あらすじ
13歳で心臓移植を受けた僕は、それ以降、自分が女の子になる夢を見るようになった。
きっとこれは、ドナーになった人物の記憶なのだと思う。
明るく快活で幸せそうな彼女に僕は、瞬く間に恋をした。
それは、決して報われることのない恋心。僕と彼女は、決して出逢うことはない。言葉を交すことも、触れ合うことも、叶わない。それでも――
僕は彼女と逢いたい。
僕は彼女と言葉を交したい。
僕は彼女と触れ合いたい。
僕は……彼女を救いたい。
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Posted by ブクログ
※ネタバレを含みます。
誰かの想いが、未来を変える物語。
青海野灰による『逢う日、花咲く』は、心臓移植をきっかけに、主人公・八月朔日行兎(ほずみ いくと)が、ドナーである鈴城葵花(すずしろ あいか)の記憶を夢として見るようになる物語です。
心臓移植という重いテーマを扱いながらも、作品全体には透明感がありました。命を受け取ること、自分の中に誰かの人生が残ることの重みが、静かに描かれていたように感じます。
前半は、行兎が葵花の記憶に触れ、彼女という人物を少しずつ知っていく流れが中心です。最初から真相へ急ぐのではなく、葵花の見ていた景色や感情を積み重ねていくことで、読者も行兎と一緒に彼女の人生へ近づいていく感覚がありました。
記憶の中の葵花は、ただ悲しみに沈んでいる人物ではありません。誰かを想い、日々を生き、自分なりに前へ進もうとしている人物として描かれます。だからこそ、中盤にかけて少しずつ生まれてくる違和感が印象に残りました。
葵花の人生には、まだ見えていない何かがあるのではないか。記憶の断片だけでは分からない真実が、どこかに隠れているのではないか。そうした疑問が、物語のリズムを作っています。
第二章「変える未来」では、行兎と葵花が会話できるようになり、過去と現在、記憶と現実の境界が曖昧になっていきます。ここから物語の空気が大きく変わり、二人の関係性がより深く描かれていきます。
特に印象に残ったのは、観覧車の場面と、タイムカプセルから届く手紙の場面です。本来なら出会うはずのなかった二人が、時間を越えて想いを交わしていく展開には、切なさと温かさがありました。
行兎にとって葵花は、最初はドナーであり、夢に現れる記憶の持ち主でした。しかし物語が進むにつれて、葵花はかけがえのない一人の存在になっていきます。その変化があるからこそ、後半の展開がより強く響きました。
後半では、これまで積み重ねられてきた違和感が一つの真相へ向かっていきます。葵花の身に何が起きたのか、行兎と葵花がつながったことにはどんな意味があったのか。その答えが明らかになっていく流れには、強い緊張感がありました。
真相が明らかになる場面では、行兎と葵花の想いが重なり、未来が変わっていきます。ただ過去を知るだけではなく、過去に触れ、そこにいる誰かを想い、行動することで未来が変わる。その展開に大きな希望を感じました。
最後に、行兎と葵花がようやく同じ時間、同じ場所に立つ場面は、とても心に残りました。これまで二人は、記憶や夢、意識の中でつながっていました。けれど最後に、現実の中で向き合うことができます。
本来なら失われていたはずの未来。届かなかったはずの想い。出会えなかったはずの二人。それらが物語の終盤で一つにつながる瞬間に、命の尊さと、諦めない心の力を感じました。
『逢う日、花咲く』は、命の継承、過去と現在の交錯、そして誰かを想う力を描いた作品です。切なさはありますが、読み終えたあとには優しさと希望が残ります。
タイトルにある「花咲く」という言葉が、読後により深く響く物語でした。
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うまく言葉にできないけれど、ドナー制度に関して思うところが沢山あった。
人の体の一部をもらって生きること、人に自分の体の一部をあげること。全く想像がつかない。
最初から最後まで引き込まれる文章だった。
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小坂菜緒さんが好きな小説として紹介していたので読んだ一冊。
ラブストーリーとファンタジーが融合した感じで”君の名は”を彷彿とさせた。
心臓の移植手術をすることで記憶が転移するという設定で、過去と未来が行き来していて読んでいて面白かった。怪しいしうさんくさいと思っていた教師が犯人で結局お前なんかーいと逆に予想を裏切られた。少女が自分を危険な目にあわせた教師の心情にも寄り添っていて、個人的に後味がよかった。
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小坂菜緒さんのお勧めとして紹介されていたのがきっかけで読みました。
小説は、風景描写や比喩表現に注目して読むことが多いのですが、青海野さんの描き方はキレイでお洒落だと感じました。
ラノベだけど、ほどよいファンタジー✖️ラブストーリーで本を読み慣れてない中高生などに特に刺さりそうだな〜と思いました。
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ある少女の心臓を、主人公に移植した。移植したことによって、少女の感覚を寝ている間に感じることができた。その感覚は、今から3年前の少女の感覚だった。少女の心臓をもらったということは、少女は過去に死んだということ。それを救うというのを生きがいにし、主人公は様々な行動を起こす。その中で、主人公も少女もお互いを好きになり、逢いたいと願う。その気持ちを諦めずに、そしてそれを生きがいにしてそれぞれが相手のために尽くす。それによって、過去は変えられる少女は命を救われた。心臓は受け取ることができなくなるという現在に変わってしまったものの、少女が会いに来てくれ、その事実を知り、誇りに思う。そして、逢いたい人と逢うという願いが叶った。
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主人公の八月朔日(ほずみ)は拘束型心筋症と診断され、13才で心臓移植を受けます。その後、ドナーと思われる女の子の夢を見るようになりました。八月朔日は明るくて素敵な夢の中の女の子、葵花(あいか)に恋をしてしまいます。葵花の心臓を移植された八月朔日にとって、決して出会うことも、恋がかなうこともない残酷で純粋な初恋でした。夢の中の葵花を通して知った道端で揺れるタチアオイの赤い花がつなぐ奇跡の物語に涙しました。
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命について再度考えさせられる小説
久しぶりの小さな文庫本であったため、すらすらと読んでしまった
明日からはまた、1秒1秒を大切に生きていきたい
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個人的に、深夜ドラマの『謎の転校生』を彷彿とさせるような作品だった。文章の調べが流麗で淀みがなかった。タチアオイの花がアクセントになっていて、深い葛藤を各々が抱えているのだ、と。感じた。御門違いだが現実的に見れば、星野先生のしたことは看過できることではない。それを差し引いても、しっとりとした良い作品だった。
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久しぶりにラノベ(?)を読んだ気がする。昔、携帯小説ってのがあったがそれを思い出した。ラノベ系はあまり手は出さないがサッと読めるのでたまに挟むのもアリ。文章もおしゃれな部分が多々ありおもしろかった。