生み出し、登場人物は障害や難題を克服するべく立ち向かう。葛藤とCBは、登場人物の心に火をつけ、力をもたらす重要な要素なのである

フラッシュバックを使う際には、フラッシュプレゼントとしてとらえる。登場人物の頭の中に入り込み、今現在考えていること、思い出を探り出し、それが登場人物にどんな影響を与えているのかを考える。そうすれば効果的なフラッシュバックになる

バックストーリーの力
バックストーリーを書くことによって、1ページ目の出だしから、映画はアクションに入っていける。ファーストシーンを書くのはとても難しいものだが、バックストーリーを作ることで、ドラマとして最大の効果を生む最初の一言を考えやすくなる

①結末を決める
②発端(オープニング)
③プロットポイント1
④プロットポイント2
⑤ミッドポイント

ミッドポイント=第2幕の真ん中で、前半と後半をつなぐ重要な事件が起こる

ミッドポイントを挟んでピンチ1、ピンチ2を配置 

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2012年05月05日

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