【感想・ネタバレ】アステリズムに花束を 百合SFアンソロジーのレビュー

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ああ何て濃密で幸せな読書時間。
百合という表現は好きではないのですが、百合という表現でしか言い表せない関係性をSFで体現する面白さ。まだSFに慣れていない脳が未知の刺激に反応する悦び。テーマアンソロジーの魅力を恐ろしいほど味わいました。

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2023年09月02日

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どの作品も楽しめたアンソロジー、なかなか珍しい。「キミノエスケープ」は雰囲気はめちゃ良いけど百合?という感じだったが。不在の百合、むつかしい。 特に好きなのは耽美的な「彼岸花」と直球な「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」。お姉さまとの交換日記で少しずつ語られる感情がとても良い…。「色のない緑」も悲しくもグッとくるものがあった。文法としては成立しても文章としての意味がない…それを人生に投影してしまう隠喩にもなる、と。身につまされる…

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2022年01月16日

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 表紙に踊るは百合SFアンソロジーなる文字。そして裏の内容紹介を読めば、目を惹くのは『ソ連百合』なるパワーワード。

「これはネタに走りすぎだろ…」などと読む前まで思ってました。スミマセン…、早川書房さんと担当編集さんと収録作家の皆さんetc. いやはや、これはすごい!

 SFと一言で括ってはいるものの、収録作品の幅はかなり広い! 宇宙ものもあれば、言語SFあり、ファーストコンタクトもの、共感覚、人類消失、妖怪、意思情報のエネルギー化、霊界との交信、前世の記憶…。

 結構ハード目のSFもあれば、ソフトなものに変化球、果てはマンガの作品まで、本当に多種多様。ある意味SFの見本市でもあります。

 しかし、すごいのはそんなバラバラのSFたちがいずれも、誰かを想う気持ち、あるいは焦がれる気持ちを表現する上で、効果的に機能していること!

 SFと百合、一見何の関係性も脈絡もないジャンルがこんな化学反応を起こすとは…。

 企画された方が、これを狙ってやったかどうかは分かりませんが、とにもかくにも新しいジャンル、もしかすると文学の可能性を開いたアンソロジーかもしれません。

 現実の科学技術が進歩しても、SFというジャンルはそれすらも取り込み、さらに幅を広げ続けているように思います。

 そして百合というジャンルがSFとマッチした事実は、SFの幅の広さと懐の深さを、そしてSFというジャンルの可能性を改めて示したような、そんな気がします。

 大げさに書きすぎたかもしれませんが(苦笑)でも、それだけのことを考えさせてくれた、斬新で新鮮、そして上質なアンソロジーでした。

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2019年07月09日

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24:よいアンソロジーでした。正直、「百合SF!」って大々的に宣伝しなくてもどんどん売れて欲しいし、それだけの力のある作品が揃ってると思う。こうして、いわゆる「パワーワード」を冠することで、新しい客層にリーチするならそれも商業的な戦略として正しいのかもしれないけど、若干モヤりはします。

後半、書き下ろし三作が凄かった。作風としていちばん好きなのは「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」やけど、正統派?百合の「海の双翼」の儚さと美しさ、「色のない緑」で描かれる言葉と感情、どれも方向性が違ってどれも読みたかった作風。
肉体関係が描かれる作品がほぼなく、ほとんど比喩に留まるのが好みでした。

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2019年07月03日

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 2019年6月に行われた「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」、その肝となるのがこのアンソロジーだ。雑誌の重版は基本的にないと言われるなか、3刷となって話題になったSFマガジンの百合特集に掲載された5編に加え、新たな書下ろしが4編収録されている。

 そのどれもが傑作なのだが、まずはまえがきを読んでほしい。編集部の”百合丸”こと溝口力丸氏は、まえがきの中で百合について「2019年現在では「女性同士の関係性を扱うもの」という幅広い共通認識」とひとまずの定義をしている。「2019年現在」という文言からも分かるように「百合」という創作ジャンルが何を示すかということは非常に曖昧で、個人的な感覚では「女性同士の恋愛」といった狭い範囲から、「女性同士の関係性」といった広い範囲をカバーするようになっていったように思う。

 そんな状況の中「世界初」を謳うこのアンソロジーが、宮澤伊織『キミノスケープ』から始まることには大変意図的なものを感じた。なにせこの作品、登場人物が主人公ひとりしかいないのである。「女性同士の関係性」といっておきながら、関係性を結ぶ相手すらいるのかいないのか分からない作品を「百合」作品だといっていいのか。

 「それでもいい」というメッセージを私は受け取った。そもそもひとつの作品が百合かどうかということは、読み手(もしくは書き手)の主観に委ねられることであって、百合か百合でないかを厳密に区分けするようなものではない。だから当然『キミノスケープ』は百合ではないという意見もあるだろうし、それが間違いということもないのだろう。このような作品をアンソロジーの冒頭に持ってくることで、百合というジャンルのそしてSFというジャンルの懐の深さを示しているように思った。

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2019年07月01日

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ネタバレ

全体的に、静かで、透明で、淡々としているなあと思う。そのかんじがとても好ましい。
それが百合だからなのか、SFだからなのか、その両方だからなのかは分からないけど。
百合ジャンルももっと読んでみたいな、と思った。

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2024年04月21日

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まず表題と装丁が百合SFアンソロジーにピッタリでセンス高い。
『キミノスケープ』は自分以外誰もいないはずの世界で、姿の見えない誰かの痕跡を見つけていく一人旅。
注目すべきはこれが「あなた」を主人公にした二人称視点の旅小説ということ。
小説の世界に入りこんで自由に旅する自分を想像して、有り得ないほど癒された。今すぐここに行きたい。。。
他『四十九日恋文』『色のない緑』も好き。

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2023年07月17日

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百合SF短編集。百合と言ってもさほど濃厚な百合表現のある作品はない。どれも短編の醍醐味を味わえる良作だが、中には自分の読解力ではついていけない作品もあった。お気に入りは『四十九日恋文』。四十九日が終わるまで死者と1日1回メッセージできる世界。文字数は49文字から1日1文字減っていく。最後の49日目、果たして死者とどんな1文字を送りあうか。

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2023年04月15日

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世界初の百合SFアンソロジー。幅広い意味での「女性同士の関係性を扱うもの」を集めただけあって、著者それぞれの百合の捉え方が面白い。どの短篇も面白いが、中盤のソ連百合の南木義隆「月と怪物」にやられ、最後の小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」に止めを刺された。最後に強烈な百合の王道を持ってくるあたり、編集者の力の入れ具合が感じられる。

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2021年08月15日

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好: 森田季節「四十九日恋文」/伴名練「彼岸花」/小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」

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2020年12月02日

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女性どうし互いを思いやる気持ちが美しく描かれた良質なSF短編集。特に、陸秋槎「色のない緑」は、亡くなった親友との思い出話と人工知能による翻訳に対する議論から彼女が亡くなった真意が浮かび上がる不思議な展開がとても印象に残った。

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2020年05月06日

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普段は全くと言って良いほど立ち入らないSFコーナーで『ハヤカワ文庫の百合SFフェア』を発見し、第一の衝撃を受けた。えっ?百合フェア??そのジャンル、公でやって良いの???と思って(百合含め特殊な性癖が関係している嗜好品は陰でこっそり嗜むものだと認識していたので)。

SFは苦手だ。でも、百合は読みたい。
ということで世界初の百合SFアンソロジーを読んでみた。
端的に言って普通に面白かった。
個人的に気に入ったのは『四十九日恋文』『彼岸花』『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』なのだが、特に『彼岸花』が一番のお気に入り。SFといえばSFなんだろうけれど、ちょっとファンタジーな風味を感じられるのが良かった。思わず恍惚感の混じった溜め息が出ちゃうぐらいには好み。

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2019年11月24日

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ネタバレ

百合目当てというより、伴名練さんと陸秋瑳さんの短編を目当てに手にしました。佳作ぞろいで当たりでした。伴名さんはややホラー気味、陸さんは言語研究などが難しいテーマ。最後の小川一水さんの短編が活劇風で楽しくよめました。お気に入りは、森田季節さんの「四十九日の恋文」。別れの日に向けて揺れ動く2人の表現力が楽しくも、切ない物語でした。

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2019年11月20日

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ネタバレ

”百合とSFをテーマにした世界初の”とオビで謳っているのが謎なアンソロジー
登場人物が女の子だったり女性だったりするだけ

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2019年06月29日

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長編版「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」が最高だったのでこちらも購入。上述の作品の他、「四十九日恋文」「彼岸花」「月と怪物」「色のない緑」が特に好みだが、非常に上質な粒揃いの短編集でどの作品も大変楽しめた。SFというジャンルについては不勉強だけれど、なるほどセンス・オブ・ワンダーとはこういうことか、他のSF作品にも触れてみたいと唸る一冊だった。特に世界観が好きなのは「彼岸花」「色のない緑」、登場人物の関係性が好きなのは「四十九日恋文」「月と怪物」。TCRは相変わらず全てが最高。

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2021年07月28日

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ジャンルという概念は定義不可なので固執する必要はないのだけれど、好きな傾向というものはあって、でも求めているのは今まで読んだことがないものであって、ということで、国境のない広大な「SF百合」のためのアンソロジー。
書き下し三作は、前衛的(?)SF百合、王道SF、王道百合、みたいな分かりやすさがある。これは、意図的に書き分けてもらっているのかなあ。どちらであっても、職業的なすごさを感じる。

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2019年09月24日

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ネタバレ

宮澤伊織「キミノスケープ」★★★
森田季節「四十九日恋文」★★★
今井哲也「ピロウトーク」★★★
草野原々「幽世知能」★★★
伴名練「彼岸花」★★★★★
南木義隆「月と怪物」★★★
櫻木みわ、麦原遼「海の双翼」★★★★
陸秋槎「色のない緑」★★★
小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」★

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2019年11月08日

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さて、どのお話が好みかな?と読み始め…

「四十九日恋文」と「色のない緑」が好きかな。

四十九日恋文より。
限られた文字数だからこそ、たくさんの思いを乗せられるのが、うたの良いところ◎


色のない緑より。
文法的には成立するけど文脈は成立しない…
でもある文脈では意味を成すかもしれない。

意味があるようでない言葉も、ないようである言葉も、良いと思うけどね。無用の用?
すきまがないと、息が詰まっちゃうよ。

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2019年07月24日

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なんとなく購入。
百合って定義もいつからこんな世間一般に定着するようになったんだろうなぁとか思いつつ。でも女の子二人が出てくれば百合って訳じゃないと思うんだけどな、と読み終わって思ったり。

キミノスケープ
これ、百合なのか?女性に限定しちゃうと反対に世界観が狭まりそう。個人的には生き残ったのが両生類とかでもAIとかでもいいと思うんだけどどうだろうか。

幽世知能
これも百合?なのか?
同情で付き合うとかマウント取るために友人にするのはわかるけど、女性はシビアだから切るときは切ると思う。ましてやアレと…ねぇ?後女の子はなんだかんだ言ってきれいなモノが好きだから執着するならもっと…とか思ったりもする。

四十九日恋文
あの世との通信。ちょっと面白い。

ピロートーク
まくらさがし。パラレルワールドみたいな感じ。

彼岸花
耽美系百合って感じ。正統派だな〜と言う感想。

月と怪物
結局怪物は誰だったんだろう。お話としては面白かった。

海の双翼
映像化したら綺麗そう。
個人的には語り部の方が可哀想で好きかも。

色のない緑
百合?なのかはわからないけどなんか好き。
色のない緑がってフレーズは面白い。

ツインスター・サイクロン・ランナウェイ
恋愛に振り切ってるなぁ。二人の人間の関係性を書くという意味ではスゴイ恋愛小説。漁がなんだか楽しそう。

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2019年07月21日

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ネタバレ

もっとガチガチの百合小説だと思ってた←

何処までがSFか、という議論は尽きることがないのだろうけれど、ひとつSFという縛りの中でこれだけ多様な短編を集められる、というだけでもう一読の価値はあると思います。なんとなく最近の若手(偉そう?(笑))の傾向も見られるような。
「月と怪物」(ソ連百合てw)、「色のない緑」(翻訳ものとはね)、「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」(これって実は正統派なんじゃない?)あたりがお気に入り、と云うとベタベタのベタなのかなぁ?

SFというとまだまだ宇宙戦争モノだとか、所謂スペースオペラ的なものを想像しがちで。そこに衒学的要素が加わって技術設定ゴリゴリ、学術考証ガツガツ、みたいになってくると好き嫌いが別れてくるんだろうと思うんだけども、
そういうのを楽しむのってきっと本質ではなくて。

いやまぁ、本質、なんて偉ぶって云うことはなくて、
小説の本質なんてのは読む側がその物語にどう触れるかでしかないわけだから。
それはその物語から何かを得るとか、成長するとかそういう教訓的なものじゃなくてね?
かと云って「泣けたー」とかそういう安直なものでもなくて。
例えるなら、と云うか例え話しか思い付かないだけなんだけど、
新しい友達が出来て、別にその友達と一緒に行ったからとかいうわけじゃないけど、これまでひとりじゃ入れなかった喫茶店に入れるようになるみたいな、そんな感じの。


えーっと?

技術設定ゴリゴリなのも、学術考証ガツガツなのも、それは布石のひとつでしかなくて。
理路整然と並んだ碁石のその中に、ひとであるからこそ現れるズレ、を。

たとえば理詰めであることに対する憂い?
あるいは技術に対する憂い?
それは自分自身が必要なくなるのではないか、という不安なのかもしれないけれど。

ひとの可能性なんて聞こえはいいけどそれって殆ど神頼みで(ひとの可能性なのにね)、
けれど不合理の持つパワーに憧れてしまうだとか。

そういうズレ、違和感? 計算の限界、というか。それを突き詰めて愛でる、という読み方もできるよなぁ、なんて。


随分前に思い付いた、「科学で証明できないことも在るっていうことを私が証明してみせる。科学で!」って決め台詞を
なんだやっと実感として得たのかしら。


☆は全部の平均が3.4くらいなので3です。アンソロジーの難しいところ…!
そういえば七夕に読み終わるなんてロマンチックですね。

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2019年07月08日

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