【感想・ネタバレ】終末の貞子さんのレビュー

あらすじ

文明が滅んでしまった世界。
廃墟街の少女アイが妹と遺物の「びでお」を再生していると、そこから貞子ことサダちゃんが現れた!

1週間で消えてしまうという貞子。他の人はいないの?と聞く彼女に、アイは他の人を探してみようと提案する。
しかしアイは知らなかった。
貞子が『まだ人が生き残っているのなら、全員呪いたい』 と思っているということに…。

「貞子」は呪いのビデオから出てくる怪物。
このビデオを見てしまったら最後、
たとえ相手が子どもでも、
1週間後「貞子」に呪い殺されるという――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 フリップ芸を披露する貞子さんが、終末の世界を二人の子どもと共に旅する物語である。
 Twitter方面で発表されたネタが公式監修の下に書籍化するというのは、なんとも実に現代的な出版スタイルだなあと思わせるところだ。

 内容的には、呪うべき相手もおらず、そもそもビデオ自体がさほど見られる環境でもない終末の世界で、偶然ビデオを再生した子ども二人と共に一週間の旅路に出る物語である。
 旅路で出会う相手をことごとく呪っていく様は、さすが貞子さんというべき容赦のなさであるが、出会いそのものはどこか明るく、全体の柔らかなタッチと共に終末の世界を優しく描いている作品だ。
 であればこそ、井戸の底に手を振って呼び掛けてくれるはずの二人がいない、二人との別れのもの悲しさは秀逸なものがある。
 どこかで救いを探してしまうというか、こんな週末の世界を子ども二人で一週間も生き抜いたこと自体が、貞子の呪いがもたらしてくれた奇跡ではないかと、そんな愚にも付かない妄想を覚えてしまう一面はあった。

 良い作品だった。
 個人的に、もう一つエピソードを挟んで欲しかったと感じる、量感の面で感じる部分があったために星四つ半相当と評価しているが、読後感に感じ入るもののある作品である。
 ホラーテイストのエンディングなども実にらしいというか。一冊で綺麗に納められた物語だと思う。

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2019年09月11日

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